2022.9月の練馬区議会第三定例会で会派を代表して一般質問を行いました。

区長の基本姿勢として、物価高騰に対する区の対策についてを質問しました。

(正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。)

 

 新型コロナウイルス感染症から回復しつつある世界経済での原油需要の高まりや、原油産出国で組織される石油輸出国機構の増産見送り、また2月24日にロシアによるウクライナ侵攻の影響による原油相場や原材料費の高騰など世界情勢の変化、また日本における景気に関係なく物価が上昇するいわゆる「悪いインフレ」による急速な円安など、区民生活への影響は深刻度が日々増しています。

 8月の東京都区部の消費者物価指数では前年同月比2.6%上回り、上昇は12か月連続となりました。

電気代は29%、都市ガスは28.5%と高い上げ幅となったほか、食用油が43.8%、食パンが14.3%と高い値上がりとなり、家計の負担が一段と強まっております。

 区としても、このかつてない物価高騰の影響に対し、影響ある区民・区内事業者に対し、今定例会で生活困窮世帯への生活支援臨時給付金や学校給食食材購入費補助、また経済対策特別貸付など、区民の生活と区内事業者を守る様々な支援事業を補正予算として計上される予定ではありますが、この新型コロナウイルス感染症をはじめウクライナ情勢など不安定な世界的情勢の中において、今日の日本国内におけるエネルギー価格の高騰や物価高については決して短期的なものではなく、長期的なスタグレーションに陥る可能性があると大変懸念しております。

 

 このような急激なエネルギー価格高騰や物価高騰が長期に及ぶと想定した場合、区民生活と行政サービスの内容にどのような影響を与えると認識しているのか、区のご所見をお伺いいたします。また、公共事業を請け負う工事事業者についても、物価高騰や資材調達に大変ご苦労をされていると伺っております。

 特に小中学校の改築工事など長期にわたる公共工事は多数ありますが、その工事期間に資材の価格が大幅に上昇しているのが現状であります。

 練馬区では工事請け負い契約にかかる物価高騰などに伴う対応をどのように考えているのか、特にインフレスライド条項の適用についてどのように取り組まれているか区のご所見をお伺いいたします。

 また特別な要因により、特定の工事材料の価格に著しい変動を生じ、請負金額が不適当となったときに請負代金額の変更を請求できる措置である単品スライド条項や、契約締結日から1年経過した後に賃金水準又は物価水準が変動した場合の請負代金額の変更を要請できる全体スライド条項などの適用について、区のご所見をお伺いいたします。

 

 

===答弁===

区長:

ロシアによるウクライナ侵略や世界的な金融引き締めにより、物価上昇と円安が進み、区民生活や事業活動に大きな影響を与えてい ます。

区は独自の支援策として、現在実施している学校給食への食材費補助の延長に加え、国の臨時特別給付金の支給対象とならない生活困窮世帯への十万円支給、キャッシュレス決済によるポイント還元事業、経営環境が激変した事業者の資金繰りを支援する特別貸付、幼稚園、保育所など教育・子育て施設や介護・ 障害者児サービス事業所に対する光熱費等の補助などを検討しています。所要の経費を補正予算として取りまとめ、本定例会に追加して提案したいと考えています。


国は、明日開催予定の、「物価・賃金・生活総合対策本部」において、物価上昇への追加対策を取りまとめる方針を示しています。対策の内容を注視し、必要に応じて、補正予算での対応を検討してまいります。

 

総務部長:

工事請負契約にかかる物価上昇への対応について。
 公共工事は、区民生活や経済活動の基盤を整備するものであることから、適正な契約金額等により、工事の品質を確保していく必要があります。

 区は、工事の発注に当たっては、工事資材等について直近の市場取引価格等を反映して積算し、適正な予定価格を設定しています。 契約締結後に、賃金や物価水準が変動した場合の対策として、工事請負契約に「全体スライド条項」「インフレスライド条項」「単品スライド条項」を設けています。

 いずれも工期終了まで2カ月以上ある工事を対象とし「全体スライド条項」は、契約後9カ月を経過した後に賃金や資材価格の水準が変動した場合 に「インフレスライド条項」は、急激なインフレ等により賃金や資材価格の水準が変動した場合に「単品スライド条項」は、主要な工事材料の価格が著しく変動した場合に契約額を変更するものです。

 国は、例年3月に公共工事設計労務単価の改定を行っており、区はこれに合わせて「インフレスライド条項」を適用し、労務単価の変更による賃金上昇分や材料価格費の上昇分などについて、契約金額を増額しています。今般の鉄骨や燃料油などの急激な価格上昇に対しては「単品スライド条項」の適用について、受注事業者と協議しています。 

 引き続き、物価上昇への迅速な対応と公共工事の品質確保の観点から、各条項の適切な運用に取り組んでまいります。