ご無沙汰しております。久々にブログ再開です。

平凡なサラリーマンのクウェールは、

夜毎に火星に行く夢を見る。

どうしても火星に行く夢を捨てきれなくなり、

記憶を植え付けるというリコール社を

訪れるが…。

表題作ほか、マイノリティ・リポートを含む

傑作短編集。

以前、シュワルツェネガー版の映画を見ましたが

改めて原作を読んでみました。

トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」も収録された豪華版。


それぞれの世界観に引き込まれました。

登場人物たちのなんとはない会話から始まり、

彼らの住む場所、生活の状況、そして徐々に

どこか歪んだり奇妙だったり、

それぞれ密かに絶望を纏うディストピアが

眼前に広がっていく感じ・・・。

すごく楽しかったです!


表題作のトータル・リコールからやはり

面白かった!映画版は流石にちょっと変えてましたがこちらの脳内に隠れる真相と

それが明らかになり、そして対応していく周囲。

他の収録作に比べると明るめで

ちょっとドタバタ感を感じて面白かった。


マイノリティ・リポートはハラハラしました…。

「自分が犯罪を犯す」ということを知った状態からの予想図の変化。

だがどこまでリポートは読んでいたのか。

追い詰められ、真実が見えてきた先での選択。

これは映画向きですね…。


一番好きだなと思ったのは「地球防衛軍」です。

核に汚染された地上での戦争行為を

ロボットたちに任せ、地下で戦争に勝つ日を

待ち続ける人間たち。

だが地上で行われていたことは・・・。

なるほどここまですれば確かに人間は

変わるかもしれないと

思わせるだけのある意味究極の選択がありました。

でもここまでしてもなあ・・・人間だし・・・。

私はこの「防衛」は正解に近い選択ではないかと思いますが。


人間はどんな世界でも作り出す

可能性を持っている、と感じさせる短編集。

さすがでした。