2022.9月の練馬区議会第三定例会で会派の一般質問が行われました。

その内容として、STEAM教育についてを掲載します。

(正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。)

 

 STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語です。

 STEM教育にArtが加わったこれら5つの領域を横断的に学び、子どもたちがそれらを応用し想像力や創造的な方法によって問題解決を図ることができる、IT社会に通用していくための人材育成に力を入れる教育方針です。新学習指導要領にて、中等教育学校から文部科学省を含む政府推進の下、STEAM教育が始まっています。

 小中学校教育では、STEAM教育の一部と言えるプログラミング教育の実施があります。今後は本格的な取組が実施される予定です。幼児期についても新幼稚園教育要領のポイントで方向性が示されています。

 日本ではSTEMに代表される数理教育への取り組みはされつつありますが、STEAMの「A」の芸術やリベラルアーツについては海外に比べてかなり遅れをとっているため、日本では「STEAM教育」を推進しようと、取り組んでいます。練馬区には日本大学の芸術学部や武蔵野音楽大学があり、芸術教育については環境が整っています。

 芸術系の大学とコラボをしたSTEAM教育は練馬区の資源を活かした教育になると考えますが、区のご所見をお伺いします。未来を背負っていく子どもたちが、人材として次の時代に巣立っていける教育環境を整備するには、学びを大きく変化させることが重要です。そのきっかけをつくるSTEAM教育は、まだ始まったばかりです。

 多様な施策が立案され、手探りで進んでいくと考えられますが、STEAM教育の現状、課題について区の見解をお伺いします。発達障害児の教育支援について伺います。発達障害という言葉から想起されやすいのは、自閉症等であることが多いのですが、読み書きの困難がある学習障害の児童も多数います。

 学習障害は、「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を指すもの」であると定義されます。印刷物などの文字を認識して、意味を理解することに困難さのある場合には「読字障害」。

 また、上肢の運動機能等に問題はないにもかかわらず、手書きでは文字をうまくつづることができない特性がある場合には「書字障害」と言い、さらに、数字に関する能力に困難があり、物事を考え答えを導く推論の困難がある場合には「算数障害」と言われます。学習障害は見えない障害と表現される場合もあります。

 読めない・書けないことが表面上からは現れにくく、その人の困難さの特性が理解されないことが多いことからです。学習障害を正しく把握し、必要な対応を行うことが必要だと考えられます。

 令和4年第二回定例会で制定されました「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」の条例のポイント1に「さまざまなコミュニケーション手段を大切にします」とあります。聴覚障害のある方の手話や文字の表示、視覚障害のある方の点字などに加え、知的障害、発達障害、重症心身障害、失語症、難病などの方々の図、写真、コミュニケーションボードなどを、コミュニケーション手段として幅広く捉えています。

 スマートフォンやタブレットなどの情報支援機器も障害のある方のコミュニケーションを助けます。ということです。区内小中学校において、一人一台タブレットパソコンが配備されましたが、特に読み書きに困難のある学習障害の児童・生徒にはICT機器等の活用が効果的な支援の一つとして考えられています。

 印刷物の文字を認識するのが困難なのであれば、音声のサポートを

手書きの文字をつづることができないのであればキーボードを使用する。視力が悪い人が眼鏡をかけるように、学習障害の児童・生徒が困難なことはタブレットパソコンで補えばいいのではないでしょうか。

 ICTを活用した個別指導のためのデジタル教材の確保は必要だと考えられますが、区のご所見をお伺いします。

 

 

===答弁===

教育長:

STEAM教育とは、「各教科での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教育」であり、令和3年の中央教育審議会答申では、高等学校で重点的に取組むべきものと示されています。

 また、その土台として、小中学校段階においては、教科横断的な学習や探究的な学習の充実に努めることが重要であるとされ、各小中学校では、総合的な学習の時間などで取組を進めています。

教科横断的に探究的な学びを深めるには、教科間のつながりを意識した指導計画を作成したり、児童生徒の興味・関心を引き出したりする教員の指導力向上が課題となります。 子供たちが各教科等で育まれたカを一層活用できるよう、校内研究会や教育委員会が主催する研修会等の更なる充実を図り、教員の指導力を高めるとともに、芸術系の大学との連携についても今後検討してまいります。
 

発達障害児の教育支援について。

 練馬区教育・子育て大綱では、重点施策のひとつに「障害のある子どもたちなどへの支援」を掲げています。 

学校では、電子黒板や実物投影機を活用し、教材の拡大揭示や、写真や動画等を用いて視覚的に分かりやすい資料を掲示するなど、障害の特性に応じた授業を実施しています。

 文字の読み書きに困難を抱える児童生徒の学びをサポートするうえで タブレットパソコンを活用することは有効な手段です。 現在、 背景色や文字色を変更する機能、音声を読み上げる機能等を有するデジタル教材を試験的に導入し、使いやすさや必要な通信環境を検証しています。今後、検証結果を踏まえ、全校導入に向けて準備を進めてまいります。