トム・ハンクス主演のスパイの映画。

一触即発の状態だった冷戦時代。

ブルックリンで一人のロシア人スパイ 

ルドルフ・アベルが逮捕される。

世間のロシアへの憎しみが高まる中、人道を示すために

アベルに弁護士をつけることとなる。

その白羽の矢にあたったのが

ジム・ドノヴァン。実直で誠実な有能な弁護士であった。

命令のため仕方なく仕事を引き受けるジムだったが

次第にアベルとの間に信頼関係を結び始め…

 

知的で誠実で不屈の男を演じさせれば

トム・ハンクスの右に出る男はいません!!

ということを再認識しました。

 

冷戦時代の米ソの国民感情が燃え上がる中の

敵国のスパイの弁護士。

複雑な立場の人間です。

もし今、北朝鮮のスパイを弁護する人間がいたら…

私も確実にこの映画の警官さんみたいに

口汚く罵るだろうな…。

まあソ連と北朝鮮を一緒にしては

流石に失礼かもしれませんが。(すでに視点がダメ)

安田某のように危ない国で

のこのこ留学して捕まる学生も出ますが

…ほっとけよって思いますね…。

自業自得だというCIAの気持ちがよくわかります。

 

その気持ちも分かるからこそ、

トム・ハンクス演じるジム・ドノヴァンの精神の強さ、

弁護士としての誇り高さが光ります。

派手な描写はほとんどありません。

あるのは緻密な外交と

一進一退の息詰まる駆け引き。

一弁護士である、つまりは民間の弁護士でしかない

ジムの身一つでの戦いは

見えない刀のつばぜり合い。

一言一言に目が離せません。

(字幕版だしね)

そして今作品でアカデミー賞を受賞した

マーク・ライランス演じるルドルフ・アベル。

このくたびれたおじさんといった風貌で

物凄い存在感。

ジムがスパイとしてのアベルではなく、

一個人としてのアベルに相対しているのを見て

わりとすぐに心開いているようでした。

というかこの人の演技は最初から最後まで

非常に静かで表面上は何も変わりません。

不安があるかと聞くと

「役に立つか?」と一言返すのみ。

このやりとりが何度か繰り返されますが…

凄くわかるんですよね。

ラストシーンでジムに対して精一杯の感謝を

伝えようとしているのが。

 

数十年を異国で他人として暮らし、

祖国に忠誠を誓ったもう一人の誇り高い男が

ここにいました。

 

彼を橋で見送るジムの後ろ姿が

かっこよすぎて…。

最高のシーンでした…。

そしてこのシーンで遺された一抹の不安は

エンディングのテロップで払拭。

 

男の仕事を見た。

 

スティーブン・スピルバーグの美しい仕事を

堪能させていただきました。


次は海外ドラマ

GRIMM シーズン2  第3話

「群れの掟」の感想です。