ある猟奇殺人事件を起こした男、そして取材する男。
ライターの「僕」はある猟奇殺人事件の犯人のもとに
訪問する。
加害者はカメラマンで、彼の作品は
被写体へのあまりの執着に見る人の心をざわつかせる。
彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていたが・・・。
中村文則先生、久しぶりでした。どこか病んだ人の内面の描写と
その変貌に定評がありますが(個人の意見)
今回はしっかりミステリー。
ライターの「僕」
殺人犯、殺人犯の姉である魔性の女性、
行きた人の生き写しの人形を制作する人形師。
二人の女性を殺した男の真相を探るうちに
彼の姉と関係を結び、殺人を依頼され・・・。
どこへ話が転がっていくのか全くわからず
それでも独特の陰鬱さと居心地の悪さに
引き込まれ、読み進めていきました。
しかしこれが終盤で。
そうきましたか・・・。
この結末、私はカタルシスを感じましたが
それは人によるかなと思います。
やりすぎかと思うかもしれない、
彼らはそうすることが生きる道だったのかもしれない。
でも報いは必ずある。
私としては中村文則作品の中では
哀愁あり重みもありつつも悪くない読後感でした。


