美しき黒鳥となる、狂気。


新作「白鳥の湖」のプリマに抜擢されたニナ。

清楚で真面目な性格の彼女は白鳥は問題なく演じられるが

奔放て蠱惑的な黒鳥を表現しきれずにいた。

役を変えることを考えた演出家トマは

ニナに激情があることに気づき、考えを改めるが

ニナは次第に追い詰められ幻覚を廻始める。


ナタリー・ポートマンによる美しきバレリーナの狂気。

清楚さと奔放さを同時に表現するという

難しさと、性的な表現に対する

拒否と魅惑。

母親の過剰な期待、

表現者としての苛立ち…

そして現れる幻覚。


かなり怖かったです。

今敏監督の「パーフェクト・ブルー」からも

着想を得ているとのことですが

個人的には山岸涼子先生の空気に似てると思いましたね。


特に母と娘の関係が。


現実と幻覚の境目がどんどん曖昧になっていき

中盤から後半にかけては

本当に何が真実なのか

これは実際にあったことなのか夢なのか。

一見ではわからない、美しい幻想に

巻き込まれていきます。


これはナタリー自身の殻も破った作品と

なったようですね。

これやってる時ご本人も相当苦しかったんじゃないかと

思いましたよ・・・


背中に黒い棘が生えたり

指の皮を手首まで剥いたりと

痛々しい描写もそこここにありますね・・・



ラストに彼女が刺し殺したものは。


美しい幻想は生々しい現実の上に

成り立っているんですね。


次は海外ドラマ

ブレイキング・バッド シーズン4 第6話

「それぞれの不安」の感想です。