先日行った一般質問③公契約についてです。
(正式な議事録、質問の動画配信は区議会HPからご覧ください。)

・総合評価入札方式について。
地方自治体が民間企業との間で売買、賃貸借、請負、委託等の公契約を締結し、進める事業については、区と共に公共事業を担うことから、品質の確保とともに社会的責任を果し得る企業の選定が重要と考えます。

区は、特定の工事については総合評価入札方式を導入し、公共事業の品質向上に取り組んでいますが、評価する項目が、価格と施工能力に偏っており、公共事業の担い手として不可欠な要素といえる社会政策、安全衛生、労働環境、地域貢献等について、十分に配慮された内容にはなっていません。

他の自治体では総合評価入札方式の評価項目に社会政策、安全衛生管理、地域貢献等に関わる項目の割合を高める自治体が増えてきており、例えば、北区では評価項目に障害者雇用率、ISO取得状況、労働安全衛生マネジメントシステム(のOSHMS認定)取得の有無、区内における本店支店、営業所登録状況、地域貢献等を加えるなど、安定的な品質確保と不良不適格企業の参入防止に努めています。

そこで、練馬区としても公共事業の安全性と品質の向上に向け、総合評価入札方式の項目を見直すとともに、対象事業を拡大していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

・公契約条例について。
ここまで総合評価入札方式について述べてきましたが、それだけでは公契約に関わる労働条件の向上や公共工事及び公共サービスの質の向上には限界があると考えます。
そこで近年、総合評価入札方式と併せて公契約条例を導入する自治体が増えており、都内では国分寺市、多摩市に続いて渋谷区で導入された他、多くの自治体で条例化が検討されています。

この背景には、不安定な社会・経済状況による価格競争の激化やダンピングの増加、設計労務単価の低下による労働者賃金の低下や非正規雇用の拡大、落札失敗時の解雇等の労働環境の悪化があり、こうした悪条件が公共事業の品質低下をもたらしかねないことから、各自治体が改善に取り組んでいるものと考えます。

区としても公契約に関わる労働者の労働環境の確認については、労務関係調査や委託業者に対する労務チェック等を実施していますが、それぞれ調査対象範囲が狭いことから、現場の状況を把握しきれておらず、公契約に関わる労働環境の改善や最低制限価格の見直しを求める声が数多く寄せられています。 

 労働法制に関わる管理監督権限は労働基準監督署や労使関係に関わる部分が大きいとはいえ、労働条件の悪化等によって公共事業に関連した事故が発生した場合には、労働安全衛生法の観点から発注者である区にも責任を問われることがあります。
また、平成21年7月に施工された公共サービ基本法第11条でも
『地方公共団体は安全かつ良質な公共されるサービスが適正かつ確実に実施されるようにするために、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保、その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるもの』とされていることから、
労働環境を改善し、公共事業の品質を高めていくためには、現在の総合評価入札方式を高めるとともに公契約条例を導入して、相互が補完する仕組みを作ることが必要と考えますが、ご所見をお伺い致します。


==総務部長の答弁==
・総合評価入札について。
区では現在、土木工事および造園工事において総合評価入札を導入しており、平成23年度では17件の土木工事で実施いたしました。また建築工事等においては、平成23年度から、総合評価入札の実施に必要な、工事成績評定の事業者への通知を実施しております。
今後、工事成績評定の蓄積を持って建築工事等に対象を拡大してまいります。

 また、総合評価入札の実施にあたっては、予定価格や事業者の工事成績評定に加え、配置予定技術者の実績や区との緊急時土木工事協定の締結などを評定項目に盛り込み、多角的な視点からの評価を行っております。

 今後、対象工事の拡大の時期に併せて、社会貢献や地域貢献などを評価項目に追加するとともに、規模の大きな事業者が過度に有利になることがないよう、バランスのとれた評価項目となるよう検討してまいります。


・公契約条例について。
 民間企業である委託事業者等の従業員の賃金、労働時間等の労働条件は、第一義的には当該事業者等の責任において整備されるべきものであり、その維持・向上についても、事業者内部の労使関係を通じて実現すべきものであります。

 また、労働条件に関する事項は、地方自治体の条例ではなく、労働基準法や最低賃金法などの法律でさだめるべきものであり、その実行性について、労働基準局、労働基準監督署という、捜査権を含む権限を持った国の監督機関によって担保されております。

 そのため、公契約条例を制定して民間事業者の労働条件に直接介入することは考えておりませんが、発注者として、委託した業務が適法かつ適正に執行されることを担保する必要があり、それには、適正な労働条件の確保も含まれるものと考えております。

 今年度から、業務委託契約の一部において履行開始前および履行途中において、チェックシートとヒアリングにより事業者に実施体制を確認する取組を行っており、その中で、当該業務従事者の最低賃金や雇用契約の締結状況等の労務管理体制、および事故予防の体制についても確認し、必要に応じて改善の指導をしております。

 今後、この取組の内容を充実するとともに、対象とする契約の拡大を図ってまいります。
 また、労働環境の維持改善のためには、賃金の不当な切下げ等につながるダンピング受注を防止し、適正な価格で公共事業を発注することが不可欠であり、そのためには、最低制限価格制度の適正な運用、価格のみによらないプロポザールでの事業者選定、総合評価入札などの方策を実施しており、今後も、これからの方策を通じて、労働環境の維持改善に努めてまいります。