2023.9月の第三定例会において会派で行った一般質問について掲載します。

正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。

 

不登校対策について

 

 

  質問

 

 練馬区では、平成29年4月に練馬区教育委員会不登校対策方針を策定し、平成31年度に国の動向や区の事業進捗を踏まえ改定し、不登校児童生徒への支援を行っております。

 また、本年8月には、社会状況や児童生徒を取り巻く環境の変化、令和3・4年度に実施した練馬区不登校に関する実態調査を踏まえ、再度改定したとのことです。

 文科省が示す不登校の定義は、病気や経済的理由を除き何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況で、年度間に30日以上登校しなかった者とされています。そこでまず始めに、方針策定以降の区の不登校児童生徒数をお示しください。

 また、推移から区としてどのように現状を受け止めているのかお伺いします。

 

 令和元年10月の文科省の通知において、不登校児童生徒への支援に対する考えについては「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進退を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す」と示され、複合的な支援が必要であると考えます。令和3年2月に全児童生徒にタブレット端末の配備が完了し、この間、新型コロナウイルス感染症により、児童生徒を取り巻く環境が変化したことで、在宅時にも学ぶことができるオンライン授業やオンライン学習がより求められました。

 現状では指導要録における出席扱いにするには条件が多いため、オンラインを活用した教育確保にはまだ課題があると感じております。コロナ禍で加速したICT教育をより発展させ、不登校児童生徒にも保証されるべき学びの機会を、オンラインを活用し進めるべきと考えますがご所見をお伺いします。次に、フリースクールについてです。

 不登校対策事業として、区では、小学生対象にフリーマインド、中学生対象にトライに学習支援の場となる適応指導教室を実施しており、令和4年度の登録数はフリーマインド163人、トライ290人と、不登校児童・生徒に対し個々に学習の機会を設けています。

 平成28年度の教育の機会確保法制定以降、様々な学習スタイルのフリースクールが設立され、令和3.4年度の2か年で実施した練馬区不登校に関する実態調査では、区内児童生徒37名がフリースクールを利用しています。フリースクールは、不登校状態を起因とした孤立を防ぐ場所ともなっています。

 神奈川県鎌倉市では、市内にあるフリースクールの利用料等の補助を実施しています。社会的に自立することを目指し、個々の状況に応じた多様な教育の機会の確保が求められていることから、練馬区としてもフリースクールの利用料等の補助制度の実施を要望しますがご所見をお伺いします。

 

 

  答弁

 

●教育長

練馬区教育委員会不登校対策方針を策定した、平成29年度の練馬区の不登校児童・生徒の数は635人でしたが、令和3年度は1146人となり、全国と同様、増加傾向にあります。

増加の要因について文部科学省は「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」の中で、「学校に登校するという結果のみを目標とするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す」という国の考え方が浸透したことを挙げています。

加えて、生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況や、学校生活において様々な制限がある中、交友関係を築くことなく、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられるとしています。

 

区としても、同様の認識です。 

不登校児童・生徒への支援として、各小中学校では、児童・生徒に配付したタブレットパソコンを活用し、授業の進捗状況や個別学習課題の配信を行っています。また、適応指導教室では、オンラインを活用した個別の学習支援や相談支援を実施しています。引き続き、ICTを活用した学習支援を充実するなど、多様な支援の実施に取り組んでまいります。
フリースクールは、不登校児童・生徒に対して学習活動や教育相談、体験活動などを行っている民間の施設です。その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性や主体性の下に設置され、運営されています。

 原因が複雑多岐に渡る不登校への対策には、経験豊富な民間事業者との連携が有効と考えています。学校教育支援センターでは、平成28年度から居場所支援事業の運営などをフリースク ール等の法人に委託するとともに、日頃から意見交換を重ねています。今後とも連携を強化してまいります。 

 東京都は、フリースクール等に通う不登校児童・生徒及び保護者の支援ニーズや進路、フリースクール等での活動内容等を把握し、今後の施策立案に生かすため、「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業」を令和4・5年度に実施しています。 本事業では、調査に協力する保護者に対して、協力金を支給し、その効果についても検証することとしています。東京都の動向を注視してまいります。