2023.9月第三定例会において会派で行った一般質問の内容を掲載します。

正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。

 

 

人生100年時代の就労環境の整備について高齢者施策について

 

  質問

 

 少子高齢化に歯止めがかからない中、人材不足の解消に向けてシニアの活用は待ったなしの課題であると考えます。

令和3年4月には高年齢者雇用安定法が改正され施行されました。

 企業は70歳までの就業機会の確保に努めるよう求められるようになり、シニアの働く環境の整備も進んでいます。70歳以上でも働ける企業の比率は昨年4割となり、この10年で2倍になりました。建設や小売業では従業員の1割が65歳以上と言われています。内閣府の令和3年版「高齢社会白書」によると、60歳以上の有業者を対象とした「何歳まで働きたいか」という意識調査でも、「働けるうちはいつまでも」と回答した人が約4割と最も多く、70歳以上まで働きたい人は9割近くに達します。日本の高齢者は諸外国に比べ、相対的に高い就業意欲を持っています。

 年金だけでは生活できないなどの経済的理由や退職後も社会とのつながりを持ち続けたいという考えもありますが、何より自分が今まで経験したことを生かしたいという方は少なくありません。そこで、お伺いしますが、現在の区内高年齢者の就労状況について把握していればお示しください。

ハローワークでは、高年齢者の利用や就職件数が増加しており、労働市場でシニア人材の重みが一段と増しています。

 定年を迎える区内就労希望者に向けて、ハローワークと今まで以上に連携を強化して、区内就労の機会を増やしていける取り組みが必要だと考えますが、区のご所見をお伺いいたします。

 

 次に事業者支援についてお伺いいたします。

練馬区内の中小企業では、規模や業種にかかわらず経営課題の一つに人手不足があげられています。様々な媒体を使って求人を出しても、人材が集まらずに困っているという声を多く聞きます。現在の人材不足について区としてどのように取り組まれているのかご所見をお伺いいたします。

 もう一点、区内事業者の職場環境の整備についてもお伺いいたします。

 シニアや女性の方、障害をお持ちの方など様々な方を受け入れられるような職場環境の整備が必要です。誰もが働けるような職場環境づくりを進めることこそが人材不足の解消につながると考えます。区としてのご所見をお伺いいたします。

 

 次に、高齢者施策について。

 練馬区の現在の高齢者人口は約16万2千人で、令和7年には団塊世代が全て後期高齢者となり、団塊Jr世代が高齢者となる令和22年度には約20万人に達する予測となっております。

 今後も超高齢社会が続く中で、高齢者支援をより充実させていく必要があると考えますが、一口に高齢者といっても健康状態や生活状況も様々興味関心も多種多様であり、高齢者の社会参加を進めるには、ひとりひとりに向き合い、生活状況などを考慮し、丁寧な支援が必要であると考えます。

 支援につなげるためには、地域社会のコミュニティへの参加や関わりが重要と捉えていますが、高齢者基礎調査によれば、社会参加のための外出が令和元年度の調査結果と比較し、4.8ポイント低くなっており、外出に対する積極性が低くなっています。

 例えば男性の高齢者のひとり暮らしの方は、これまで就労していたため地域との関わりが希薄で、退職後にどのように地域のコミュニティに参加し、自己形成していくのかがわからず孤立していく可能性があります。

 地域コミュニティに参加しやすいよう魅力あるテーマで活動する場を増やし、それらと高齢者をマッチングするコーディネートの体制を強化していく必要であると考えますが、ご所見をお伺いします。

 高齢者が健康で生き生きと暮らし続けるためには元気なうちからフレイル予防に取り組むことが重要です。そこで区は60歳からのフレイル予防として民間企業と協働で外出したくなる情報を発信するアプリ【フィット&ゴー】の開発に取り組まれています。

 高齢化が急速に進行する中で、身近な地域で元気高齢者の社会参加を促すことにも繋がるアプリを活用した取り組みに我が会派としても期待しております。

 先を見据えれば、アプリ開発だけではなく、いかに活用していただくかが重要であると考えます。NTTドコモモバイル社会研究所の調査によると、シニアのスマホ所有率は、60代は93%、70代79%と年々上昇傾向にあるとのことです。

 しかし、数あるアプリから自分に合ったものや機能を使いこなすにはまだ難しいと感じている方もおり、高齢者のデジタル格差を解消するためのスマホ教室の充実を図る必要があると考えます。

 実践的なスマホ教室や高齢者を対象にしたスマホ相談員養成講座など拡充し、さらにはスマホ教室開催時にはフィット&ゴーアプリを実際に登録できるよう取組まれることを要望しますがご所見をお伺いします。

 

 

  答弁

●高齢施策担当部長

高齢者の就労について。

 令和4年度実施の練馬区高齢者基礎調査によると、高齢者全体の36%が仕事をしています。うち 70歳未満では65%が仕事をしており、 令和元年度の前回調査と比較し、10ポイント増加しています。

 区は、シニアのための就職支援事業を民間事業者に委託して実施しています。 定年前後の方や高齢者を対象に、シニア世代の働き方や仕事探しについて理解を深める講義と、ハローワーク職員による個別相談を行っています。

 ハローワークに登録する求人企業による説明会も開催し、実際の仕事内容や職場の雰囲気などを紹介しています。

 仕事内容等に不安がある方には、就職を希望する企業にスタッフが同行し、職場体験を実施しています。

今後も、ハローワークとの連携を強化し、 高齢者の就労機会の拡大に努めてまいります。

高齢者の社会参加について。

 区は現在、高齢者の支援を行うNPO等の地域活動団体と、活動意欲のある区民を結びつける生活支援コーディネーター事業を社会福祉協議会へ委託しています。

 生活支援コーディネーターは、区内4か所の練馬ボランティア・地域福祉推進センターを拠点に活動しています。

 今後、より地域に密着して活動できるよう、令和6年度からの次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定において検討してまいります。
 また、一人ひとりの趣味や関心に合った教室やイベントなど社会参加先の情報を発信するため、フレイル予防アプリ「フィット&ゴ ー」の配信を開始します。 多くの方に積極的にアプリを利用していただくため、今年度、スマホ教室を大幅に充実しました。また、元気高齢者の活躍の場を拡げるため シニアを対象にしたスマホ相談員養成講座を実施し、町会・自治会や街かどケアカフェなど高齢者が集う場に派遣します。
今後も、デジタルを活用した高齢者の社会参加を促進してまいります。

 

 

●産業経済部長

事業者の人材確保等について。 

 区は、ハローワーク池袋と連携し、区内業者への就労を支援する就職面接会を開催しています。特に課題となっている介護や保育分野では、就職相談会やセミナー等も実施し、雇用に結びつけています。
 昨年度、区が行った事業所実態調査では、約3割の事業者が人材不足を課題にあげてい ます。調査結果を踏まえて、支援について検討してまいります。

 また、生産年齢人口の減少が見込まれるなか、事業者が必要な人材を確保するためには、賃金の引上げや、誰もが働きやすい職場環境づくりが必要です。 練馬ビジネスサポートセンターでは、今年度から相談チームを新設し、総合相談体制を強化するため、中小企業診断士を増員しています。
 区内事業者の経営に関する様々な相談に応じるとともに、国や都が実施している労働環環境改善や障害者雇用等に向けた事業者への助成制度も紹介しています。引き続き、関係機関と連携し、事業者支援に努めてまいります。