2024年2月の区議会第一定例会において会派の一般質問が行われました。

一般質問で取り上げた内容について答弁とあわせて掲載します。

正式な議事録は区議会HPよりご覧になれます。

 

 

日本版DBSの導入について

 

 

 

  質問

 

近年、子どもや若者への性被害に関するニュースが数多く報道されており、後を絶ちません。

学校や保育園、児童福祉施設、学習塾、スポーツクラブなど、子どもと接する様々なところで起きており、練馬区でも昨年9月に区立中学校の校長が性暴力で逮捕されたことは、生徒や保護者だけでなく、世間一般に衝撃を与えるものでした。

 

小児性犯罪については、日本で年間900件以上の認知件数がありますが、加害者が被害者である子どもに口止めをしたり、子ども自身、自分が何をされたのかを正確に理解できないことも多く、実際には数倍〜数十倍に上るのではないかと言われています。小児性犯罪は、性犯罪のなかでも再犯率が高いことで知られています。

性犯罪は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすことから「魂の殺人」とも言われており、根絶にむけ、喫緊に取り組むべき課題と考えます。

子どもへの性被害を防止するため、国では、「日本版DBS」の導入の検討が進めてられています。

犯罪歴については、刑法等の前科だけでなく痴漢などの条例違反も対象とする日本版DBSは、性被害から子供たちを守るだけでなく、加害者の再犯防止につながると考えますが、まず日本版DBS導入について区のご所見をお伺いします。

 

現在、教員については、教員免許証保有者のうち、免許状が失効、または取り上げになった者をデータベース上に登録することを国は各自治体に義務づけており、都が教員を任命雇用しようとするときは、このデータベースを活用することとなっております。区の職員の採用時については、地方公務員法に定める欠格条項に該当しないのか証明書を提出することとなっており、会計年度任用職員の採用時については、欠格条項に該当しないのかの証明書までは提出させず、申込書に署名をさせているとのことです。

また、学校関係・子ども関係の施設に採用する会計年度任用職員の方は、採用面接の際に刑罰処分履歴の有無を適宜確認する取り組みを行っているとのことです。

日本版DBSについては、現在の検討状況では、学校や保育所について導入を義務化し、放課後児童クラブなどは任意の認定制とする方針としています。

法整備によって任意の認定制となったとしても一定期間以上子どもと接する事業を実施する場合は、区は実際の子どもたちの命を預かる責任者として、子供たちの安全な居場所確保にむけ、取組みを強化することが不可欠と考えます。

日本版DBS導入に向けた検討会議では、高度のプライバシーに関わる情報が利用されることや、人権や職業選択の自由の観点などから慎重な意見も出ていることは承知しておりますが、一方で、子どもと接する機会のある職場で働く者の性犯罪を未然に防ぐための取組みは必須だと考えております。

国の法整備が直ぐにできない状況にありますが、子どものため、子どもを守る保護者の方々のため、区として現場レベルでも取り組めることはあると考えます。

とりわけ、子どもとかかわる施設については、区立施設だけではなく、委託施設などでも同様に対策が必要だと考えますが、委託施設などを含め、職員採用時の刑罰処分履歴の確認を行っているのか、現状の取り組み状況についてお伺いいたします。

 

 

  答弁

 

●教育長

日本版DBSは、子どもを性犯罪から守るため、子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことの確認を求めるもので、区としても必要性は認識をしています。

制度の導入にあたっては、憲法が保障する「職業選択の自由」や「プライバシー権」などを制限することにつながるとの懸念も指摘されています。対象とする事業者の範囲など国も慎重に検討しており、引き続き、動向を注視してまいります。

 令和4年に施行された教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律により、教員の任用がより厳格化され、わいせつ行為等で免許を失効した者に対して国のデータベースを活用し、都道府県教育委員会が再授与の可否を判断することとなりました。教員の採用時においても同様に、都教育委員会が採否を判断できるようになっています。

教育委員会では、子どもと直接かかわる会計年度任用職員の採用に当たり、採用時の書類や採用面接時等において、過去の性犯罪の処分の有無を、原則本人に確認しています。

保育士については、区立や私立、委託園も含め、令和6年4月から、子どもへのわいせつ行為で資格登録が取り消された保育士の情報を記録した国のデータベースが導入され、採用時の活用が義務付けられます。

委託学童クラブでは、 職員採用時の処分履歴等の確認については、現在、各事業者の運営方針によるものとなっておりますが、、データベース化の主旨を踏まえ、今後、雇用時に性犯罪処分歴の確認をするよう指導していきます。

引き続き、子どもを性犯罪から守るよう努めるとともに 、適正な任用を行ってまいります。