平成24年2月10日に行われた
私が所属している会派の一般質問を幹事長が行いました。
まず、24年度予算編成についてです。

正式な議事録は後日、議会HPにアップされます。

■一般質問■

1月の月例経済報告によれば、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。」としながらも、「先行きについては、欧州の政府債務危機が、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要」としています。
 このような経済状況下にあって、区の来年度予算編成にあたっても、歳出については近年の不況による扶助費の増大が大きな逼迫要因となっており、歳入についても基幹財源である特別区民税や特別区財政調整交付金の増収は期待できないことから、前年度比マイナス2.1%の予算案が示されたところです。
 このような厳しい財政状況にあって、区は「選択と集中のさらなる徹底」を基本方針として、喫緊の課題である災害対策や保育所、介護施設等の拡充に取り組む一方で、枠配分予算における3%マイナスシーリングの実施や後期実施計画において、長期計画上の事業を一部先送りするなどの措置が取られるようです。
 ただ、「選択と集中」を強調するのであれば、枠配分予算の一律引き下げのような、画一的な削減だけでなく、不要不急な事業については廃止を含めた大胆な見直しを行うなど、財政難の今だからこそメリハリの利いた査定が必要と考えますが、具体的にそのような取り組みはなされたのでしょうか。こうした点を踏まえた上で、改めて来年度予算編成にあたっての基本的な考え方をお示しください。
 具体的な例として、一昨年の事務事業見直し、昨年の事務事業評価の第三者評価と、これまで2度にわたって事務事業の外部評価が行われてきましたが、一昨年の事務事業見直しで、「必要性が低い」と評価された事業や「協働・委託化・民営化」あるいは「要改善」と評価された事業については、予算編成上、どのような措置が取られたのでしょうか。併せてお答えください。
 歳入では、財源不足を補うために、今年度、基金から136億円超の繰り入れを行ったのに続き、来年度も約117億円の繰り入れが予定されており、特別区債の発行も、今年度の66億6100万円から来年度74億6200万円と約8億の増額となっており、これにより来年度末の基金残高374億円に対し起債残高は一般会計と公共駐車場会計で601億円となります。
 こうした数字が即、区の財政破たんを意味するものではありませんが、基幹的な歳入の増加が見込めず、扶助費も高止まりの傾向にある中、中長期的に見れば、区の財政は悪化の一途をたどるのではないかという懸念があります。
 そこでお聞きしますが、このような社会・経済情勢にあって、中長期的にどのように持続可能な財政運営を行っていくお考えでしょうか。国では社会保障と税の一体改革の議論が進められており、仮に消費税増税が行われた場合には、区として一定の歳入増が見込まれますが、それ以外に現実的な増収の見通しはあるのでしょうか。国や都の動向といった客観的な面だけでなく、区の自助努力による自主財源確保の方策を含めて具体的にお示しください。
 劇的な経済成長が見込めない現在の社会・経済情勢にあっては、限られた財源の中で区民生活の向上を図っていくために、徹底したムダの排除と同時に、必要なところに必要な予算が配分される仕組みが必要なことは言うまでもありません。
 昨年行われた「事務事業評価の第三者評価」では、必要性そのものを否定された事業はありませんでしたが、事業評価のあり方については様々な議論がありました。また、昨年4月の監査委員による行政監査結果報告「補助金の交付事務について」でも、審査基準や成果指標の有無について、重要な指摘がなされています。
 この監査で対象となった補助金は155件におよび、アンケート総数192件のうち補助金の交付決定に際し、具体的な審査基準があるとの回答は145件(76.7%)で、44件(23.3%)については審査基準がありませんでした。「ない」と回答した理由の多くは「実績報告書」で確認ができるためというものですが、監査委員は「審査基準は、補助金の交付が法令および予算で定めるところに違反しないか、補助事業の目的および内容が適正か、金額の算定に誤りがないか等の拠り所になるべきもので、確実な判断を行うためにも必要と考える」としています。
 さらに、補助金の成果の有無についての質問では178件(94.2%)で成果が上がっているとの回答でしたが、成果指標の有無についての質問では、成果指標を使用している補助金はわずか69件(36.1%)しかありませんでした。監査委員は「成果が上がっている補助金は9割を超えたが、成果指標を使用している補助金は4割に満たず、その判断根拠が不明確。また、成果指標を使用していない理由として、指標化が困難、そぐわないという回答があったが、区民に対する説明責任の観点から、補助事業を客観的に判断できる指標による成果測定を行うことが望ましい」と指摘しています。
 そこでお聞きしますが、成果指標が「困難」あるいは「そぐわない」事業とは具体的にどのような事業を指すのでしょうか。また、この報告では、補助金の効率性、交付金の多寡(多い少ない)、あるいは必要性について言及されていますが、成果指標がない事業については何を根拠に判断してきたのでしょうか。お答えください。
 多くの補助金は、区民生活及び福祉の向上のために必要であると信じます。一方で、ひとたび補助金として支出されてしまうと、そこには特定の受益者が生まれ、時を経て必要性や効率性が低下した事業についても、なかなか廃止に踏み切れない面があると思います。そうなれば、補助金は肥大化の一途をたどり、とくに財政難の時期においては、柔軟な財政運営の足かせにもなりかねません。
 補助金の見直しについては、平成14年度から3年ごとに行われ、今年度は見直しの年度にあたり、現在、見直しの最終調整が行われているとのことですが、その進捗状況についてできるだけ具体的にお示しください。さらに、現時点で成果指標のない補助金については早急に指標を作成し、区民に対し判断基準を明確にすべきと考えますがいかがでしょうか。
 


==答弁==

●財政に関することについて。
・平成24年度予算について。

今回の予算は、一般財源がおよそ8億円の減収となる中、限られた財源をいかに活用し、あわせて将来を見据えた財源運営をどのように堅持していくかが大きな課題となりました。この課題に着実に取り組むことが、私に課せられた使命であると改めて認識したところであります。
そのため、これまで進めてきた「選択と集中」をより一層徹底することを基本方針に定め、全庁を挙げて予算編成に取り組んだところであります。平成21年度以来継続して実施している枠配分予算のマイナスシーリングに加えて、現在、策定を進めている長期計画の後期実施計画においても、各事業の進捗を見極め、実施年度や所要経費の精査を行ったところであります。さらに、編成の最終段階において、個々の事業について、より一層の見直しを行うよう改めて指示を出し、編成を行ったところであります。
その結果、限られた財源を「大震災を教訓とした災害対策の強化」「保育所の待機児童対策の充実」「特別養護老人ホームの整備」など長期計画事業に定めた区政の喫緊の課題に重点的に配分し、区民福祉のさらなる向上に資する予算となったものと考えております。
つぎに、平成22年度に実施した事務事業見直しについてであります。
事務事業見直しは、毎年度実施している職員による事務事業評価に加えて、外部評価者の意見や評価結果を改善に結びつけることを目的として行ったものであります。見直しを行った20項目、37 事務事業のうち、32事務事業については、事業内容や執行体制を見直しを行うなどの改善を行い、平成23年度当初予算に反映したところであります。残りの5事務事業についても、対応方針を定め、来年度予算に改善策を盛り込んだところであります。具体的には、「協働・委託化・民営化」を進めるべきとの評価をいただいた、「少年自然の家」と「運動場・地域体育館」の維持管理体制については、指定管理者制度の導入・拡大の経費を計上しております。また、要改善との指摘のあった「介護予防事業」および「指定保養施設事務」につきましても、事業内容を見直すなどの改善を図ったものであります。
つぎに、今後の財政運営についてであります。
財源不足を補うため、平成21年度以降3か年で合計300億円規模の基本を活用している状況にあります。税制改正の影響額を加味しても、現下の経済情勢を勘案すると、大幅な増収は期待できず、今後も基金からの繰り入れは必要であると考えております。一方、将来に向けて現行の区民サービス水準を維持してくためには、一定規模の基金を保持する必要があります。そのため、一般財源の概ね一割程度の財政調整基金を確保しつつ、向こう3年間の財政推計を行う中で、計画的な基金の活用に努めてまいります。
また、自主財源の確保は持続可能な財政運営にとって、重要な課題であると認識しております。そのため、行政改革推進プランに掲げた「収納・滞納対策の強化」や「使用料の見直し」、「広告掲載媒体の拡充」など、様々な観点から自主財源の確保に努めてまいります。


●補助金に関することについて。

・成果指標について。

客観性を持った成果指標を設定していくことは助成金の透明性の確保と区民への説明責任を果すうえで、肝要であると考えております。しかしながら、200件を超える補助金の中には、火災や床上浸水などの被害にあわれた区民に見舞金等を支給する「練馬区災害見舞金事業」や、地場野菜の供給と農業経営の安定化を目的とした「野菜供給確保対策事業」などの補助金につきましては、事業の性格上、指標が設定しにくいと考えておりますが、いずれにいたしても、説明責任を果すという観点から、極力指標の設定に努めてまいります。
総費用およそ100億円におよぶ補助金事務につきましては、3年ごとに定期的な見直しを行っており、本年も予算編成に合わせて見直しを実施いたしました。
今回の見直しは、平成14年度に定めた「見直し基準」に加え、「成果指標の設定」「補助金の必要性」などを加味した「チェックチャート」「チェックリスト」を定め、各事業本部において取り組みを行ったところであります。見直し結果につきましては、現在、集計等の作業を行っているところでありますが、多くの事業において、事業内容の精査や成果指標の設定など、補助金のあり方について、再検討に着手するなど一定の効果があったものと考えております。その一方で、補助金は多くの区民の皆様の生活を支え、団体の活動の支援を行っていることから、見直しにあたっては、その及ぼす影響を考慮するとともに、関係者への説明など丁寧な対応が求められます。そのため、今回の見直し結果を踏まえ、一定の時間をかけ、更なる見直しに向けて取り組みを強化してまいりたいと考えております。