12月3日に会派を代表して、今回は私が一般質問を行いました。

一般質問とその答弁を掲載します。
(正式な議事録は区議会HPに掲載されます)


今回は、平成26年度予算編成など区の財政について。

11月の月例経済報告は、9月、10月に引き続き「景気は、緩やかに回復しつつある」とされており、企業収益は大企業を中心に改善し、個人消費もいわゆる「駆け込み需要」の効果もあって、持ち直し傾向にあることは間違いないようです。

雇用情勢についても持ち直しており、政府が大企業に賃上げを要請し、一部の企業が春闘における定期昇給や一時金の引き上げに応じたことも好材料といえるでしょう。

しかし一方では、アベノミクスは一部の大企業や富裕層にしかメリットがないとの批判もあります。中小企業中心の区内事業者からは相変わらず業績が回復しないという声も聞かれ、企業の業況が所得には直接反映しない年金生活者はもとより、現役世代からも未だ「景気回復の実感がない」という声が多いという現実もあります。

賃金についても、生産拠点の海外シフトが進む中で直接メリットを享受する社員が減っており、今後、賃上げの対抗策として企業が非正規雇用を増やすような事態になれば、全体としての効果は上がらないでしょう。

こうした経済状況が区の財政に与える影響を想定すると、景気回復による法人住民税の増収や消費税増税による地方消費税率のアップは確実に増収に繋がり、短期的には歳入増が見込まれます。

ただし、消費税増税が景気を一気に冷え込ませる可能性を否定できない他、政府が行っている地方法人課税の見直しの方向によっては財調の原資である法人住民税にも影響が及ぶ可能性があり、中長期的に見れば区の歳入が増える保障はありません。

まず、お聞きしますが、区長は区を取り巻く現在の経済状況をどのように捉え、来年度予算をどのような視点に立って編成していくお考えかお答えください。

 平成20年のリーマンショック以降、練馬区の財政は景気低迷による歳入減と歳出面における扶助費等の増大により、年々経常収支比率が悪化し、平成24年度には89.8%と過去最高となりました。

 さらに、区の財政白書によると平成23年度に698億円だった扶助費は、平成28年には822億円に達すると見込まれています。増加分の多くは、リーマンショック以降の景気低迷と今後の高齢化に伴う生活保護費の増加を見込んだものですが、加えて、昨今の保育施設や介護施設に対する需要増加も考慮しなければなりません。

また、高度成長期に急速に発展した練馬区では、区施設の老朽化が進んでおり、練馬区施設白書によれば、平成27年度から平成36年度までの10年間に要する区の施設の改修・改築費用は2100億円に達すると試算され、1年間に換算した210億円という額は平成23年度の投資的経費233億円に匹敵します。

 以上のように、区の歳入は短期的には増える見込みですが、仮にアベノミクスがある程度の効果を上げたとしても、中長期的に区の歳入が劇的に増えるとは考えにくく、一方で扶助費の増大や施設の改修・改築は避けて通ることはできません。

 このように、限られた歳入の中で、義務的経費が増えていくという状況にあっては、今まで通りの財政運営を行っていくことは不可能であり、これまでかかってきた事業費のどれかを削らなければならないと考えますが、この点について、区はどのようにお考えでしょうか。
 
区はさらなる「選択と集中」を進めていく観点から、平成24年度からの2年間を「事務事業の総点検期間」と位置づけ、全事務事業の抜本的な見直しを実施していますが、その進捗状況と現時点で想定される具体的な見直しの内容をお示しください。
 
総額100億円弱におよぶ補助金については、平成22年度から24年度の見直しによって、10事業の廃止と3事業の縮小などを行いましたが、8つの新規事業などもあり、結果として24年度予算における補助金は23年度当初予算と比べて10億5千万円増えています。

 補助金を伴う事業についても、事務事業の総点検の中で見直されるものと思いますが、厳しい財政状況にあって、まずは自助努力という原則に立ち、不断の見直しが必要と考えます。

また、見直しにあたって、成果指標があった事業はわずかに65事業で、127の事業については成果指標がありませんでした。事業によっては指標の設定が難しいことは理解しますが、区自身が「補助金の公益性・必要性・透明性を確保するためには、効果を測定する成果指標を可能な限り設定することが大きな課題」としていますが、その後の成果指標の設定状況をお示しください。

 今回の補助金の見直しにあたっては、「子ども医療費助成費」「高齢者いきいき健康事業経費」など、実質的に補助金的性格を持つ事業でも、扶助費に分類されるものについては対象になっていませんでした。しかし、これらの事業のように、対象者が多く、廃止あるいは縮小した場合に痛みが伴う事業についても、公益性、必要性の観点から例外なく検討の対象とされるべきですが、区のお考えをお聞かせください。


===答弁===
~区長~
 平成24年度末からの政府のデフレ脱却に向けた総合的な経済対策により、企業活動や個人消費の改善がみられ、国は、11月の月例経済報告において、「景気は、緩やかに回復しつつある。」としております。先行きについても、「景気回復の動きがたしかなものとなることが期待される」との見方を示しているところであります。

 一方、区におきましては、平成24年度決算において、生活保護費をはじめとする扶助費の増により、経常収支比率が前年度の89.5パーセントをさらに0.3ポイント上回る89.8パーセントとなり、財政の硬直化が一段と進行しております。加えて、社会保障関係経費等のさらなる増加、小中学校の校舎をはじめとする施設の改修改築への対応など、喫緊に対応すべき課題が山積しております。

 こうしたことから、平成26年度の予算編成にあたりましては、長期計画の最終年度であることを踏まえ、計画目標の達成をめざすとともに、事務事業の総点検に基づく事業の見直しに、現在、鋭意取り組んでいるところであります。

 今後とも、不断に事業の見直しを行い、限られた財源を効果的・効率的に最大限活用しながら、引き続き、持続可能な財政運営に努めてまいります。


~企画部長~
事務事業の総点検についてであります。
区におきましては、財政健全化の一環として、平成24年度と今年度の2か年にわたり、行政評価制度を活用した全事務事業の総点検に取り組んでおります。点検にあたりましては、所管部において全事業について事務事業評価表を基に、見直しの方向性を検討した上で、所管部による自主的な見直しを行うものと、区長のもとで見直すものとに仕分けし、現在、その最終的な整理の段階におります。今後、さらに検討を進め、その結果については来年度以降の予算に反映させてまいりたいと考えております。

 つぎに、補助金につきましては、本区では、平成24年2月にあらためて補助金の見直し方針・実施方法等を定めたところであり、3年毎に見直しを実施することとしております。
来年度は見直しの実地年度にあたることから、補助の目的とその効果、規模や成果指標等について検証し、更なる見直しに取り組んでまいります。

 いずれにいたしましても、経常収支比率が悪化し、財政の硬直化が進む中、限られた財源を活用し区民福祉を向上させるためには、全ての事業について不断の見直しが必要であると考えております。見直しを行うにあたりましては、議会をはじめ区民の皆様のご理解・ご協力を頂きながら、進めてまいりたいと考えております。