一般質問⑦生活保護施策について
(正式な議事録は議会HPからご覧ください)



近年、生活保護受給者は増加の一途をたどり、昨年10月に厚生労働省が発表した受給者数は214万2580人、生活保護関連予算規模においても、国と地方自治体合わせて過去最高の3.7兆円でした。
そして、本区の平成25年度扶助費の予算額をみると、昨年より5.5パ-セント増の318億円が計上されていました。
生活扶助基準は、平成16年の社会保障審議会の基準部会の中で5年毎に検証がされ、本年1月では、この報告内容を基に、国民の消費動向、低所得世帯の生活実態等を勘案しながら扶助基準検討がされています
このように生活保護制度の見直しや動向からみても、区の役割である「自立支援に対する施策の動向と適正受給に対する取り組み」は、今後も引き続き注視していくべき重要課題と考えます。

自立支援策の生活保護世帯の中には、働ける世代がいる、その他世帯が2,396世帯おり、その世帯に対しては、ハローワークと連携し、また、就労支援専門員の増員をしながら取り組みを強化しています。平成23年度では423名の方が就労支援プログラムを受講していました。
しかしながら、実際に就労支援プログラムを受講しても、自立支援廃止に繋がるケースは少なく、この423名の受講者のうち、たった16名しか自立支援廃止に繋がらなかったとのことでした。
その原因として、保護受給者の多くは、職についたものの退職をしてしまい、生活保護の再受給に来るというケースや給与等の収入の額が保護費を下回り、生活保護から自立できない状況が主だということでした。
このような実態からみて、これからの就労支援プログラムは、ただ支援者数や就職者数の把握のみをするのではなく、支援以降の就労の様子や保護費の再受給者とならないよう実態等を細かくチェックしていくことなど、積極的な対策を講じることが重要と考えます。区のご所見をお聞かせ下さい。
次に生活保護費の適正受給に対する取り組みについてお伺いいたします。
生活保護費については、福祉事務所による厳密な審査を行い、受給者に対し支給をしています。
ところが、厚生労働省の発表によると国全体の生活保護法第78条にあたる
不正受給の状況は128億円を超える額となり、比率にすると生活保護費全体の0.4%とのことです。
不正の状況の殆どが、給与や年金等の不正申告や家族構成の申請などを「不正受給をしているのではないか」と、地域の通報や投書により、自治体の照会や調査により発覚するとのことでした。
区も同様に、この生活保護法第78条にあたる不正受給者はいると考えます。
不正受給の状況やその対策についてお聞かせください。
不正受給への取り組みには、資産調査専門員、ケースワーカー等、自立に向け活動状況や年金等の受給資格の有無等を確認し対応していますが、100名を担当者一名で対応してくため、普段の生活状況や自立のための活動状況を把握していくことは、大変困難と考えます。
このような状況はどの自治体も同様で、少しでも改善していくために、足立区では、今年度より区長の諮問会議として、弁護士、民生委員、医師会、公共職業安定所代表、区職員からなる『生活保護適正実施協議会』を立ち上げ不正受給の撲滅に対して取り組むとのことです。
区としても今まで以上に関係機関と連携を図り、不正受給撲滅に向けた更なる取り組みとして、足立区のような取り組みも必要と考えます。ご所見をお聞かせ下さい。





地域包括ケアの在り方について

平成12年にスタートした介護保険計画も第五期となり、これからは「地域包括ケアシステム」として「介護・医療」の連携や在宅サービスの充実に向け、保険者である自治体の考え方や力量がより問われていくこととなります。

区も地域密着型サービス事業者の拡大支援や「高齢者相談センター支所の増設」から、地域包括支援センター本所4ケ所、高齢者相談センター名称の支所25ケ所とし、介護予防のマネジメント、家族からの相談、高齢者虐待の早期発見等、日常生活支援員の体制から訪問等の見守り、必要に応じた関係機関等に繋いでいくとのことです。

ところが、国は、これまで進めてきた地域包括ケアのあり方を「相談業務だけではなく、地域づくりと地域ケア会議の推進を」と各自治体に示してきました。多摩市では、困惑しながらもそれを受けて「地域包括ケアの目的・成果・課題」をまず見直すための会議を開催し、地域づくりの要に向けては、老人クラブや地域の住民を巻き込むような関係づくりに取り組み始めているとのことです。

また、「介護と医療の連携」については、厚労省保健局の宇都宮医療課長は
「医療連携と在宅サービスの地域密着を重視した考え方に、在宅医療連携を担う病院や診療所が『支える医療』を行い、医療知識が十分ではない介護分野は、
地域ケア会議の位置づけを明確にし、ケアマネをサポートすることが機能的に
活動しやすくなる」と明言しています。

区の各センターも見守りや相談から見えてくる問題も多く、相談センター内だけでは、なかなか解決をしていく難しさがあることから、地域で解決できるような地域ケア会議の構築には、意義があります。
ですが、センター自体が、一事業者になるため、自治体がサポートを行う体制が必要と考えます。地域の課題を社会資源である民生委員・介護サービス事業者・企業等、そして、今後の財源の軽減や介護予防に繋がる8割の元気高齢者も支え手として参画ができるような関係づくりを進めていただきたいと思います。

今後の「介護・医療」の連携や地域ケアのあり方について区のお考えをお聞かせください。

===答弁===
まず、保護受給者への就労支援についてであります。
 区では、従前から非常勤職員である就労支援専門員の活用やハローワークとの連携などによる就労支援プログラムを実施してまいりました。
 就労支援プログラムにより生活保護の廃止にまで至る世帯は少数ではありますが、平成23年度は183人が就職しており、社会参加の促進や生活保護の削減につながっております。
 平成24年度は、これら支援策の強化を図ったほか、就労意欲を喚起し、就労につなげていく就労サポート事業も実施し、それぞれの状況に則した就労支援を行っております。
 また、就労支援に関するデータについても、支援対象者や就労者数だけでなく、就労後の状況や就労に至らない理由、再支援の状況について収集を行っております。
 今後、このデータを分析し、より効果的な就労支援や再受給防止対策を実施してまいります。
 つぎに、不正受給の状況とその対策であります。
 区における平成23年度の生活保護法78条による保護費の返還決定件数は、180件金額にして約1億4400万円でありました。
 区では、不正受給対策として、就労収入に関する課税調査の徹底を図るほか、資産調査専門委員による年金調査の体制強化や銀行に対する預金の一括照会などを行っております。資産調査専門員については、平成25年度から、各所1名ずつ増員し、2名体制としたいと考えております。
 また、発生抑制のため、区の取組を保護開始時から生活保護受給者に周知するとともに、不正受給を行った者からは、誓約書をとるほか、個別指導を行うなどの再発防止策を講じてきております。
 次に不正撲滅にむけた更なる取組についてであります。
 平成25年1月に社会保護審議会の特別部会から、不正受給に関する地方自治体の権限の強化等の内容を含む報告書が出されました。
 今後、この内容に沿った生活保護制度の見直しが予想されることから、制度改正の動向を見据え、また、他自治体の事例も参考にし、必要な取組について検討を進めてまいります。