第一定例会での会派の一般質問について掲載いたします。

正式な議事録は区議会HPに載ります。

『区財政について』

区財政ならびに区長の基本姿勢について伺います。
政府の月例経済報告は、昨年9月以降「景気は穏やかに回復しつつある」としていましたが、年明けの1月には「景気は穏やかに回復している」と4カ月ぶりに上方修正されました。国の経済動向については区としても「政府のデフレ脱却に向けた総合的な経済対策により、企業活動や個人消費に改善が見られる」としています。

一方、1月25・26日に共同通信社が行った全国世論調査によると、「安倍政権の経済政策で景気が良くなった」と実感している人は24.5%だったのに対し、「実感していない人」は73.0%に上り、区内の中小事業者などからも、未だに「景気回復の実感がない」という声が多く聞かれます。

アルゼンチン・ショックに端を発する新興国の金融不安は、ギリシャ危機ほどの影響はないとされていますが、少なくとも短期的には円高・株高傾向が見られました。さらに、4月の消費増税による影響も未知数で、決して先行きは楽観できません。

そこで伺います。区は、昨年来の経済情勢をどのように捉え、来年度予算編成に当たられたのでしょうか。まずお聞かせください。

練馬区の平成26年度予算案は、一般会計の総額が2391億3100万円、前年度比3.1%、72億8000万円の増で過去最高規模となっています。

平成20年のリーマン・ショック以降、歳入が伸びず、厳しい財政運営が続いてきましたが、26年度予算に関する限り、主要財源である区民税および特別区交付金は、それぞれ前年度比3.3%、4.4%の増収を見込んでおり、将来負担につながる特別区債や繰入金は、それぞれ前年度比マイナス12.7%、マイナス31.7%と大幅な縮小させることができました。
とはいえ、平成24年度決算における経常収支比率は89.8%まで悪化しており、その一因である社会保障関係経費は今後も増え続けることが予想されています。

 さらに、区の施設白書によれば平成27年度から平成36年度までの10年間に要する施設の改修・改築費用は2100億円に達すると試算され、これが一層区財政の圧迫をさせていくことが予測されます。 

そういう意味でも、決して区財政が一息つけたとはいえず、2391億円余の予算は、景気の好転を背景とした積極予算とはならず、増え続ける社会保障関係経費に対応するために最低限必要な額であったと推察をしています。

そこで伺います。平成26年度予算における一般財源の増収は、たまたま経済が上向いた時期に重なったものであり、悪化を続ける経常収支比率の改善や平成27年度以降も増え続ける経費に対応していくためには、好調な経済が続いていかない限り難しいと考えますが、区のご所見をお訊かせください。

 また、区の財政のもう一つの懸念材料として、今4月に消費税率が5%から8%に引き上げられるのを機に、区の歳入のおよそ3分の1を占める特別区財政調整交付金の原資である法人住民税が一部国税化され、平成27年度以降、区の歳入に大幅な減収が見込まれていることです。

これについては、法人住民税が一部国税化される一方で、消費税の地方分が現行の1%から1.7%となり、差し引きの影響は少ないという見方もありますが、地方消費税が増える分については、消費税法上、「社会福祉施策に充てること」と明記されており、自治体の自由度が低いことから、マイナス面の方が大きいという見方があります。

自治体運営の原資は「税」であり、自治体がどのような公共サービスを供給すべきかを決めるのは、本来、納税を通じてその経費を負担する住民や企業であるべきです。このような観点からすれば、自治体に必要な財源は可能な限り地方税で賄うべきであり、地方主権に反するという点からも、区としてはこうした動きに反対の意を唱えていくべきと考えます。この点について区はどのようなご見解をお持ちでしょうか。

併せてご所見をお訊かせください

 厳しい財政状況が続く中、これまで区は「選択と集中」を唱え続け、事務事業の総点検などを通じて一定の成果を挙げてこられたと思います。しかしながら、増え続ける社会保障関係経費など今日的財政需要を考えた場合、実際に削減できた額は、とても十分とは言えません。

 持続可能な財政運営のためにも、総額100億円近くに及ぶ各種補助金の再点検も必要と考えます。また、これまで見直しの対象とされなかった「第3子お祝い金」「子ども医療費助成費」「高齢者いきいき健康事業経費」などの扶助費も含め、聖域を設けずに点検する必要があると考えます。ご所見をお聞かせください。



====答弁====

区長答弁:財政について。

 わが国の経済は、政府のデフレ脱却に向けた総合的な経済対策により、引き続き改善傾向が見られ、国は、1月の月例経済報告において、景気の先行きについても、「景気の回復基調が続くことが期待される」」との見方を示しております。また、区内の中小企業の平成25年度第3四半期の業況をみましても、建設業をはじめ、全ての業種が前期よりも上昇しており、景気回復が徐々に及んでいることが窺えます。
 一方、区におきましては、平成24年度決算において、生活保護費をはじめとする扶助費の増により、経常収支比率が89.8パーセントとなり、財政の硬直化が一段と進行しております。加えて、高齢化の進展や保育需要の増加に対する対策、小中学校の校舎をはじめとする施設の改修改築への対応など、喫緊に対処すべき課題が山積しております。
 このような中、平成26年度予算の編成にあたりましては、長期計画の最終年度であることを踏まえ、計画に掲げた目標の達成をめざすとともに、事務事業総点検の趣旨に基づき事業の抜本的な見直しを行うことを方針として臨みました。その結果、区政の喫緊の課題である保育所の待機児童対策、学校の安全安心対策および大江戸線の延伸などに積極的に取り組むこととしたところであり、あわせて財政の健全化に留意して、基金繰入れや起債発行の縮減を図ったところであります。
 平成26年度予算における一般財源の総額は、平成25年度を比較して、約77億円、5.3パーセントの増を見込んでおります。このうち、都内財政調整交付金が約32億円、特別区税が約20億円を占めておりますが、いずれも景気の動向に左右され易いものであります。そこで、国や都の補助金をはじめとした財源を確保するとともに、不断に事業の見直しを行ない、限られた財源を効果的・効率的に最大限活用しながら、引き続き、持続可能な財政運営に努めてまいります。
 また、法人住民税の一部国税化につきましては、その目的が地方の税収格差の是正にあたることから、本来、国からの地方への税源移譲によってなされるべきであり、地方の税源である法人住民税を国税化して再配分するということは、地方分権の考え方に反するものと考えております。国において、消費税率10パーセント段階における法人住民税のさらなる国税化が議論されていることから、区議会のご理解、ご協力をいただきながら、区長会の一員として、区の財源確保の観点にたって対応してまいります。

企画部長答弁:補助金について。

 景気は緩やかに回復してきておりますが、消費税増税の影響や地方法人税の一部国税化など、今後の区財政を取り巻く環境は予断を許しません。
従いまして、不断に事務事業の見直しを行い、持続可能な財政運営を行うことが必要であると考えております。
 補助事業についても、例外なく見直すこととしており、区では、概ね3年毎にその見直しを行ってきたところであります。来年度の見直しの実施年度にあたることから、補助の目的とその効果、公平性など多様な観点から取り組んでまいります。

 区財政は、引き続き厳しい状況に置かれることが想定されます。基本構想に掲げた目標を達成するために、補助金に限らず扶助費を含めた全ての事務事業について不断に見直しを行い、将来に向けた行政サービスのあり方について、充分に検討してまいりたいと考えております。