11月22日から開会されていた第四定例会で
私の所属する会派での一般質問がありましたのでブログアップします。

(正式な議事録は後日区議会HPにアップされます)




中学生の海外派遣事業について。


文科省の国際交流政策懇談会が平成23年3月に、
「我が国がグローバル化時代をたくましく生き抜くことを目指して、国際社会をリードする人材の育成」という最終報告書を発表しました。その中で、グローバル化した国際社会をリードする人材に求められる能力は、日本人としての素養、外国語で論理的にコミュニケーションをとれる能力、異文化を理解する寛容な精神、新しい価値を生み出せる創造力であると考えられる。
国際社会で活躍する人材に求められる能力というと、とかく語学力が挙げられることが多いが、まずは国際社会で自らの考えや立脚点を臆することなく主張できる能力が必要であり、その際、我が国固有の文化や歴史に関する正しい知識を身につけ、自らのアイデンティティに係る自信と謙虚さを持つことが重要である。と記されています。


区では、国際理解教育を具体的に推進するために、英語学習の発展として中学生を海外に派遣し、相互交流を通して異なる文化や生活習慣を直接体験し、友好親善を深めるとともに、将来にわたって国際社会に貢献できる中学生を育成することを目的として、平成元年よりこの事業を開始し今年、24回目を迎えました。

長野県小諸市や茨城県ひたちなか市等、諸事情により廃止を余儀なくされる自治体もあ る中、24年間総勢1,360名の中学生に貴重な経験体験の場を与えていただいたことに対しては、高く評価を致します。

今年は、34校、68名の中学生が、オーストラリア、クイーズランド州イプスィッチ市に派遣され9日間を過ごしましたが、他の自治体でもいろいろな形で事業展開をされています。練馬区では、現地で一家庭一人のホームステイという形をとっていますが、受け入れ市や受け入れ状況の問題等で、群馬県の下仁田市では事業開始時はアメリカ合衆国のフィッツジェラルド市から、オーストラリア、ブリスベン郊外に変更した自治体もあります。
練馬区が実施しているイプスィッチ市の今後の受け入れについては、大丈夫なのでしょうか、お伺い致します。

2点目は、海外派遣の派遣生徒数についてです。
海外派遣がはじまった当初は、一校1名
でしたが、その後、一校2名になり、平成9年度から15年度まで一校1名に減少し、平成16年度より2名に戻ったと記憶しておりますが、そのように変わった経緯と、私は今後も現在の2名体制で実施すべきだと思いますが、併せてお伺い致します。
いずれにしても、より多くの参加が可能になった海外派遣の現在の応募状況および成果をお聞かせください。

3点目は、練馬区では、一昨年度、海外派遣に参加した生徒のその後について、調査を実施しているとのことですが、その調査結果から分かる、中学校卒業後の国際交流事業等への参加の状況や海外派遣の経験がその後の生徒の生き方や考え方にどのように影響したかについてお伺い致します。

私は、その中には、中学校時代の海外派遣の経験体験を活かした仕事について活躍されている方が多くいると思います。そういう方に、機会があれば、出身校等で当時の話やそのことが現在の仕事にどうつながっているのか、などの話をしていただくことができれば、中学生たちにとっては、大変素晴らしい、キャリア教育になるのではないかと考えますがいかがでしょうか。お伺い致します。

いずれにしても、いくつかの課題があると思いますので、その課題解決と、今後の方向性について、教育長のご所見をお伺い致します。


===答弁===
まず、イプスウィッチ市における派遣の受け入れについてであります。

 派遣生1人1家庭のホームステイの形態は、本事業の特色として継続してきており、派遣生の主体性がはぐくまれるなど海外派遣の成果として評価されています。イプスウィッチ市でも受け入れに最大限の努力をしていただいておりますが、教育委員会といたしまして、派遣生1人1家庭のホームステイ受け入れを強く要請してまいります。

 次に、派遣生徒数についてであります。

 平成9年度には、中学3年生の英語教育に「練馬区英語学習指導外国人助手」を導入し、日々の授業で外国人の発音や文化に触れられるようにしたことから、海外派遣生徒数を各校2名から1名にいたしました。しかし、本事業での貴重な体験を多くの生徒に味わわせたい、そして派遣生は、男女同数で構成することが望ましいとの判断から、平成16年度以降、各中学男女1名ずつの68名を派遣することといたしました。

 今年度は、68名の募集人数に対して270名の応募があり、応募倍率は、男子約3.7倍、女子約4.2倍でした。これまで3年生に限っていた対象学年を平成23年度の募集から2年生にも拡充しました。その結果、各学校においては英語学習の発展としてだけではなく、友好親善に積極的にかかわろうとする生徒が多く参加するようになりまた。今後も生徒の応募状況や現地の状況を踏まえつつ、本事業の充実に努めてまいります。


 次に、海外派遣に参加した生徒の国際交流事業等への参加状況についてであります。
 一昨年度、海外派遣を経験した卒業生に、その後の進路についての調査を行ったところ、「国際協力団体における留学生支援をおこなっている」など、国際交流事業に従事した方も複数おりました。また、「海外派遣の経験が自分の自信につながった」、「物事を考えるときの視野が広がった」などの回答が多く、海外派遣における様々な体験が、卒業生のその後の生き方に大きな影響をもたらしたととらえております。

また、キャリア教育の一環として、中学生が海外派遣を経験された方から体験談を聞くことは大変有意義でありますので、今後、中学校と協議しながら検討してまいります。

 本事業は、派遣を通じて国際理解の大切さを生徒に実感させるとともに、日常とは違う様々な体験や集団での活動から、派遣生としての自覚や積極性をはぐくむなど、中学生に求められる「生きる力」の育成につながっております。

このような充実した内容で本事業が実施できますのも、なによりも区議会のご理解とご支援、またイプスウィッチ市の温かい歓迎、各学校の熱意ある指導によるものと認識しております。教育委員会といたしましては、引き続き関係者のご協力をいただきながら、国際社会に貢献できる中学生の育成を目指し、本事業を継続してまいりたいと考えております。