一般質問の内容をアップします。
正式な議事録は議会HPから見ることができます。


今回は、区と大学との連携事業についてです。

平成18年の教育基本法改正以降、大学は専門の学芸を研究するだけでなく、その成果を広く社会に提供し、社会発展に寄与していく機関と位置づけられました。

これを受け、昨年、文部科学省は「大学改革実行プラン」の中で、目指すべき新しい大学像は、教授による専門部門を掘り下げる学芸やその応用的能力を展開するだけではなく、我が国が直面している少子高齢化や生産年齢人口の減少、国際競争の激化、医療、介護、保育拡大などの課題に対して、地域自治体と共同してその解決に取り組む「地域再生の核となる大学」「生涯学習の拠点となる大学」「社会の知的基盤としての役割を果たす大学」が重要と、具体的な目指すべき新しい大学像を示しました。

そこで、これまで以上に区と区内の大学との連携を図り、さまざまな課題に取り組むことが重要になったと考えますが、この大学像について区のご所見をお伺いします。

また、この取り組みを具現化する事業として、今年度より文部科学省は「地(知)の拠点整備事業」をスタートしました。この事業は全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進める大学に対して国が支援をしていく制度で、地域課題に対して大学の資源をマッチングさせ、大学と自治体が協力してその解決に取り組むもので、本年5月には319件の事業申請が大学より提出されました。

都内では、三鷹市、八王子市、羽村市が杏林大学と連携して都市型の高齢社会対策を、23区では江東区と港区が連携して芝浦工業大学と「まちづくり」「ものづくり」を通した人材育成事業に取り組む事例などがあります。

さらに、この事業を活用せずに、港区では本年7月、東京大学医科学研究所と連携協定を締結し「みなと緩和ケアダイヤル」としてがん患者専用電話を開設し,地域医療の橋渡しだけでなく、研究所付属病院との連携により遺伝性がんなどの特殊な相談に応じたり、区立中学校においては、新しいがん治療開発やips細胞に関わる医科学等の健康教育の授業が始まりました。

このように大学との連携という意味では、練馬区も事業展開を図っていますが、区と大学が総力を挙げて実施しているという状況にはなく、それぞれの所管部署同士が小規模に連携しているのが実情で、大学の知の資源が幅広い分野で十分に活かされているとはいえません。
そこで、これまで以上に連携を強めるために、大学に対する区の窓口を一本化することを含め、大学と包括的な連携協定を締結したうえで、幅広い具体的な事業展開を図る体制の構築が必要と考えます。これまでの取り組みの評価を含め、今後の区の方針についてご所見をお伺いいたします。

また、区としても、この「地(知)の拠点整備事業」の活用を区内大学とともに検討してみてはいかがでしょうか。たとえば、現在、文化芸術関連で連携協力している、日本大学藝術学部、武蔵大学、武蔵野音楽大学と、現在進行中の文化芸術振興計画や生涯学習推進計画に基づく各事業をさらに発展させるため、子どもたちの文化芸術教育に関わる新たな事業を展開したり、各種サークル活動団体やNPOなどと大学が連携を図り、区民の文化芸術や生涯学習に関わる新たな事業を展開していくなどはいかがでしょうか。区のご所見をお伺いいたします。

====答弁====

文部科学省が平成24年6月に制定した「大学改革実行プラン」の目指すべき大学像について。

 これは、大学が積極的に地域と連携して学生の教育や研究を推進する方向性などを示すとともに、地域社会の課題に対する取組を通じて、大学の教育と研究機能を強化していくという、これからの大学に求められる姿を示したものと理解しております。
 区では、区内三大学をはじめとする大学等の教育研究機関とも連携して、区の様々な課題解決に向けて取り組んでいるところであり、区が大学に期待する内容と合致するものであると考えております。

大学との連携強化について。
 これまで、区では、区内三大学をはじめとして、各大学が得意とする分野の知的資源や学生の力を活かし、産業や文化・生涯学習、福祉、教育、選挙などの分野で連携を図り、成果を挙げております。今後も幅広く連携を図っていくため、大学側の意見・要望を尊重しつつ、協定等の締結を含め、適切な対応を図ってまいります。

「地の拠点整備事業」の活用について。
 この事業は、大学が企画し実施する事業であり、自治体はその計画を承諾し、協力をしていくこととされております。

 現在、区では生涯学習センター公開講座や練馬区武蔵大学特別聴講生制度、文化振興協会との共催による音楽コンサートなど、区内の大学の特色をいかした文化芸術、生涯学習事業を展開しているところであります。引き続き大学連携事業を推進するとともに、平成23年度に設置した文化芸術振興連絡協議会などを活用して、区内三大学と「地の拠点整備事業」の活用を含め、情報交換を図ってまいります。