今回の定例会で私が一般質問を代表して行いました。
その内容について質問と答弁を掲載します。
(正式な議事録は区議会HPをご覧ください)


下記は、
産後のケアについて。

 少子化対策の一環として、ファミリーサポート事業や子育て支援事業など、制度としての枠組みは出来てきましたが、充分に対応しきれているとは言えず、まだまだ子育て世帯の心身の負担が大きいのが現状であります。

特に産後については、子育てに忙しい母親の健康は後回しにされがちで、出産直後はうつ病にかかる女性が多く、日本では出産した女性のうち、13.4%に産後うつの症状がみられると報告されています。

さらには、浜松医科大学子どものこころの発達研究センターの松本かおり特任助教は晩産化が進む中、35歳以上で初産の母親は産後うつになりやすいことを発表しました。

産後うつを発症する 80%もの女性は未受診のままの状態でいるとされており、育児放棄や児童虐待につながる可能性がある点で、早期に発見し、治療を開始することが大切であると考えます。
また、高齢出産の場合は、実家の両親が高齢化のために援助を受けられないといった状況もあり、産褥期は肉体的にも精神的にも女性にとって不安定な時期であるため、心身ともにきめ細やかな支援が必要です。

そこでまず区において、産後ケアが必要な状況についてどのように把握されているのか、ご所見をお伺い致します。

区では、育児や産後の体と心についての悩みや不安などを相談できるよう、生後4か月までの乳児がいる家庭を助産師または保健師が訪問する乳児家庭全戸訪問事業を行っており、平成25年度は92,4%と高い訪問率ではありますが、7.6%の家庭については未訪問であり、どのような理由によるものかお聞かせください。

また、乳児家庭全戸訪問と産後うつの発症時期とのタイミングのずれや、継続的なフォロ-アップ体制の不十分さが指摘されており、児童虐待等に繋がる恐れも考えられることからフォロー体制について改善すべきと考えますがご所見をお伺い致します。


世田谷区では平成20年3月に区有地に産後ケア施設を開設しました。世田谷区民で、産後4か月未満の母子で親族の援助を受けられず、育児不安や体調不良がある方を対象として1日8組が利用できるようになっており、宿泊、日帰りを併せ平成25年度の利用状況は延929組、稼働率は81%と需要が高いことが窺えます。


また、京都市では市内出生のうち1割程度は産後ケアが必要な状況で、これまでに訪問指導も行っていますが、医療機関で集中的に支援したほうが母親の回復や育児知識の取得も早いことや、母親の負担を減らすことで次の妊娠、出産にも繋げていけるように、今年7月から市内産科病院や助産所などに委託し、宿泊や一時滞在型のスマイルママ・ホッと事業を開始しています。

このように産後ケアのための滞在型施設を設置している自治体もありますが、練馬区としても医療機関を巻き込んだ地域への展開が必要であると考えます。先行例も踏まえ区内への産後ケア施設設置に対するご所見をお伺い致します。



====答弁====


私から、産後ケアについてお答えいたします。はじめに産後ケアが必要な状況の把握についてです。

 区では、妊娠届の際に記入して頂く妊娠サポートアンケートをはじめ、妊婦健康診査や保健相談を通じて、妊娠早期から妊婦の健康状態の把握に努めています。また、乳児全戸訪問事業の際に、産後うつについての問診票を用いて、母親のこころの健康チェックを実施しています。これらの対応の積み重ねにより、産後ケアの必要性の高い方を把握するなど、妊娠、出産、教養の期間を通した取組を行っています。

 つぎに、乳幼児全戸訪問事業についてです。

 本事業については、里帰り出産や第2子以降の出産であることを理由に、家庭訪問を希望されない方や、乳児の入院等の事情があるため、約7%の家庭については生後4か月までの訪問ができていません。訪問ができなかった家庭には、保健師が電話で接触を図るとともに、乳幼児健診で、子どもの発育状況を確認しています。

 つぎに、乳児全戸訪問事業と産後うつの発症時期のタイミングのずれについてであります。
 産後うつは、出産後の母親のストレスと育児の負担等が原因となり、生後2週間から3週間頃にかけて様々な症状が現れます。

一方、乳幼児全戸訪問事業は生後1か月から2か月の時期に訪問を希望される家庭が多いことから、タイミングのずれが生じています。区では、今後妊娠期から産後うつについての啓発に努め、産後うつが疑われる場合には、早期の家庭訪問に取組みます。

 つぎに、産後うつが疑われる場合のフォロー体制についてです。

 産後うつの状態を把握した場合には、担当する保健師が精神科医の助言を受けながら、適切な治療を受けるよう勧奨していきます。

 また、産後に母親の休養が不足したり、家庭の支援が十分得られなかった場合には、症状が重くなることがあることから、家族を含めた支援を行って行きます。さらに、乳幼児健診等の機会
を活用して、継続的に支援していきます。

 つぎに、宿泊を伴う産後ケア施設の設置についてです。

 区では、産前産後に母親が体調を崩して、家事や育児が困難な場合には、育児支援ヘルパーを家庭に派遣しています。
また、家庭での育児が困難な場合には、乳幼児一時預かり等の対応を行っています。

 産後ケア施設の設置については、今後、関係所管が連携して、施設を設置している自治体の実態等を把握し、その必要性を含めて調査・検討していきます。