2022.9月の練馬区議会第三定例会で会派の一般質問が行われました。
その内容として、障害者支援についてを掲載します。
(正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。)
障害児・者の相談窓口について
障害児の子育ては先の見通しが難しく、子どもへの関わり方も工夫が必要です。
さらに年齢やステージにより支援内容は変化していきます。必要な支援や窓口にたどりつけず、孤立する障害者本人や保護者もいるため、さまざまな相談窓口や支援についての周知は欠かせません。子どもの発達について相談するきっかけとして、乳幼児の健診の時や、保育園や幼稚園で、他には就学前健診などがあります。
また就学してから気がついたり、成人してから相談をすることもあります。
相談先は保健相談所、こども発達支援センター、福祉事務所、学校教育支援センター、障害者地域生活支援センターなどあり、その内容や年齢により、相談先が変わってきます。
障害児・者を連れて相談に行くのは、物理的にも精神的にも大変です。ベビーカーや車いす利用者のバリアフリーの面。聴覚過敏や多動性障害の障害児・者を連れて公共交通手段を使うことなど、出かけるだけでも大変なため、相談したいことと相談先のミスマッチにより、何度も足を運ぶのは困る。
また行く先々で同じことを聞かれるので精神的につらいというご意見もあります。区の相談機関は専門性を持ち、必要に応じ、適切な別の相談先や支援につないでいると思いますが、障害者本人や、保護者からは、どこに相談をしていいのかわからないとの声を聞きます。
そこで、区で障害者の相談先を年齢や相談内容によって、どの相談先が適切なのかがわかるようにまとめ、周知をする必要があると思いますが、区はどのようにお考えでしょうか。また、障害児であれば、保健相談所やこども発達支援センター、総合福祉事務所など、障害者であれば、障害者地域生活支援センターと総合福祉事務所など、複数の相談機関に並行して利用することも珍しくありません。
適切な支援につなげるために、障害児・者の年齢・ステージに関わらず、区内の相談機関に適切につないでいけるワンストップ窓口があるのが理想です。まずは各相談機関同士の連携をさらに強化し、相談・支援の取りこぼしがないようにしていく必要があると考えます。区のご所見をお伺いします。
医療的ケア児について。
保育園や学童クラブの入園・入所に関して、これまでの障害児枠とは別に、医療的ケア児の定員枠1名を設けることが今年度4月入園入所から始まりました。
たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児は、新生児医療の進歩などを背景に増加傾向にあり、現在全国に約2万人いるといわれています。
しかしそうしたお子さんをお預かりする施設は極度に不足しています。結果として、保護者が就労の機会を失っている実態があります。保育園や学童で定員枠を設けたことは、保護者にとっても就労の機会が確保できるので、引き続きお願いしたいと思います。
しかし医療的ケア児は24時間ケアを担うことになり、家族の負担も大きいものです。先日の区長の所信表明では、移転する練馬光が丘病院において、区内初の医療的ケアに対応した障害児のショートステイを開始するとのことでした。これは、医療的ケア児を持つご家庭にとって待ち望んだサービスだと思います。
ただ、一口に医療的ケアといっても、その内容はさまざまです。新たに開始する医療的ケア児を対象としたショートステイでは、どのような医療的ケアを対象とするのでしょうか。また医療的ケア児のショートステイのニーズは非常に大きいことから、今後、練馬光が丘病院1か所では不足すると思います。
さらなる拡充を要望いたしますが、区のご所見をお伺いします。
障害者の就労支援について。
先月21日に障害者施設の販売力の強化を支援するため、障害者施設が自主生産品を販売する、ECサイトを集めた「ねりいちポータル」を開設しました。
区内の障害者施設に通う方が作成した商品を、一度に見ることができるのは大変便利です。コロナ禍で対面の販売も難しい上に、今はなんでもインターネットで買える時代ですから、ネット販売は非常に効果があると思います。
しかしまだホームページをもっていない事業所もあり、クリックひとつで区内すべての障害者施設の自主生産品を買うことはまだ難しいようです。区内中小企業や商店会がホームページの新規作成を専門業者に委託する場合に、その経費の一部を区は補助しています。
同じように福祉作業所のホームページ作成の支援も必要だと考えますが、区のご所見をお伺いします。また今年度から障害者施設の工賃向上を図るため、就労継続支援B型事業所に経営コンサルタントを派遣し、自主生産品の販路拡大や商品開発の強化を支援しています。
今年度は5事業所に派遣していますが、現時点まででコンサルタントはどのように行われているのでしょうか。
工賃向上にはサポートの継続も必要ですし、今年度コンサルタントが派遣されなかった事業所のサポートも今後必要だと考えますが、区のご所見をお伺いします。
===答弁===
福祉部長:
相談支援体制について
平成28年度から令和2年度までの5か年で総合福祉事務所、保健相談所、障害者地域生活発達支援センターこども発達支援センターに寄せられる相談件数は4.5%増加しており、相談支援体制の充実が求められています。
区は、障害者に関する様々な福祉施策やサービスを紹介した「障害者福祉のしおり」を 発行し、相談窓口について周知しています。 今年度予定しているしおりの改定の中でわかりやすい相談窓口の案内について工夫していきます。
相談機関の連携について。
区では、どの相談窓口でも障害者の課題を受け止めて対応できるよう、連携した支援を行っています。
区内4か所の障害者地域生活支援センターは、地域の相談支援の中核機関として、相談支援従事者会を開催し、相談支援専門員の連携強化や資質向上を図っています。複合的な課題を抱える世帯に対しては、福祉事務所の連携推進担当を中心にケース支援を行っています。
引き続き、相談機関の連携強化に取り組んでいきます。
医療的ケア児の支援について。
障害児等の保護者が疾病等により、保育が必要になった場合の負担を軽減することが大きな課題となっています。
練馬光が丘病院では、11月から区内初の医療的ケアに対応したショートステイを開始します。経管栄養や吸引などのほか、特に介護負担が大きい、人工呼吸器を使用している障害児の受入れにも対応します。
更なる事業の拡充については、 練馬光が丘病院での事業の実施状況を踏まえ、検討をしていきます。
障害者の就労支援について。
コロナ禍により、障害者施設が自主生産品を販売する機会が減少しています。先月、24の障害者施設が自主生産品を販売するウェブサイト「ねりいちポータル」を開設しました。
サイトの開設以降、参加事業者に対して商品の問い合わせが増加するなど、 多くの反響がありました。
練馬区障害者就労支援センターでは、障害者施設の工賃向上を目的とした設備投資や販路拡大の取組に対し、 助成金を交付しています。
また、就労支援事業所ネットワーク会議を開催し、 ホームページを活用した取組等に関する情報共有を行っています。
引き続き様々な取組を通じて、ホームページの作成を支援していきます。
経営コンサルタント派遣事業について。
6月から就労継続支援B型事業所を対象に、自主生産品の販路拡大や商品開発の強化を支援するため、5か所の事業所を対象に、 経営コンサルタントを派遣しています。
これまで、現状分析や工賃向上計画の作成等に取り組んできており、参加事業所からは「目標やスケジュールが整理できた。」「職員のモチベーションが上がった。」等の声が寄せられています。
来年度以降も工賃向上の取組が継続できるよう、引き続き、事業所の相談に対応する予定です。新たな事業所へのコンサルタントの派遣についても実施してまいります。