こんにちは!たっくです!

 

今回は、

認知症の方や、

認知機能が低下した方(以下、認知症の方)

に対する環境調整について、

今までの経験や、さまざまな情報を参考に、

ご紹介させていただきます。

 

 

今回ご紹介させていただいた内容が、

全ての人に適応するというわけではありませんが、

今後の環境調整の際にご参考になればと思います。

 

 

目次:

・認知症とは

・認知症の方に対する
 住宅環境調整の考え方
・住宅環境調整の例
・さいごに

 

 

 

 

  認知症とは

 

認知症の方に対する対応は、

ご本人様が不安にならないように、

かつ自尊心が低下しないように行うべし!

 

認知症といえば、

記憶力や注意力などの中核症状や、

作話・妄想・徘徊などの周辺症状

という症状が出現する可能性があります。

 

 

その影響で、一緒に生活している家族は、

心身の負担が大きくなると言われています。

 

 

ただ認知症の方にとっては、

 

徐々に記憶能力が低下していることや、

 

自分が今どこにいて何をすべきなのかなどがわからず、

混乱されている方もいらっしゃるのです。

 

 

すると、徐々に認知機能が低下していく中で、

 

「今まで当たり前にできていたことが徐々にできなくなってくる」

 

「できないことが増えて、どんどん自分の役割がなくなる」

 

そんな状況が続き、

ご本人様はどんどん自信がなくなってしまいます。

 

 

またご家族様からは、

 

「なぜこんなこともできないの」

 

「何度も同じことを言わせないで」

 

と、

つい強い口調で注意したり、

怒鳴ったりする方もいらっしゃいます。

 

 

ご家族様も戸惑ってしまうことがあるのは当然です…

 

ただそのような対応を行うと、

 

余計に混乱し、

 

自信を失い、

 

更なる予想外な行動を引き起こす

 

可能性があります。

 

 

このように、本人を不安に思わせてしまうやり取りは、

 

「鬱」「閉じこもり」の引き金になったり、

 

かえって不安感や認知機能の低下を助長させてしまう可能性があります。

 

 

 

ではなぜ予測不可能な行動を起こしてしまうのでしょうか?

 

 

 

それは、人間誰であろうと、

行動する際は何かしらの目的があります。

 

ただ認知症の方は、

その目的を達成するために

どうすれば良いのかがわからなくなってしまいます。

 

 

その結果、

予測不可能な行動を起こす可能性があるのです。

 

 

そのためご家族様は、

 

なぜその行動を取ろうと思ったのかを読み取り、

不安を煽らないように援助する

 

ことが大切です。

 

 

認知症の方には、

 

「できなくなったことを悩むよりも、

自分のできることを見つけて楽しく暮らしたい」

 

と思われている方もいらっしゃいます。

 

 

また、認知症の方にとっては、

 

在宅生活が継続できることが最も良いと言われています。

 

 

在宅生活を継続できるようにするには、

 

家族様など周りの方の理解が、

不安感や予測不可能な行動を軽減する

 

と言われています。

 

 

そのため、

 

認知症の方が不安にならないように、

かつ自尊心が低下しないような対応

 

が必要なのです。

 

 

 

 

  認知症の方に対する住宅環境調整の考え方

 

認知症の方に対する住宅環境調整を行う際は、

・ご本人様の性格を考えた上で、

 なるべく失敗せず安全を確保した調整を行うべし!

・ご自身でできることを引き出すべし!

 

 

認知症の方が何かのことで失敗すると、

消極的になったり、

あるいは「うまくできた」と本当はできていないことを

わかっていながらも話を取り繕っている場合があります。

 

 

 

その失敗を周りの方たちが責めてしまうと...

 

かえって不安感を煽ってしまう

 

場合があります。

 

 

中には、

 

失敗を認めたくない方や、

過度に手伝われることにストレスを感じる方

 

もいらっしゃいます。

 

 

ただ、失敗するからといって、本人が大切に思っている生活動作を、

危険だからといって取り上げることは好ましくありません。

 

 

そのため、ご家族様は、

包丁の操作や火の取り扱い時など、

危険と思う場面は遠くで見守ったり

 

「手伝わせてほしい」と、

・できないから手伝うのではなく、一人で行うと大変だから手伝わせてほしい

・どうやってやるのかを教えてほしい

 

といったスタンスで、お手伝い兼見守りを行うことも方法の一つです。

 

 

「ご本人様の役割=ご本人様の生き甲斐」

という考え方を持って、接していくことが大切です。

 

 

そのため、住宅環境を行う際は、

 

・ご本人様の性格を考えた上で、なるべく失敗せず安全を確保されるような環境調整を行う

・ご自身でできることを引き出す

 

ことがポイントです。

 

 

 

 

  住宅環境調整の例

 

認知症の方の環境調整に関する事例をご紹介させていただきます。

 

 

①:足腰が弱いにもかかわらず、椅子から急に立ち上がるため、転倒するリスクがある。

 

→ 椅子を肘置き付き椅子に変更することで、

  自然と肘置きを持ちながら立ち上がるため、

  立ち上がった時の転倒リスクが軽減する。

 

  また、椅子の近くに机を設置することで、

    立ち上がり時に自然と机を持つため、

  転倒リスクが軽減するなどがあります。

 

 

②:一人で部屋にいる際に、声を出したり、

        誰かを呼んだりしている

 

一人で何をすれば良いのか不安に思っている場合があります。

 

    そのため、

    部屋をご家族様の顔がよく見えたり

  声が聞こえる場所に設定すると、

    不安感を軽減できる可能性があります。

 

 

③:家の中を徘徊する

 

→ 先ほども記述したように認知症の方でも、

  目的があって行動する場合があります。

 

 

 そのため、

 

 なぜ自宅内を徘徊しているのか

 

 を考える必要があります。

 

 

 例えば、トイレに行きたいが場所がわからなくて徘徊しているとしたら、

 

 ・扉に「トイレ」と書いた張り紙をつける

 ・トイレマークを取り付けるなどがあります。

 

 

  また、トイレのと周辺の壁紙の色が同色である場合、

 壁とトイレの扉を識別できていない可能性があるため、

 壁と扉の色に変化をつける方法もあります。

 

 

 さらに、

 扉を開けっぱなしにして、便器が見えるようにする方法もあります。

 

 

④:時間がわからず、生活リズムに変化が見られる

 

→ 認知症の方は、

 昼と夜がわからなくなる場合があります。

 

    そのため、

    ・日中は窓から日光が入るようにカーテンを開ける

    ・見えやすい場所に時計を設置する

 などがあります。

 

 

 また人によって、

 数字が読めなくなる方や、

 時計の針の位置関係がわからなくなる方

 がいらっしゃいます。

 

 そのため、デジタル式アナログ式か、

 ご本人様に見てもらい検討します。

 

 

 さらに時計の設置場所は、

 ご本人様がよく過ごされる場所や、

 見えやすさ

 を考慮して設置する必要があります。

 

 

⑤:入浴を拒否される場合

 

なぜ拒否されるのか十分に検討する

  必要があります。

 

  例えば、施設にて経験したことですが、

 

 身体機能の低下により、

 二人介助で入浴していた方がいらっしゃいましたが、

 その方は、ほとんど入浴拒否がありました。

 

 しかし、身体機能が向上し、

 浴室環境を調整することで、

 一人介助でも入浴できるまで向上しました。

 

 そこで、

 普通浴で一人介助で行ったところ、

 拒否がなくなりました。

 

 さらに介助者もほとんど手伝いを行わず、

 ほぼ見守りで全て行うようになりました。

 

 

 なぜ拒否がなくなったのか

 

 それは、その方は元々自尊心が強く、

 なんでも自分で行いたい性格でした。

 

 しかし、

 周辺の方にとっては身体機能が低下し、

 体もスムーズに動かないため、

 二人介助が必要だろうという考えで行っていました。

 

 しかしそれは、

 本人にとっては二人で介助されるという現状が嫌だったのです。

 

 

 そのため、

 一人介助で尚且つ介助の量を減らすことで、

 自尊心が向上し、ほぼ見守りで拒否なく入浴できるようになったのです。

 

 

 こちらの事例より、

 介助方法や安全な入浴環境を提供することが大切

 と言えます。

 

 

 

 

  さいごに 

 

認知症の方に対する対応としては、

 

不安感を煽らないように十分にコミュニケーションをとり、

予測不可能な行動を起こす原因を検討する

 

ことが大切です。

 

 

また環境調整を行う際は、

 

・ご本人様の性格を考えた上で、なるべく失敗せず安全を確保されるような環境調整を行う

・ご自身でできることを引き出す

 

ことが大切です。

 

 

高齢者の居住空間において、

認知症を持つ高齢者として共通する思いは、

 

「思考することへの負担感」

「考えることが億劫で面倒」

 

と、言われています。

 

 

そのため、

認知症の高齢者の住宅環境を行う際は、

 

安全に行動できるのみではなく、

考える量が少なくても行動できるような環境

 

を提供することも大切かと思います!

 

 

 

今回もありがとうございました!

 

 

 

 

〈参考・引用文献〉

・野村歡 他:OT・PTのための住環境整備論(第3版), 株式会社 三輪書店, 2021. 

・高橋秀明. “認知症の人にやってはいけないことは?接し方の心得やNG事例を解説”. みんなの介護. 2023/1/30. https://www.minnanokaigo.com/qa/no12/(参照2024/1/29)

・佐藤雅彦:認知症になった私が伝えたいこと, 大月書店, 2014. 

・鈴木千絵子:認知症患者の住環境に関する研究 -日常生活にける認知・行動から見た献上高齢者との比較から-, 住総研 研究論文集, No39, 2012.