今定例会での一般質問⑦自転車問題対策 についてです。

(正式な議事録は議会HPから見ることができます。)


自転車は、通勤・通学・買い物など生活の足として、観光目的での利用、さらには、エコや健康意識の高まりからサイクリングや本格的なスポーツ競技まで幅広く活用されています。

しかし、公道において自転車は、道路交通法上、車両の一種「軽車両」に属し、特に歩行者に対しては強い注意義務が課せられているにもかかわらず、マナーの悪さが指摘され、重大な責任を負っていることが十分認識されていない状況が続いています。

例えば、平成20年9月に神戸市で起こった、小学校5年生が運転する自転車が67歳の歩行者に衝突した事故の損害賠償請求訴訟で、神戸地裁は、時速20キロから30キロで走行していた少年の前方不注意が事故の原因と認定し、ヘルメット未着用も相まって「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」と、少年の母親に計9500万円もの賠償を命じました。そこで、まず、区はこのような痛ましい結末をどのように受け止めておられるか、お伺いします。


このように自転車事故で高額賠償が決まったケースは少なくなく、自転車利用者の多くが保険未加入であるため、加害者が自己破産する例もあるようです。
自転車の普及推進や啓発活動をしている財団法人日本サイクリング協会(JCA)によると、全国の自転車保有台数は7千万から8千万台で、そのうち3千万台が日常的に利用されているとみられていますが、自転車の保険加入率については「統計がないので把握し切れず、感触として10%に満たないのでは」との見解を示しています。

そこでお聞きしますが、練馬区は、区民の保険加入率をどの程度把握されているのでしょうか。私どもは、自動車の自賠責保険のように、保険加入を義務付けるなどの制度を整備しない限り、前述のような不幸な事例が繰り返されると心配しておりますが、制度の整備について、ぜひ区としても検討していただきたいと考えておりますが、ご所見をお伺いいたします。

増加する自転車事故の背景には、「自転車は手軽というイメージが先行しすぎて、安全教育が行き届いていない」ことがあると指摘されています。
今後、児童・生徒自身の自転車マナーに関する安全教室をさらに徹底するだけでなく、親権者や高齢者などすでに教育を受け終わったと認識している方々にも、その責任の重さをしっかりとお伝えする機会を大幅に増やすことが必須と考えます。

また、ハード面の対策として、自転車走行レーンなどを引き続き迅速に整備することも欠かせません。
いずれにしても、平成24年9月の東京都自転車対策懇談会における「自転車問題の解決に向けて」の提言に沿って、様々なかたちで社会問題化している自転車対策に区が積極的に取り組み、練馬区が「自転車マナー先進区」となることを強く要望します。


====答弁====

自転車事故の高額賠償請求について。
 近年、自転車利用者が加害者となり、多額の賠償金で経済的に破たんする事例も発生しております。

区といたしましては、被害者への補償はもとより利用者双方にとって不幸な結果を招くことのないよう、交通ルールやマナーの徹底と、保険加入の普及の必要性を認識しているところであります。

区民の保険加入率について。
民間の自転車保険も多種多様化しており、その実態把握は難しい状況ですが、現在区が実施している区民交通障害保険においては、自転車賠償責任プランを約1万人、66%の加入者が選択している状況であります。


保険加入を促す制度の整備について。
 今般、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」に、自転車損害賠償保険への加入に関する努力義務が規定されたことから、区といたしましても、保険加入の重要性について、これまで以上に、様々な機会を活用しての制度整備について、可能性を含めて、研究してまいります。


自転車利用のマナー向上について。
 自転車は手軽で便利で環境にやさしい乗り物であり、通勤など近距離移動手段として、今後も利用の増加が見込まれます。
区では引き続き、放置自転車の走行環境の整備を進めるとともに、警察署や環境機関と連携しながら、交通安全教室などを通して自転車利用のルールの徹底とマナーの向上に取り組み、安全で快適な自転車利用環境の整備を推進してまいります。