鬼太郎の父たち、そして鬼太郎の誕生の物語

廃村となった哭倉村を訪れた鬼太郎と目玉おやじ。

彼を追ってきたジャーナリストに鬼太郎は警告する。

そして目玉おやじは70年前の出来事を語り始めた。

70年前、この村であった恐るべき事件、

そしてある男との出会いを。

一昨日に上映が終わったところでの感想ですが

悪魔くんの感想でも書きましたが

これ、どハマりしてました。


私は鬼太郎といえば三期を怖がりながら見ていた年代ですが

六期は全部じゃないですけど新しいねこ娘ちゃんが

可愛すぎてちょこっとみていた程度。


そして今回の映画も「やってるんだー」というくらいの認識で

特にみにいく予定もなかったのですが、

例に漏れず口コミに惹かれて鑑賞。


そのおどろおどろしい因習村、

戦争に傷つき踏みつけられまいと野心に燃える男と

妻を探しにきたという不気味な男

二人に生まれる友情と絆

彼らが見てしまった救いのない現実

そして最後に生まれるたった一つの光


もう最高でした。

舞台である哭倉村、そこの当主である龍賀一族。

一族に流れる陰湿そうな空気と欲望に塗れた関係。

この辺ですでに「横溝正史のアニメ化か・・・?!」

と思うほどにしっかりと作り込まれていて

心を掴まれました。


その中で始まる連続殺人。

直前に現れたのは妻を探しにきたという

謎の男。


まず狂言回しとなり主人公となる水木さんの

キャラがとにかくいいんです。

戦争の悲惨な現実に傷ついた心を糧に

のしあがろうとする野心を持ちつつ

突然出会った男の命を見捨てることができない。

そして浮世から離れたような人間でない男と

語りあい、友情が生まれ

共に命をかけていく。

そして後に目玉おやじとなる鬼太郎のお父さん。

妻を探し、命がけで妻と、友と、

生まれてくる我が子のために戦う最高の父。


もういくらでも語れるほどに好きです。

まさかずっと知ってる「目玉おやじ」に

滾るたあ思いませんがな。


人間の事件の方はもう反吐が出るどころじゃない

胸糞悪く救いのない真相が明らかになって行きます。

特にヒロインとなる沙代さん。

喪服に身を包んだ清楚なお嬢様が

あまりにも悲惨で苦しくて。

もう一人のあの子もまた輪をかけて苦しく。


あんなドクロムカムカブーNG魂炎ムキー爆弾爆弾(思いつく限り最低の罵詈雑言)


でもその重苦しさがあるからこその

クライマックスのカタルシスがありました。

それでも決してハッピーエンドではない作品です。


ただ鬼太郎が生まれたことだけが光。


見た後で舞台挨拶の動画を拝見しましたが

鬼太郎のお父さん「ゲゲ郎」を演じた

関俊彦さんの「生まれてきてくれてありがとうな」という

セリフに涙腺崩壊しました。


その後鬼太郎が3人の親に大事に育てられていく

二次創作を漁りまくったのは言うまでもありません


キャラクターも映像も演出も脚本も素晴らしいです。

中盤の二人飲みのシーンと

ゲゲ郎のアクションは何百回も見たい。


DVD買っちゃった上で配信きたらヘビロテします。


最高の作品ありがとうございました。


鬼太郎、生まれてきてくれてありがとう。

水木先生、生まれてくれてありがとうございました。