この時勢に、ぜひ読んで見てください

謎の病、天然痘、コレラ、インフルエンザ…そして疫病の後。

疫病の恐怖、社会の崩壊、そして再構築と人間の変化。

それぞれに描写される姿は、今これからの世界に繋がっているのか。

完全にタイトルに惹かれて読みました。

最初の「赤い死の仮面」の見事なホラー展開から

最後の「集中ケアユニット」のディストピア。


と思えば罹患中の感覚と恋人との死別を書く

「青ざめた馬青ざめた騎手」は

第一次世界大戦時の社会の中で生きる人々が

さらにインフルエンザに苦しむ姿が

リアルに、しかし身近に書かれています。


またコレラにかかった人々が

文字通り捨てられた砂丘に紛れ込む

「モウロビー・ジュークスの奇妙な騎馬旅行」は

「砂の女」の絶望感と現実感のなさに似て

ゾッとしました…。


個人的にはラストの「集中ケアユニット」が

一番面白かったし興味深かったですね。

疫病のため、人と直接会うことが禁じられた世界。

すべての人々は生まれれば個人のユニットに

入れられ、他者と触れ合えるのはお腹の中にいる時だけ。

その後は家族同士でもモニターで出会うのみ。


ここまで極端ではないですが、

これはコロナ禍後の社会に似てますよね…。

ただこの話は、そんな誰とも直に出会うことも

触れることもない人間が、

初めて家族に出逢ったら、どうなるか。


どうなったか。


まさかの…という展開でした。


人間が人間と会えない、接触できない、

その対処の裏側にこんな恐ろしい変化が…。

・・・ない、とは言えませんね。


面白かったです!コロナ禍の今、おすすめです!


次は海外ドラマ

LUCIFER シーズン3 第13話

「死が2人を分つまで」の感想です。