今回の定例会で私が一般質問を代表して行いました。
その内容について質問と答弁を掲載します。
(正式な議事録は区議会HPをご覧ください)


下記は、
子どもの貧困と教育支援について。

近年、子どもの貧困が大きな課題となっており、今年7月に厚生労働省が発表した子どもの貧困率は、平成24年度時点で16.3%と過去最悪を更新しました。また、等価可処分所得の中央値の50%以下で暮らす相対的貧困率についても、OECD加盟国の中でも高い水準となっており、特に一人親世帯の貧困率は加盟国中最下位という結果となっています。

 貧困率の高さの要因としては、雇用が不安定な家庭ほど経済状況も厳しく、特に一人親家庭の子どもの貧困率は高く、貧困が連鎖する傾向があるとされています。

 今年1月に、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行され、生まれ育った環境によって子どもの将来が左右されることがないよう、健やかに育成され、教育の機会均等を図り、子どもの貧困対策を総合的に推進し、国と地方公共団体が連携を図り対策検討を進めていくこととされています。

区は現在の子どもの貧困状況をどのように認識し、今後どのように取り組むお考えか、ご所見をお伺い致します。
 
子どもの貧困に関する大きな課題の一つとして、教育費の負担があります。

現在、我が国の教育に関わる家庭の負担は非常に大きく、文部科学省の調査によると、幼稚園から高校まで公立に通った場合の学習費の総額が平均で約550万円、大学まで進学すると約1,000万円近くかかるとされています。

中でも、学習塾などの学習補助費については、公立の小学校で年間約13万円、中学校では約25万円、高校では約24万円が支出されており、私立の幼稚園や学校に通う場合はこれ以上の家計負担となっています。

区内の生活保護受給世帯の就学援助受給者数は、24年度小中学生合わせて1,200名、また生活困窮者の世帯で準要保護の就学援助受給者数は、10,785名となっています。

就学援助については、義務教育段階では授業料や教科書が無償となっており、この他にも学用品や修学旅行、給食費が援助され、認定基準の一つとしては生活保護基準額の1,2倍の所得とされていることから、昨年の保護基準の改定に合わせて、やむを得ず支給対象範囲を狭める自治体もありました。

当区では、今年は大きな見直しには至りませんでしたが、一般財源から支出される生活困窮者に対する準要保護の就学援助については、今後の財政状況等を考えると大きな見直しも懸念される状況にあると考えますが、区のご所見をお伺い致します。

子どもの貧困によるさまざまな教育課題を是正していくため、今年4月に生活困窮者自立支援推進法が施行され、国や都と区が連携を図り生活保護世帯や生活困窮者世帯の子どもの学習環境の改善について対策を講じていくことが示されました。

区としても生活保護世帯の学習支援については、中学三年生の子どもを対象として勉強会や学習塾代支援等を行っていますが、生活困窮者自立支援法の中で示されているように、貧困の連鎖を防止していくためには、現在の学習支援を生活保護受給世帯の中学三年生の子どもに限定せず、生活困窮世帯の子どもや、対象年齢も含め、支援対象者範囲を拡大させていくことが必要であると考ますがいかがでしょうか。

また、対象範囲を拡大していくためには講師の担い手も必要となります。
ぜひ積極的に地域の教員や塾講師のOB、ボランティア団体や学習塾等と連携を図るなど、さまざまな社会資源の活用に対して取組むことが重要であると考えますが、合わせてご所見をお伺いいたします。



====答弁====

子どもの貧困についてです。
 平成24年における子どもの貧困率が過去最高となり、貧困に直面する子どもが6人に一人いるとされることは、大変憂慮すべき事態であると認識しています。
 子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、8月に示された子どもの貧困にかんする国の大綱を参考に、子どもの成育環境を整備するとともに、教育を受ける機会の均等を図り、生活の支援など必要な支援のあり方について検討していきます。


 次に、就学援助制度についてです。
 平成25年度の実施状況については、要保護・準要保護を合わせて、小学生の約21%の約7千名が、中学生の約31%の約4千4百名が受給しており、ここ数年、受給率はほぼ横ばいです。
 受給率は、景気動向等に影響を受けることから、今後の推移を注視しつつ、義務教育に機会均等を図る観点から、就学援助のあり方について、検討していきます。
 次に、生活困窮世帯の子どもの学習支援についてです。

 区では、平成23年度から、生活保護受給世帯の中学3年正を対象に勉強会を開催し、子どもの学力や心身の状況、家庭環境に合わせた個別支援を行っています。
 この勉強会に参加した生徒全員が高校へ進学しており、貧困の連鎖の防止、子どもの健全育成に成果を上げています。
 平成26年度は、早期準備・中退防止等の観点から、勉強会の対象を中学1年生から高校年代まで拡大して行っています。

 今後は、生活困窮者自立支援法に基づき、生活保護支給世帯の子どもだけではなく、生活困窮世帯の子どもに対しても、学習支援を実施していきたいと考えています。


 次に、学習支援事業の担い手についてです。
 事業の対象範囲の拡大にあたっては、支援の担い手の確保が大きな課題と認識しています。子どもの実情に応じて、適切に支援できるよう、地域の教員OBや民間団体など様々な社会資源の活用について、検討してまいります。