2021年11月26日から開会している第四定例会で会派の一般質問が行われました。

正式な議事録は、後日区議会HPよりご覧になれます。

 

ファーストエイド教育について

 

 消防庁の令和2年度版、救急・救助の現況によれば、令和元年中、全国の救急隊員が搬送した心配機能停止病症者数は126,271人とされており、そのうち一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は25,560人とされ、一般市民による心肺蘇生が実施された傷病者数は14,789人、されなかった人数は10,771人となっています。実施する、しないとでは、1ヶ月後の生存者数は、約1.9倍ものひらきがあり、社会復帰者数は約2.8倍ものひらきがデータで示されており、AEDによる処置が行われれば53.6%の生存率となるなど救急隊員や医療従事者だけでなく、一般市民でも救える命があるということがわかります。

 

 学校現場においても、日本スポーツ振興センターの災害救済給付の資料によれば、平成22年度から令和元年度までの10年間で死亡見舞金が支給された件数は615件とされており、そのうち突然死は276件と半数に迫る率となっています。また、日本学校保健会の学校における心肺蘇生とAEDに関する調査報告書平成30年11月によれば、平成24年からの5年間で、学校管理下で児童生徒にAEDを使用した症例は206件とありました。ここでまずお伺いしたいのは、練馬区の学校教育施設における一時救命処置が必要とされる事故における傷病者数が年間どのくらいの推移であるのか、現在を含めた過去三カ年の数値もあわせてお示しください。

 

 救命率向上の鍵を握るのはもはや心肺蘇生法とAEDの普及というは当たり前の時代となった今ではありますが、実際現場に遭遇した場合、勇気と行動力が求められるため、誰でも同じように行動を起こすことは難しいのが現状ではないでしょうか。

 

 医療従事者のように常に医療現場に接していることや、頻繁に訓練を受けていなければそのような行動に移るのは容易ではありません。さいたま市ではASUKAモデルを構築し、学校現場における応急訓練として実施されています。これは、平成23年9月29日に、さいたま市立小学校6年生の桐田明日香さんが、駅伝の課外練習中に倒れ救急搬送された後、翌30日に死亡するという大変悲しい事故を契機に「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~」教職員等向けのテキストを作成し、学校の安全度を高めるための施策を講じています。是非練馬区でもASUKAモデルを参考にし、教育現場での傷病者発生時対応訓練を繰り返し行い、事故発生時への備えを行われるよう要望しますが、区のご所見をお聞かせください。

 

 一方、児童生徒へ向けて、中学2年次にAEDや心肺蘇生の応急救護訓練が実施されています。日ごろの訓練を、繰り返し行い体に染みつくよう継続して実施することで改めて効果が期待出来るものであります。

 現在の授業には、英語やプログラミング等の時間が加わり、教える時間の確保が難しくなっておりますが、社会の一員として必要なスキルを教える時間は優先して配分していくべきだと考えています。また、冒頭に申し上げたように一般市民でも救える命があるというのが判明している以上、スキル習得するために朝礼の時間や夏休みの宿題の一環等の代用して時間を確保し、少年期から応急救護の定期訓練を実施していくべきだと考えていますが、区のご所見をお聞かせください。

 

 

===答弁===

教育長

 

区立小中学校の学校管理下において、児童生徒に対して一次救命処置を行った事案は、
過去3年間ありません。 

 区では、全小中学校の教員を対象に、東京都教育委員会が作成した「学校危機管理マニ ュアル」を参考に、傷病者発生時の処置や訓練用人形を活用した心肺蘇生の手順、実際の AEDの使用方法など、傷病者発生時の対応について応急救護研修会を、区内消防署の協力を得て、毎年度開催しています。

 この研修会を継続して実施し、教職員が迅速かつ適切な応急措置ができるよう取り組んでまいり ます。

 いわゆる「ASUKAモデル」につきましては、今後の応急救護研修等の参考にしてまいります。 また、児童生徒を対象とした応急救護につ いては、中学2年生の保健体育において、A EDの操作方法や心肺蘇生法および事故発生時の対応について正しい知識の習得とともに、 状況に応じた適切な意思決定や行動選択につ いて指導しています。 一部の学校では独自に 消防署の出前授業を通じて、児童生徒対象応急処置を学習しています。

 毎月学校が行っている安全指導日には、応急手当の方法を指導したり、都教育委員会が全ての児童生徒に、 配布した「防災ノート」 を活用して心肺蘇生やAEDについて指導しています。 「防災ノ ート」は、家庭においても、子どもと共に応急手当 や身近な人を助ける「共助」について理解、啓発を図るためにも活用されています。