先日の一般質問⑤区立図書館についてです。
(正式な議事録、質問の動画配信は区議会HPからご覧ください。)

 現在、23区内の図書館の約8割が民間で運営されており、練馬区においても12図書館全てに窓口業務等委託、または指定管理者制度が導入されています。
 こうした民間委託の推進に伴い、他の自治体では「図書館資料を読む、借りる」という機能だけでなく新たなサービスを行う図書館が増加しており、例えば千代田区立図書館では、コンシェルジュを配置し図書館の案内だけでなく、地域の観光案内サービスも行っており、長野県小布施町の町立図書館まちとしょテラソでは、月1回小学校高学年から高校生までを対象に悩み事など様々なことを語り合う「しゃべり場」を開催しております。

このように図書館には地域のニーズや特性にあわせた新たな役割やサービスが求められており、区民の公共財産活用の観点から練馬区においても従来のサービスに加えた事業の可能性を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。

 次に、図書館における既存の取組についてお伺い致します。
現在区では視覚障がい者の方にボランティアが本などを音読する対面朗読サービスを行っています。
利用については22年度延べ923時間から23年度延べ1,165時間と増加しており、ニーズは高まっておりますが対面朗読室の設置は現在8館に留まっています。視覚障がい者の方が、いつでも自由に来館できるよう全館に対面朗読室の設置とボランティアの配置を要望いたしますが、ご所見をお伺い致します。

 23年度の東京都公立図書館調査によれば、練馬区の個人貸出点数は23区中1位、予約点数は2位となっており、利用の多さが窺えますが、人気のある図書館資料は2年待ちといったものもあり、改善を求められています。
しかし安易に人気の図書館資料の購入を増やすことは、ほかの図書館資料の購入費が減少することや、ブームの去ったあとの保管場所の問題などから、人気や評判だけで特定の図書館資料を増やすことは難しいと考えます。
 そこで、改善策として貸出期間の検討を提案いたします。23区では練馬区と品川区、墨田区が貸出期間を3週間としておりますが、その他は全て2週間としており、品川区も9月から2週間に変更しました。区において全ての図書館資料の貸出期間を短縮することについては反対意見があるかもしれませんが、新着図書館資料や人気図書館資料については貸出期間短縮の検討も必要と考えますがいかがでしょうか。ご所見をお伺い致します。


次に図書館情報システムについてお伺い致します。
まず一点目に電子書籍についてです。
近年電子書籍システムや電子書籍端末が普及し関心が高まっており、2011年4月には佐賀県武雄市図書館で配信を始め、和歌山県有田川町や大阪府大阪市、堺市、23区では千代田区立図書館においても配信を開始しています。
電子図書の活用は、施設整備の追加をせずに図書館資料を増やせることや、保管スペースの軽減、図書館資料の劣化や紛失を防げること、自宅や外出先から365日24時間利用可能なことなど図書館資料の充実、サービスの向上に様々なメリットがあると考えます。現在区の人口一人当たりの所蔵資料数は、23区中22位ですが、長期計画では26年度の目標値として区民1人あたりの蔵書数を2,35冊と掲げていることからも、図書館資料の充実のひとつとして、電子書籍システムの導入も行うべきと考えますがいかがでしょうか。

二点目に個人情報保護についてです。
日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言では個人のプライバシーと定めていることから、ほとんどの図書館では返却後に履歴の消去をしておりますが、山口県下関市や埼玉県鴻巣市では借りた本を記録できる読書通帳を発行し通帳へ記帳、返却後は履歴が消去される仕組みを行っております。
練馬区では、図書館資料の破損による弁償を求めるため2008年から3か月間の情報を保存しておりますが、昨年度は約2,200点の弁償がある中、保存情報の活用は0,4%にとどまっております。
保存の必要性や他自治体の取り組みなどを踏まえ情報保存の在り方に対し、いかがお考えでしょうか。また5年ぶりに図書館情報システムが更新されることによって最適化が図られる内容についても併せてご所見をお伺い致します。



==教育長の答弁==


はじめに、事業内容の充実や新たなサービスの提供についてであります。
 図書館では、現在、公募区民の方をはじめ、関係団体、有職者で構成する「これからの図書館サービスのあり方懇談会」を設置し、将来に向けた図書館サービスのあり方について、検討をお願いしております。今後、「懇談会」からの報告を踏まえ、仮称「練馬区立図書館ビジョン」を策定し、サービスの充実や新たな事業展開に取り組んでまいります。

 次に、対面朗読サービスについてであります。
 施設規模の面から、対面朗読室が未設置の館については、会議室等を利用して実施するなど柔軟に対応しております。
また、ボランティアの配置については、人員確保の面から事前の予約としておりますが、今後は、利用者のニーズを捉え、サービスの充実に努めてまいります。

 次に、貸出期間についてであります。
 現在の3週間という貸出期間は、本をゆっくり読むことができる一方、貸出の効率性が低くなる面があります。また、周辺自治体の現状は2週間が大半であります。今後、議会や利用者の声を聞きながら、本区における貸出期間について、検討してまいります。

 次に、図書館情報システムについてです。
 まず、電子書籍の導入については、利用者や施設側にとって、多くのメリットがある半面、初期費用などの経費やセキュリティ対応など、様々な課題があります。今後の図書館のあり方に大きく影響するものであり、図書館運営における重要な課題のひとつであると認識しております。情報技術の進展・先行自治体の取組など、様々な観点から調査・研究し検討を進めてまいります。

 また、貸出情報の保存につきましては、蔵書管理のために必要ではありますが、プライバシー保護の観点から、利用者情報の収集および、その取扱いについては慎重にすべきであると考えております。今後、活用状況などを踏まえ、そのあり方について検討してまいります。

 次に、図書館情報システムの更新につきましては、リアルタイムの情報更新、ホームページの前面改訂など、利用者にとって特に必要と思われる情報発信の最適化を図っているところであります。
 いずれにいたしても、地域の情報拠点として必要な方に必要な情報が提供できる身近な施設として、図書館が求められる役割を今後とも果してまいりたいと考えております。