人を愛すること欲すること

第1次世界大戦下のパリ。

15歳の「僕」はある日19歳の人妻マルトに出会う。

マルトの夫は戦争へ出ており、

その留守の間にマルトとの愛を育んでいた。

時は流れ、マルトの夫が戻ろうとする頃、

ある変化が・・・

15歳の少年が少年の身勝手さで

人を愛することを丹念に捉えた作品。


周囲をやや見下すこまっしゃくれたタイプ。

それが愛や欲を持つとこうなるか。

正直なところ相手のことなどどうでも良い

自分のことばかりの愛し方に

イラつきつつも、その表現力には舌を巻きました。


人妻とはいえ相手のマルトもまだ少女で

その時その瞬間の寂しさや愛おしさに

逆らえずにいる弱々しくもみずみずしい

心理が想像されます。


しかし夫が戻ってきても

妊娠に関してしっかり誤魔化す気で

関係も続行する気でいるのは

文化かな・・・


因果というには辛すぎるラストまで

それに至る心理まで

ただ丹念にその心の動きを追えます。


なかなかの読書体験でした。


作者18歳の時の作品というのがまたすごい。

20で亡くならなければどんな変化を

遂げていったのか・・・

16歳の三島作品も凄かったですが

天才というのは存在するものです。


次は海外ドラマ。

刑事ジョン・ルーサー シーズン5

エピソード2の感想です。