練馬区議会第四定例会で会派を代表し一般質問をいたしました。

テーマごとに掲載致します。

(正式な議事録は区議会HPよりご覧になれます。)

 

子育て施策に関連し、不妊治療等について。

 

日本の出生率は低下し2016年に100万人を下回り、2019年1月~7月については前年同期比、▲5.9%と90万人を割る可能性が高いと予測されており少子化が加速しています。

 

少子化が進めば労働力の減少が起き、経済成長の下押しや社会保障制度に大きな影響を及ぼすと考えられ、合計特殊出生率向上には、不妊治療も含めた取り組みを充実させていくべきであると考えます。

 

不妊の定義については、日本産婦人科学会では、「一年間の不妊期間をもつもの」としており、近年の晩婚化等により不妊治療を受ける夫婦が増加しています。妊娠のしやすさは女性の年齢により大きく変化すると言われていますが、WHOの発表によると不妊症の原因が女性のみにある場合は41%、男性のみが24%、男女ともにあるが24%、原因不明が11%となっており、不妊症の原因は女性側だけの問題ではありません。

 

国内での不妊検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は2015年社会保障・人口問題基本調査によると、全体の18.2%となっており、体外受精、顕微授精などの生殖補助医療による出生児は、51,001人と全出生児の5.1%(約20人に1人)と、不妊治療によって妊娠・出産することは珍しくありません。

 

 

不妊症は原因に応じた治療を行う必要があり、保険適用外の場合、高額な治療費となるため、経済的負担の軽減を図るため、国は平成16年から特定不妊治療の助成制度を設け、東京都では、平成16年から「東京都特定不妊治療費助成事業」を開始し、医療保険が適用されない体外受精及び顕微授精と平成28年からは、男性不妊治療の治療費の全部または一部を助成しています。

 

練馬区ではこの東京都の事業に準じた助成事業を実施しており、治療一回につき都事業の助成額を差し引いた額から治療ステージに応じた金額を上限として5万円~2万5千円の上乗せ助成を実施しています。

そこでまず、この助成制度によって経済面の後押しとなり、不妊治療を受ける方が増加したのか、近年の特定不妊治療・男性不妊治療助成制度の実績も含めお伺いします。

また、平成28年に年度内の助成回数制限がなくなった一方で、妻の年齢による通産助成回数制限が設けられました。

この事業改正を受け、特定不妊治療、男性不妊治療助成事業に影響があったのか、実績件数と区の見解をお聞かせください。

 

区の特定不妊治療・男性不妊治療助成制度は、都の事業内容に準じて実施していますが、都の事業では事実婚も対象となっております。

品川区や世田谷区、また葛飾区では平成31年度から事実婚についても対象としていますが、練馬区における対象に事実婚が含まれていない理由と、今後の方針についてお伺いいたします。

 

現在の男性不妊治療助成制度は、医療保険の適用外の手術および精子凍結料が対象となっていますが、凍結料が助成対象となっているのは特定不妊治療に至る過程の一環として行われる男性不妊治療のみとなっています。

更に女性の卵子凍結については助成制度がありません。

 

例えば、若いがん患者の場合、抗がん剤や放射線治療による影響で生殖機能が低下する恐れがあり、治療後に妊娠・出産の可能性を残すために精子や卵子の凍結保存を望まれる方がいても、凍結保存は1回数万~数十万円と高額で保険適用外のため経済的な負担が大きいと考えます。

そこで、不妊治療対象者だけでなく若い世代のがん患者向けの精子・卵子の凍結保存のための助成制度の創設を要望いたしますが、ご所見をお伺いします。


 

一般不妊治療に係る助成事業(不妊検査助成制度)について。

東京都では平成29年から不妊検査および薬物療法や人工授精等の一般不妊治療に係る費用の一部助成事業として夫婦一組1回に限り5万円を上限に助成しています。

千代田区では、平成29年10月から都事業に上乗せ助成をする形で夫婦1組につき1回、東京都の不妊検査等助成事業により助成された額を差し引いて、2万5千円を上限に助成していますが、練馬区では現在、未実施であることから一般不妊治療費助成の実施求めるとともに、制度導入の検討中におかれましても都が実施している「一般不妊治療に係る助成事業(不妊検査助成制度)」について、区HP等でも制度の周知をされるよう求めますが、併せてご所見をお伺いします。

 

 

不妊治療への理解促進について。

不妊治療は月経周期にあわせて3~6回 が一般的で医師の判断、個人の状況、体調等によって変わります。

そのため排卵周期にあわせた通院が求められ、事前に治療予定を入れられず、診察時間以外に2~3時間の待ち時間があると言われています。

 

厚生労働省の調査によると仕事と不妊治療の両立ができず16%の方が離職しており、企業におけて不妊治療への理解を深めていくことは、優秀な人材確保にも繋がると考えることから社会における不妊治療の理解を進めていくべきと考えます。

 

不妊治療に対し理解をされる環境となれば、これまで仕事と不妊治療の両立が困難であった方たちが、両立が図られるようになる可能性があります。

そこで、区として現在、区内事業者等への不妊治療への理解を求められるような取り組みをどのようにされているのか、また、厚生労働省では、仕事と不妊治療の両立支援のためのリーフレットや不妊治療連絡カードを作成し、企業の方々への理解促進を行っておりますが、このようなものを活用し今後周知を図られるお考えはあるのか併せてお伺いします。

 

 

不育症について。

不育症とは、妊娠はするものの2回以上の流産や死産を繰り返すことを言い、厚生労働省の調査では、日本の妊娠した女性の約10~15%に流産の経験があり、不育症については約5%いると報告されています。

 

先日、東京都は新たに「不育症検査助成事業」を実施することとなり、令和2年1月6日から申請受付を開始すると公表しました。

都が不育症検査助成事業を実施するにあたり、都の制度に準じたかたちで練馬区としても助成制度を創設していくお考えか。ご所見をお伺いします。

 

明日の練馬を考える上で、出産後の子育て施策だけでなく、子供を持ちたいという方々のための施策を充実させていくことは少子化対策の点としても重要です。

妊娠を望む方が、妊娠・出産を経て子育てしやすいと思える継続的な子育て施策の充実も併せて要望し、練馬区議会 未来会議の一般質問を終わります。

 

 

 

【答弁】

区における昨年度の特定不妊治療の助成延べ件数は843件で平成20年度の実績379件と比べると10年間で2倍強に増加している。

昨年度の男性不妊治療費助成は849件中2件。

平成28年度の改定した際、翌年度にはと全体で約千件、6%近い減少が見られた。男性不妊治療は2倍近く増加。

 

事実婚に対する助成については、都は昨年度から独自に助成対象に加えた。

今後との運用状況を確認し検討する。

 

若いがん患者に対する助成については、卵子や精子の凍結保存などの治療については

国は現時点ではがん患者の妊娠につながるというエビデンスが十分に確立されていないため、公的助成制度の導入を検討すべき段階ではないとしている。今後、情報収集に努めていく。

 

都が独自に実施している一般不妊治療費の助成事業については、区のホームページでの周知に加え、本庁舎及び各保健相談所の窓口でリーフレットの配布に努めている。引き続きとの運用状況や他区の動向を注視していく。

 

区内事業者への周知啓発については、

厚労省の企業アンケート調査では啓発を行っている企業はわずか2%。

今後産業経済部と連携して区内事業者に対し、不妊治療の内容や職場での配慮のポイント、仕事と治療の両立を支援する企業の取り組み事例などの周知啓発に努める。

 

 

不育症検査については、

今後都の運用状況を見定めていく。