第三定例会で、私が会派を代表し一般質問を行いました。

正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。



各項目ごとに質問と答弁について掲載させていただきます。



高齢者てんかん対策について。


てんかんの発症率については、乳幼児~18歳までが80%と高いことから、若年者が発症すると思われがちですが、欧米の「年齢別発症率・罹患率調査」によると、乳幼児時期のみならず、60歳前後からの発症・罹患率が急増しており、75歳~80歳前後には、乳幼児の発症率を超えていくと報告されています。

主な原因として、脳梗塞・脳溢血等による脳血管障害が30~40%、次いで頭部外傷、アルツハイマー病型の神経変性疾患、脳腫瘍によるもの等が挙げられており、これらは、外部・内部から脳への障害が影響し、発症することがわかっていますが、残りの三分の一は原因不明であり、高齢による身体の変化や疾病等から発病するため「高齢者てんかん」「高齢発症てんかん」と言われています。

若年者てんかんの場合、泡を吹く、全身がガクガク震える、倒れる等、全身症状のけいれん発作で、周囲も気づきやすいことから受診・治療へとつながっていくとのことですが、高齢者てんかんの場合は、二通りあり脳の一部分の興奮による単純部分発作では、けいれんのような発作は起きることが低く、ぼっーとしている、認知障害の物忘れが短期的な症状程度で済み、本人もその状態を覚えていることが特徴です。


また、複雑部分発作の場合は、脳全体の発作のため、意識障害が伴い、もうろう状態が長く、呼びかけても返事をしない、物忘れが強くなる、手・口・舌を細かく動かす、徘徊をする等、認知症の症状と類似していることから、てんかんではなく、年齢的にも認知症の判断となり、「てんかんは子どもの病気」「自分がてんかんになるわけがない」という固定観念で、初期の発症から受診するまでに時間を要してしまうといいます。

高齢者てんかんの検査・治療方法は、「もの忘れ外来」を受診し、HDS―R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)やMRIから異常なしと診断されると、次に問診と脳波検査を行い「てんかん」と診断されれば、若年者てんかんと同様の抗てんかん薬を服薬することで、8~9割の人が症状を抑えることができるとのことですが、高齢者の多くは何らかの疾病があり、かかりつけ医がいること、てんかん症状によっては、脳神経外科・精神科・神経内科等との医療連携や、薬物療法においては、症状・合併症や服薬状況による副作用の注意を払わなくてはならないことから、薬剤師会から啓発されているお薬手帳の活用も重要です。

現在、高齢化社会・高齢化率の上昇も視野に入れた高齢者対策の一つとして、高齢者・家族向け「高齢者の生活ガイド」『自分でできる認知症の気づきチェックリスト』等、様々な刊行物が発行されていますが、これらの中にも、「高齢者てんかん」についての情報の掲載が必要であると考えます。

現在、「練馬区在宅療養推進協議会」における、「認知症専門部会」では、認知症のメカニズムと正しい知識・治療についての啓発方法や情報交換、地域支援の構築がされており、認知症のBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)という行動や心理症状の中にも、実は、てんかんによる症状や行動がみられると学会にも報告されていることから、身近な家族や介護サービス事業者の観察や判断・かかりつけ医への情報提供方法も研究していくことが必要であると考えます。

ある一定の年齢からの発症率が高く、高齢になれば起こりうる「高齢者てんかん」は、治療によって安心して暮らすことが出来ることから、正しい知識と早期発見・早期治療の必要性を区民に周知することは区の責務と考えますが、ご所見をお伺い致します。


==答弁==

高齢者の疾病は、てんかんを含め、その多くが症状が目立たず、周囲に気づかれにくい特徴があります。そのため、家族や介護に従事する方が、病気の正しい知識を持ち、普段と違う状態に気づくことが、早期治療につながります。

 高齢者てんかんと認知症とでは、共に反応が鈍く、ぼんやりとしているなどの症状が類似しています。しかし高齢者てんかんの場合は、意識が短時間とぎれることがあるなど、認知症との違いも見られます。

 高齢者てんかんは、医師による認知症診断で発見されることがあります。認知症の早期発見・早期治療の啓発と合わせて、今年度発行予定の「認知症ガイドブック」などを活用し、周知を図ってまいります。