ヤングアダルト小説久々です。今回はホラー。

十三歳のアリは、屋根裏部屋で古い写真を見つける。

そこに映っていたのは少女のころの母、叔母ともう一人。

写真から削がれたもう一人の少女について聞くと

精神の不安定な母は強く拒絶を見せた。

それからほどなくして、伯母のダルシーがアリを

昔住んでいた湖畔の家へと誘うが…。

 

これは十三日の金曜日のシーンですが、

雰囲気がぴったり。

 

日ごろから娘を制御しようとする不安定な母に

何とか理解しようとしつつ立ち上がろうとする

思春期の女の子が出会うのは

幽霊であるという恐怖より

気にくわない人間が悪意を持って

悪いほうへ誘導しようとしてくるという

現実的な恐怖でした。

 

その根底にあったのが母と伯母が

忘れ去りたかった罪。

 

物語としてはストレートなホラーですが、

主人公のアリの思春期の心の機微が

よく描かれていたなと思いました。

 

ラストはちゃんとした大団円。

しかしこのお母さんちゃんと自立できるのだろうか…。