グリコ・森永事件をモデルにしたミステリー。


平成30年。京都でオーダーメイドの紳士服店を営む
テイラーの曽根俊也は
妻と娘、そして病床の母とともに穏やかで幸せな
毎日を送っていた。
ある日、探し物の最中に亡くなった父の名前のある
箱を見つける。
中には父が使っていた裁縫道具ほかに
手帳とカセットテープがあった。
その夜カセットテープを聞くと幼い自分の声。
しかしその声が35年前世間を震撼させた事件で
使用されたものだった事に気づき…
原作既読でしたが、細かいところは忘れてたので
わりと新鮮に観ることができました。

で、感想ですが。
超私好みの映画でした…!
主演は小栗旬と星野源、周囲を固める俳優陣が
その演技力で魅せ、
圧巻の情報量をみごとにまとめ上げた
脚本の構成力。
そして地味であるはずの
聞きこみばかりの映像がテンポよく
点と点が少しずつつながり、
謎が解明されていく監督の演出と編集。

そして犯罪に巻き込まれた子供たちの
其々の行く末。


謎解きに楽しみ
演技力に感銘をうけ
重いテーマに心を刺されました。

キャラクターそれぞれの心理は
俳優陣の演技により
大袈裟なセリフなど必要とせず 
克明に伝わってきます。
特に伝わってきたのは
星野源さん演じる曽根さんと
小栗旬さん演じる阿久津さんが
宇野祥平さんの演じるある人物から
話を聞くシーン。 
事実から感じる辛さや苦しさ、期待、罪悪感。
全てが手にとるようにわかりました。
このシーンの曽根さんの辛い心情は
宇野祥平さんの凄まじいほどの役作りと相まって
胸に刺さってきます。
同時に現実味を帯びる犯罪の重さ。


テーマもいくつかありましたが
気になったのは
記者としての在り方、
ジャーナリズムの存在意義とは。
この辺りは登場人物の阿久津個人の結論に
なっていますが。
実際、今現在マスゴミとすら呼ばれて、
事件や状況を批判ありきで
煽って誘導する新聞やテレビを考えると。
下手に結論は出せなかったのではと思います。

たくさんのことを思いながらも
最高に面白い、ですが決して軽くはない
原作と同様重厚で濃密な  
エンターテインメント作品です。

映画館で見られてよかった。

次はドラマ
H i GH&LOW〜THE STORY OF SWORD
シーズン2 episode2 の感想です。