三世代同居・近居支援策についてお伺い致します。

かつては、同じ家に三世代が住んでいることは珍しいものではありませんでしたが、高度成長期以降、社会情勢の変化により、同居以外の選択肢も増えてきたことから、国勢調査によると平成十二年には全国の三世帯率が10.1%であったのに対し、平成二十七年には、5.7%にまで減少してきており、練馬区の三世代同居数は平成二十七年時点で六,二一三世帯となっています。

核家族化が進み、様々な価値観や生活スタイルがある一方で、各家庭での保育力や地域の保育力が低下してきていると言わざるを得ない状況であると感じます。保育サービスの充実はもちろんのこと、各家庭の保育力の向上としても三世代同居・近居の支援策を講じることは子育てのこれまでのあり方であり、継承すべきことであると考えます。

三世代同居をすることのメリットは、子育てなどを通じ必要な時に支えあえることが可能であると考えます。

近年、イクメンと言われているように、子育ては母親のみならず父親も参加することが増えました。しかし、兵庫県医療大学が行った調査では産後四か月の八〇七人の父親のうち13.6%にうつ病のリスクがあることが分かり、十人に一人がパパの産後うつ発症のリスクがあるという調査結果が発表されました。

子供が生まれ、環境の変化によって心身のバランスを崩し、うつ病へと発展しかねないのは母親だけではなく、女性の社会進出が進む中で父親の育児へのかかわり方も多様化し、両親で子育てをすることで父親としても育児と仕事の両立に対する不安などを抱えていることから、家族でどのように子育てをしていくのか、三世代に求められるものもあると考えます。

子育てについても多様化する中で、内閣府の平成二十五年度の意識調査では、子供が小学校に入学するまでの間に祖父母の育児等の手助けをすることが望ましいと回答した割合が78.7%となっています。

また、三世代同居のメリットとして、例えば子供にとっては、祖父母からの伝統などを受け継ぐこと。親にとっては、子育ての助けのみならず、祖父母の健康状態の確認などが行えること。祖父母にとっては、孤立化の回避や子供たちとの触れ合いによる生きがい等が挙げられます。

更に、同居していない夫婦と比べ同居している夫婦の方が、出生率が高いとの調査結果もあることや、祖父母に子どもを見てもらえる環境が女性の社会進出を後押しされるものと考えます。

税制面においても、相続については、被相続人と相続人が同居している場合には相続税評価額が八〇%減額される特例措置もあり、三世代同居住宅の場合は敷地全体に特例が適用されることから空き家対策にも繋がると思います。

そこでまず、練馬区として三世代同居・近居よって得られるメリットや待機児童対策等への影響についてどのように分析されていますでしょうか。ご所見をお伺い致します。

政府としても三世代同居の推進を掲げており、「一億総活躍社会」の具体的目標に掲げ、少子化社会対策大綱においても、希望出生率1.8に向けた少子化対策の一環として取り組んでおり二〇一六年度予算から新築または中古住宅の増築に対する補助制度を行っております。

また、所沢市では、住宅関係の補助事業のみならず、体験農場の抽選の際に三世代同居世帯の申込者に対し倍率優遇措置を設けております。

しかし、必ずしも同居を望んでいるとは限らず、親からの子育て等の支援を受けたいけれども個々の家庭のプライバシーは守りたいということで、近居を希望されている世帯も多い中で、施策としては同居のみならず近居も対象とすることが柔軟性をもった施策となると考えます。そこで墨田区では、義務教育修了前のお子さんがいる世帯と祖父母世帯に住宅取得費の一部を助成しており、同居のみならず区内で直線距離一メートル以内の近居に対しても助成の対象としています。

23区内だけをみても、同居・近居の住宅取得等の助成やリフォーム代助成制度など六区で実施されており、都心においても三世代同居・近居の施策が推進されています。

しかし、練馬区では、平成十三年度からの練馬区長期総合計画内では、三世代住宅の整備促進について触れられていたのに対し、平成二十二年度からの練馬区長期計画においては三世代についての文言は削除されてしまいました。

なぜ、計画内で三世代同居についての記載がされなくなったのか、経緯と理由をお聞かせください。

また、三世代同居・近居施策に対して今後の区としてのお考えをお伺い致します。

同居、近居の推進について質問、提案を致しましたが、子育てや介護には家族の支援以外も当然必要であります。保育サービスや介護サービスの更なる推進も求めこの項の質問を終わります。

 

 

~答弁~

従前は、国による持家施策の一環として、区においても、三世代住宅建設の推奨を行っていました。しかし現在は、住居戸数が世帯数を上回り、そのストック活用が課題となっていることから、区の計画においても、施策の転換を図ってきました。

 今後は、様々考え方や価値観が存在するなかで、三世代同居・近居がもたらすメリット・デメリットについて研究してまいります。

 

三世代同居が珍しくなかった昔、祖父母や地域の協力を得ながら、家庭で子育てを行うことはあたりまえの風景でした。しかし、高度成長期以降、核家族化や女性の社会進出が進むなか、子育ては社会全体で取組む事業であるとの意識は広まっています。

 三世代同居や近居は、待機児童対策にとって確かにメリットであると考えます。しかし、子育ては誰が担うべきか、様々な考え方や価値観が存在する中で、最も尊重されるべきことは、それぞれの家庭での思いです。

 区といたしましては、家庭で子育てしたい、子どもを預けて働きたいなど、多様化する子育てサービスのニーズに応えていくため、保護者が身近な場所で気軽に子育てに関する相談ができる機会を充実し、地域、家庭、家族、世代間で支え合う、子育てのかたちを選択できる社会を実現していきたいと考えています。