繊細過ぎる少年少女たち。

14歳のポールは、憧れの同級生ダルジュロスに

投げられた雪玉に負傷。

友人のジェラールに送られ、

姉エリザベートの待つ部屋へ戻る。

そこは二人だけの部屋だった。

 

 

彼らだけの世界、彼らだけの愛憎に

魅せられ恐れ、そして果てていく。

結果だけ見るとなんとも歪みを感じる愛情ですが

そこに至るまでの姉弟と彼らを愛する友人たちの

心理描写が素晴らしく繊細で、

特に14歳という世界の描き方はすごかった。

 

今年初めの「100分de萩尾望都」でも

14歳という年齢の少年と青年の間という

微妙で繊細な時期の特別な意味が

議論されてましたけど、

これにも同様の大人には決して踏み込めない

青年直前の少年の特有な気質が書かれていました。

…まああまりにも俗にいえば中二病…(こら)

 

中盤に姉は結婚したり

弟は恋をしたり、年齢を重ねて

子供部屋の外へ行くことを予感させますが

そのとたん恐るべき悲劇が。

 

まるでこの「神聖な」世界をつぶすまいと

する何かの力が働くよう。

 

無垢ゆえに残酷で、

幼いゆえに一途で正直で、

そして破滅を感じさせます。

 

最も直接的に怖ろしいのはエリザベートですが

ポールもそれを受け取るだけの恐ろしさを持ってる。

 

危うく美しく残酷な世界と

その終わりまでを十分堪能できます…。

 

萩尾望都先生の漫画版もあるし…

めっちゃ読みたい…。

 

 

次は海外ドラマ

ウィッチャー シーズン1 第8話

「運命を越えて」の感想です。