8/25の委員会で、認可保育所、区立幼稚園の保育料見直しに係る区民意見反映制度の実施についての報告がありました。
いま小学校入学前に利用する保育、教育サービスには、認可保育所、認証保育所、幼稚園などがありますがそれぞれの利用者負担に不均衡が生じていて、低所得世帯に配慮しながら保護者の経済的負担の均衡を図り、それぞれの家庭の状況にあった保育、教育サービスを選択できるような条件と整えるために保育料の見直しをすべきと議会でも度々質問や指摘がされていました。
検討が進む中で、今回保育料に見直しについて区民意見反映制度による意見聴取を実施することになりました。
意見募集の対象は
・保育所保育料見直しの基本的な考え方
・保育料見直し案
となっており、
募集期間は平成28年9月11日から9月30日までです。
この保育料見直しについての説明資料をもとに今後どうなっていくのかを記載したいと思います。
平成27年4月時点の認可保育所、認証保育所、私立幼稚園の保護者負担の比較の表です。
この一覧では練馬区と人口規模が同程度の区で比較しています。
この表から見てもわかるように、練馬区の保育料は平成10年度以降19年間改定しておらず、社会状況の変化に対応した保育料となっていません。
世帯年収450万円(所得税額7万円、区民税額12万円)については大田区の方が低い金額となっていますが、それ以外は練馬区が一番低い金額となっています。
保育所運営経費に占める保育料収入は9,5%にとどまっており、他区平均の12、5%からみても低く、23区で最低水準となっています。
現行の認可保育所の保育料基準額表は下記のとおりです。
こちらの一覧を見るとわかるように3歳児は年収898万円以上と4・5歳児は年収726万円以上の保育料が一定となっており所得に応じた額となっていないことが指摘されてきました。
そこで今回の保育料の見直し方向性として
・低所得世帯への配慮として現行の所得税非課税世帯の階層では保育料の改定は行わない。
・中間所得世帯の負担増を軽減。これは、在園児童の約7割がD10までの階層に属しており保育料の見直しによる引き上げ額を月額3,000円以下とする。
・高所得世帯の応能負担の推進。これは、負担能力に応じた設定にするため現行の26階層に7階層を追加する。
新しい保育料の見直し案は下記です。
この表から見ると、D6の0~2歳児のところでは+1,800円となっています。
また、高所得世帯の部分ではD22から7階層追加されています。この階層の児童数は1,000人程度とのことです。
3歳児のD13~、4・5歳児のD9~の階層が一律同額であったものが階層ごとに保育料が値上げされています。
この新たな保育料案では
増額する世帯は73,6%
減額する世帯は18,3%
変更がない世帯は8,1%となっており、多くの世帯で増額することになります。
見直しによって前段でも記載しました
平成27年4月時点の認可保育所、認証保育所、私立幼稚園の保護者負担の比較の表(下記)をみると認証保育所では
0歳児・・・20,000円
1~2歳児・・・15,000円
3歳児以上・・・10,000円の補助金が給付されることもあり、認可保育所よりも安くなる階層が出てきます。
そのことで、安価で預けられるからという理由もあって認可保育園に申し込みが多くあるわけですが、保育料の見直しで高所得者世帯を中心に費用負担の面から様々な選択をすることも可能になります。
意見募集のあと議会に条例が提出されて可決されると平成29年4月に条例が施行されることになり、新しい保育料となるわけです。
見直しを行うことで、保育所運営経費に占める保育料収入の割合は9,5%から10,9%になると予測しています。
増収については3億2,000万円余と見込まれており、
この増収分を活用し
・認証保育所園児の保育料の助成
・私立幼稚園園児の入園料補助
・ひとり親等世帯の保育所保育料軽減
・在宅子育て家庭に対する事業
に活用するとしており、助成額等の増額や一時預かり所や外遊び事業、子どもひろば等の事業を検討していくとしています。
また、区立幼稚園の保育料の見直しについても
区民意見反映制度による意見聴取を実施することになりました。
意見募集の対象は
・区立幼稚園保育料改定の基本的な考え方
・保育料見直し案
となっており、
募集期間は平成28年9月11日から9月30日までです。
現在区立幼稚園は区内に3園あります。
保育料については、平成19年度に6,500円から8,000円に改定して以来、約10年改定されていません。しかも特別区民税課税世帯では所得に関わらず一律8,000円となっています。
一方で私立幼稚園では、4歳児の月額保育料は平均で2,404円増加し、年額で73,200円の差額が生じています。
このように区立幼稚園と私立幼稚園の保護者の経済的負担に不均衡が生じており区では区立幼稚園保育料の条例改正を検討していて意見募集を行う所です。
現状については下記の表をご覧ください。
年額で73,200円の差額が生じています。
下記は練馬区周辺の自治体との比較です。
練馬区が最も低い金額となっています。
今回の見直しでは保育料階層区分を、子ども・子育て支援新制度において国が定めた階層区分の5階層に合わせ、保護者の負担能力に応じた細かな設定とするものです。
各階層の保育料を私立幼稚園の保護者負担額と同程度に近づけ公私間の差を縮めようとするものです。
表の左側が区立幼稚園部分ですが
A階層については変更はなく、
B階層については、改正後は0円に。
C階層については、現行が8,000円ですが、階層が細かくなり
D階層(年収360万円から680万円)世帯は9,300円に。
E階層(年収680万円以上)世帯は14,500円となる案です。
右側の新制度の私立幼稚園については
表のように金額が記載されていますが、
保護者負担軽減費補助金の月額11,200円が支給されるため
B階層は実質0円に。
C階層は16,100円-補助額11,200円=4,900円に。
D階層は20,500円-補助額11,200円=9,300円に。
E階層は25,700円-補助額11,200円=14,500円となり区立幼稚園のE階層と同額となります。
このことで公私間の差額が縮小されることになります。
また、多子世帯の保護者の負担軽減を図るため
こちらの表のようになります。
第一子のC階層の※部分についてですが、
ひとり親世帯、在宅障害児(者)のいる世帯等に属する幼児の保育料については該当する世帯の第一子に当たる場合は0円となります。
区立幼稚園は3園のみのこともあり保護者会を開催するとしていますが、認可保育園への
在園児保護者への説明の実施を要望しました。
また平成29年度入園希望者にも条例施行前ではありますが、いまこのような見直し案がされていて保育料が変わる可能性があることについても説明をしていく必要があります。
値上げというと聞こえが悪いかもしれませんが、前段でも触れているように区としての財政負担が大きく、いまは72万の区民がいても今後人口減少社会に突入していく練馬区の財政状況をみても見直しをしていかなければならない時代となってきました。
持続可能な財政運営のためにも必要な施策であるわけですが、低所得者には配慮し見直しをしていくべきとの姿勢は崩さずに今後の動向も見ていきたいと思います。