2021年2月第一定例会にて会派で一般質問をしました。

~孤独死について~を掲載します。

(正式な議事録は区議会HPよりご覧になれます。)

 

【質問】

孤独死の定義として厚労省は、社会から孤立した結果、死後、長時間放置された事例、

東京都監察医務院は、病死、不審死、自殺などの異常死のうち自宅で死亡した一人暮らしの人としています。 

東京都監察医務院の調査によると令和元年度、

練馬区単身世帯の自宅死亡数は、344件。そのうち65歳以上の高齢者は241人となっています。 

 

練馬区では、令和2年1月1日時点の65歳以上の高齢者人口は約16万人、

総人口のうち約21.7%となっています。高齢者の約16万人のうち、

一人暮らし高齢者は約53.000人となっており、孤立化や孤独死のリスクを減らすため、

平成30年に地域包括支援センターの機能強化を図り、一人暮らし高齢者等訪問支援事業を開始し、

令和元年度の訪問実績は約13.000人、介護保険認定申請等約8千件の支援に繋げたとのことです。 

 

また、民生児童委員と連携し、ひとり暮らし高齢者等実態調査を実施し、

見守りの必要な方を把握し、必要な支援に繋げる取り組み等も行っていますが、

新型コロナウイルス感染症の影響により、感染による高齢者の重篤化への懸念から、

高齢者自身から対面、訪問等を拒否するケースや、外出自粛の影響からこれまでの地域社会との関りが希薄化され、

健康や福祉サービスの支援を受ける機会が減少することが懸念されていますが、

支援を維持するために、区として現在どのように対応しているのかお伺いします。 

 

近年の高齢化、少子化、核家族化、また配偶者と死別、子供と離れて暮らすことで一人世帯が増加しています。 

練馬区の一人暮らし高齢者は、今後、令和7年には6千人増加、令和22年には約8万9千人と、

高齢者の約2人に1人が一人暮らし高齢者となる見込みで、支援が必要となる高齢者が増加します。 

 

支援に繋げるためには、地域社会のコミュニティへの参加や関わりによって培われるものと考えますが、

国立社会保障・人口問題研究所が2017年に実施した調査では、

普段の会話の頻度が2週間に1回以下と答えた割合が最も多かった世代は、

高齢者の独居男性の約15%とのことから、男性の高齢者の一人暮らしの方が孤立していることが伺えます。 

 

練馬区の高齢者基礎調査でも地域活動への参加状況は高齢者一般では約1割にとどまっています。

現在、元気高齢者に対して街かどケアカフェ、はつらつシニアクラブなど、

地域団体や介護事業者と協同し様々な取り組みをされておりますが、

これまで就労していたため地域との関りが希薄でいた方々が、

退職後にどのように地域とのコミュニティに参加し形成していくのか、

自ら参加しやすい環境や魅力あるテーマの創出などの充実した整備が求められると考えますが、ご所見をお伺いします。 

 

練馬区高齢者基礎調査では、参加したい活動のひとつとして、

就労活動が挙げられており、健康、生活費や生きがいを得るためなどの理由から

ずっと働き続けたいと回答した割合は32.7%となっております。 

区は地域活動や就労へ繋げる支援として介護施設業務補助事業や、

はつらつシニア応援プロジェクトなどを行い、今後も充実させていくこととしておりますが、

国では、継続雇用制度として、65歳以上の雇用推進を図るための助成制度も行っております。

定年後も就労を希望される方が、区内中小企業で働くことができるよう、

制度の周知も併せて行っていただきたいと要望致しますがご所見をお伺いします。 

 

地域の結びつきが薄くなると死亡していることに気づかれず死後数日放置されるケースもあります。

その影響から、高齢者の賃貸物件への入居を拒否されることがあり、

区では令和元年度に居住支援協議会を立ち上げ、不動産団体等と連携し、

住まい確保支援事業を開始しましたが、高齢者等の民間賃貸住宅への入居状況、

および効果をどのように捉えていますでしょうか。

また、開始以降新たに見えた課題があればお聞かせください。 

 

 

・若年層の孤独死について

 

一般社団法人日本少額短期保険協会が実施した調査では、

孤独死の平均年齢は61.3歳、65歳未満の割合は約51%となっており、

孤独死は高齢者だけではありません。 

 

東京都監察医務院の調査によると、練馬区の65歳以下の単身世帯の自宅死亡数は令和元年度に103人となっています。 

孤独死は、自殺というケースもあり、病死以外の死因も多く、幅広い年齢にわたり対策を講じていく必要があると考えます。 

中でも、若者の孤独死の原因のひとつとして、貧困問題があります。

就職氷河期の時期と重なり、2019年度の完全失業者は全国で162万人、

25~34歳では37万人となっており、非正規労働者が多く、将来への不安などが影響していると言われております。

また、人間関係が希薄化しており、町会や地域のイベントなどにも参加せず、コミュニティの場への参加も少ない状況です。 

一人暮らし高齢者については、見守り事業等が行われていますが

若者世代については高齢者と同様な見守りの取り組みは難しい状況にある中で、

若年層の孤独死に対し、どのように捉え、対策を講じていくお考えか区のご所見をお伺いします。 

 

一人暮らし自体を否定するものではなく、その先にある孤立化、孤独死を回避する方法を行政として取り組んでいくべきと考えます。

 

 

【答弁】

■孤独死について  高齢施策担当部長

 ・高齢者の見守りについて

 感染症対策のための外出自粛などにより、健康不安を抱える高齢者の状態を把握し、

支援につないでいくことが必要です。緊急事態宣言下においても、ひとり暮らし高齢者等訪問支援事業を実施しています。

訪問時は、インターフォンの活用、相談連絡先のポスティングなど、感染防止に努めています。

生活状況の聞き取りを行い、困りごとや相談に対し、適切な支援につないでいます。

 

 ・地域コミュニティへの参加促進について

区は、シニア社会参加を支援するポータルサイト「シニアナビねりま」を設置し、

シニア向けサービス団体、シニアサークルの情報を発信しています。

65歳の区民全員に送付しているはつらつライフ手帳では、区の健康づくり・介護予防事業や運動施設などを案内しています。

こうした情報発信に加え、交流・相談・介護予防の拠点となる街かどケアカフェを、

地域サロンの活用や敬老館の機能転換により、来年度30か所に拡充します。

感染防止を図りながら、身近な場で交流ができるよう取り組んでまいります。

 

・高齢者の雇用に関する周知について

 区は、高齢者の就職の機会を拡大するシニア職場体験事業やシニア起業入門セミナーを実施しており、

ハローワーク等関係機関と連携して周知しています。

来年度からは高齢期における起業を含む就業や地域活動などを紹介するシニアセカンドキャリア応募事業を実施します。

国の65歳超雇用推進助成金制度をはじめとする国や都などの補助金や支援策については、

練馬ビジネスサポートセンターで事業者の相談に応じるほか、産業経済団体を通じて広く周知してまいります。

 

 ・住まい確保支援事業について

 令和元年6月から、高齢者や障害者、ひとり親家庭が、

民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう住まい確保支援事業を開始し、

昨年12月までの間に121人の方に304室を紹介しました。そのうち成約は7件ですが、

不動産団体と福祉関係団体の連携した取り組みにより、

不動産店や賃貸住宅所有者の高齢者等の入居に対する理解が進んだと認識しています。

 

 本事業により情報提供を受けても、ご自身だけでは住まいの確保ができない方がいます。

 区は、こうした方を対象に、物件の見学や契約手続きに同行して住まい探しを支援し、

入居後も状況を確認し福祉サービスにつなぐ伴走型支援を4月から実施します。

 

 

■若年層の孤独死について こども家庭部長

 

東京都監察医務院の調査では、令和元年、区内の単身世帯自宅死亡者数は、死因は不明です

が344人となっており、39歳以下の方は18人です。

 若年層の中には、ニートや不安定就労者など様々な課題を抱えている方がいます。

区のねりま若者サポートステーションでは、

生活サポートセンター、総合福祉事務所、保健相談所などと連携して支援が必要な方々の相談を受けています。

令和元年度は若者総合相談窓口に延べ4千人の利用があり、

資格取得に必要な技能講座、職業適性検査等を実施しました。

コロナを要因とする離職者についても、わかものハローワーク等と連携し、支援を行っています。

 

 昨年6月、同ステーションに引きこもりや自立に不安を抱える若者を対象として、

社会とのつながりを支援するための居場所を開設しました。12月末までの半年間で、

延べ千人の利用があり、若者の社会的自立の支援を行っています。

 こうした取り組みを、福祉事務所等でのチラシ配布や、ホームページ、ツイッター等で広く周知しています。

引き続き、若者の状況に応じ、本人に寄り添いながら、孤独死に至らぬよう相談支援に取組んでまいります。