2022.9月の練馬区議会第三定例会で会派を代表して一般質問を行いました。

未受診妊婦への支援についてを質問しました。

(正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。)

 

 東京都では平成21年8月から助産師等が全都的に母体・新生児搬送の搬送調整を行う周産期搬送コーディネーターを東京消防庁に設置し、従来の周産期搬送システムを強化し、実施しています。

 

 練馬区では令和4年4月から順天堂練馬病院が東京都地域周産期母子医療センターの認定を受け、24時間体制でリスクのある妊産婦の搬送受入れに対応しています。

 十数年で周産期医療が充実されていることは、妊婦やそのご家族にとって非常に安心できる環境であると考えます。周産期医療の充実の背景にあるのが、平成19年頃に妊婦検診を受診していない方が救急搬送される際に、受け入れ先が見つからない「未受診妊婦」や、「とびこみ分娩」の方の存在がクローズアップされ、取り上げられたことです。

 特に、未受診妊婦には未成年や25歳未満の若年層が多く婚姻していない割合も高いとのことです。

 未受診妊婦となってしまう背景には家庭内の問題やパートナーとの問題、中絶する費用がなく中絶可能期間を過ぎてしまった、健康保険料を支払っていない等、様々な事情がありますが、最も多いのが経済的理由であるとのことです。

 いずれのケースにしても無責任だと未受診妊婦だけを責めることは出来ません。

 未受診妊婦は、必要な検査等を受けておらず、母子ともに身体的なリスクを抱えている可能性があります。

近年では、感染症の有無も確認できず、分娩施設への受入れを拒否され、たらい回しとなり、結果として母子ともに死亡してしまった事例もあり、妊婦検診未受診での出産は高いリスクを伴います。

 平成19年度以降、妊婦健康診査の回数が充実されるなど、出産を控える妊婦さんへの対応が充実されていますが、様々な理由で、妊婦健診を受診していない、また、妊娠届を速やかに届け出ることができないケースが考えられます。区では出産後や出産間近になって母子健康手帳を交付するケースは、これまで年間10件程度あるとのことですが、近年の状況についてお伺いします。

 母子保健法では、妊娠した方は「妊娠の届出をするようにしなければならない」と規定されていますが、望まない妊娠、経済的理由、家族等に相談できなかったなど、さまざまな要因から妊娠届が出されない場合があります。未受診の妊婦の把握には限界がありますが、妊婦検診の未受診であることは母体、新生児の安全確保が難しい状況にあります。

 また、望まない妊娠などにより相談できず、適切な支援も受けられないまま出産に至り、殺害や育児放棄などの児童虐待へと繋がってしまう事例もあります。

 

 そこで、妊娠を含めた命の教育や妊婦健診の意義を伝えていく教育の機会を設ける必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、練馬区における母子保健事業や子育て施策の横の連携はもちろん東京都との広域的な連携も必要であると考えますが、今後、未受診妊婦に対しどのように適切な支援を講じていくお考えかを併せて区のご所見をお伺い致します。

 

 

===答弁===

健康部長:

妊娠届について

 令和3年度に妊娠届を提出した約5千4百人のうち、95%以上の方が、妊娠11週以内に届出を提出しています。一方で、出産間近になって届出を提出するケースが7件、分娩後に提出するケースが6件ございました。

保健相談所では、中学校や高校の依頼に基づき、妊娠・出産、性感染症予防、性の多様性など健康教育を実施しています。 

また、成人の日のつどいでは、新成人の方に妊娠・出産・男女の身体の仕組みなどをまとめたリーフレットを配布しています。 引き続き様々な機会を捉えて、区民の方への周知に努めてまいります。

未受診妊婦への支援について

 妊娠について悩みや困り事がある場合、相談先があることを知ってもらうことが重要です。保健相談所では、匿名でも、また電話やメールでも相談に応じ、必要な情報を提供するなどの支援をしています。

 区のホームページには、東京都が実施する妊娠相談ほっとラインども含め、妊娠・出産にかかわるさまざまな情報を掲載しています。

 また、妊婦面談の際、非課税世帯や生活保護世帯の方は、福祉事務所や子ども家庭支援センターと連携し、支援する体制をとっています。妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートの充実に取り組んでいきます。