第二定例会で一般質問の内容について掲載致します。
(正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。)



区立中学校における部活動のあり方について。



平成24年度から実施された中学校の新学習指導要領には、部活動の意義や留意点について「スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意すること」と規定されています。学習指導要領に部活動と教育課程との関連が明記されたのは、初めてのことですが、平成10年の中学校学習指導要領の改訂で、一旦は廃止された部活動に関する記述が復活した背景には、中学校や高等学校における教育の中で部活動は大きな役割を果たしているとの判断があったようです。

 とはいえ、部活動の現状は、少子化や外部のクラブチームなどの進出に加え、
①学校教育の中での位置づけが必ずしも定着していないこと、
②教員にとっては本務ではなく、あくまで付加的な職務と受け止められ、処遇やバックアップ体制も不十分だったこと、
③特殊な技能を必要とする分野では、指導面での困難さが増していることなど、解決すべき課題が山積しています。
 まずお聞きしますが、区として、区立中学校における部活動をどのように位置付け、現状と課題をどのように認識しているのか、お考えをお聞かせ下さい。

 指導体制の問題としては、中学校の教員が部活の顧問に就くと、ただでさえ忙しい教師の仕事に拍車がかかるといわれます。平日は授業が終わると夕方まで部活を指導し、教材研究や事務仕事のために、机に向かうのは夜になってから。土日も試合や練習があり、夏休みもない。

これは、かなり熱心に部活を指導されている教員の例かも知れませんが、一方で、顧問にふさわしい人材が見当たらず、経験したこともない分野の顧問を頼まれることもあり、顧問の教員が見つからない場合には、廃部を余儀なくされることもあるようです。
 練馬区には中学校の学校選択制度があるので、学区内の学校に希望する部活がなければ他校に行くことも可能ですが、それによって地域の友人関係が犠牲になったり、そもそも人数制限によって希望する学校の抽選に外れることもあり得ます。もちろん部活の内容によっては生徒数や校庭の広さなど物理的な制約もありますが、指導者がいないという理由で部活ができないという事態は極力避けなければなりません。

 そうした観点から、練馬区でも外部指導員制度を導入しており、5月16日現在で328人の方が登録され、様々な部活で指導に当たられています。

区における外部指導員の考え方は、あくまでも「指導者不在のために廃部になるような事態」を防ぐためで、積極的に技術の向上などを目指すものではないようです。
 いうまでもなく、部活動の目的は勝負に勝つことやコンクールで賞を取ることではありませんが、適切な環境と指導の下で、生徒たちに充実した時間を過ごしてもらうことこそが、学習指導要領でいうところの「学習意欲の向上や責任感、連帯感の醸成」につながると考えます。

 そうした意味から、外部指導体制を「廃部になりそうな部活の救済」という消極的なものから、より適切な技術的指導や対外試合の引率なども含め、責任者としての役割を担えるものに変えていく必要があると考えます。それは、部活の活性化だけでなく、多忙な教師の負担軽減にも寄与するもので、そのための人員確保とともに、管理・運営のノウハウや技術指導を学ぶ機会の提供などについても、区が積極的に支援していくべきと考えますが、区のご所見をお聞かせください。

 いかに外部指導体制を充実させたとしても、部活動が学校教育の一環である以上、教員が全く関与しないわけにはいかないでしょう。そこで、顧問を引き受けた教員の処遇を含めて部活における顧問の位置づけを明確化し、その上で外部指導員との役割分担も明確にすべきです。そのためには、部活の指導も含めた教員の勤務実態を調査するとともに、外部指導員制度の現状についても把握する必要があると考えますがいかがでしょうか。
1979年にアメリカで出版され日本語にも翻訳された「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の中で、日本の学校における部活動について「緊密なクラブ活動を通じてグループ生活を楽しみ、同時に仲間との協調、利己心の抑制を学ぶ。こうした態度を学校生活の中で学ぶことは、のちに社会に出て就職しても、仲間との長期にわたる、思いやりのある人間関係をつくることに役立つ」と評価されております。

学校を単位とした部活動は、外部の民間団体が発達した欧米に比べると特異なものでしたが、わが国でも、とくにサッカーや野球などで、より高度な技術を学ぶために、外部のクラブチームに参加する子どもが増えています。
また、部活動については「いじめや暴力の温床」というマイナスイメージとも無縁ではありませんでしたが、子どもたちの体力や社会性、協調性、コミュニケーション能力が低下していると言われる今日だからこそ、日本の文化ともいえる、部活動の重要性は増していると考えます。今後、顧問の教員のフォロー体制や指導者育成などを積極的に支援していくことが必要であると考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。



===答弁===
(教育長)
区立中学校の部活動のあり方について。

 部活動は、生徒がスポーツや文化、科学等に親しむことで、自らの適性や興味・関心等をより深く追及し、責任感、連帯感の涵養と好ましい人間関係の形成に資することができる貴重な機会であるととらえております。

 また、学習指導要綱には、部活動はその運営において、地域の人々の協力を得るとともに、社会教育施設や各種団体との連携を図ることが明記されており、学校教育との地域とのつながりに資する活動でもあります。

 練馬区立学校の管理運営に関する規則においても、中学校はその管理下において部活動を行うこととして位置づけられており、顧問教員は強化指導や生活指導、進路指導等を担いなら部活動を担当しています。また、学校は教員の人数や施設設備の状況、生徒の要望等を総合的に判断して、様々な部活動を行っています。
 その一方で、部活動の種類によっては、指導できる顧問教員がいないという課題があります。

 そこで教育委員会は、顧問教員のもとに、部活動の外部指導員を全ての中学校に配置しています。外部指導員からは、技術や指導方法を顧問教員や生徒が学ぶ貴重な機会となっており、引き続き人材確保に努めてまいります。

 顧問教員と外部指導員の役割分担につきましては、部活動外部指導員設置要綱において、外部指導員は校長の指揮監督のもと顧問教員の指示に従い、専門的な技術指導を行うものと明示しております。また、部活動が学校教育の一環であることから、顧問教員は引率や活動中の安全面への指導などに責任を負っており、外部指導員はこれらの補助的業務を担っております。今後もこの役割分担を変更する考えはありませんが、外部指導員の更なる活用方策については研究してまいります。

 顧問教員の勤務の状況は、校長・副校長により適正に管理されるべきものであり、教育委員会として調査を行うことは考えておりません。また、外部指導員の活動状況につきましては、毎月の実績報告などで把握しているところであります。

 顧問教員の研修については、それぞれの部活動関係団体が、指導者研修会を開催しており、顧問教員は、部活動の運営や技術指導に関する研修を通して、日頃の部活動の指導に役立てています。
 教育委員会といたしましては、今後とも、部活動の指導体制のあり方に留意するとともに、部活動がより充実したものとなるよう引き続き支援してまいります。