憲法38条1項は自己 に不利益な供述を強要 されない権利を保障し ています。この憲法規 定から派生する権利と して刑事訴訟法198 条2項は捜査官による 黙秘権の告知を規定し 、同法311条は被告 人の黙秘権を保障して います。ですから、刑 事訴訟法上は被疑者に も被告人にも黙秘権は 保障されています。も っとも、憲法38条1 項は黙秘権を不利益な 供述に限定しています から、不利益でない事 項に関しては黙秘権が 及びません。例えば、 被告人の氏名(最大判 昭32年2月20日刑 集一一-二-八〇二)には黙秘権が認められません 。ただし、黙秘したか らといって被疑者及び 被告人が常に有利にな るとは限りません。他 の証拠から起訴又は有 罪立証が明らかに可能 なのに黙秘のみしても 、改悛の情がないと判 断されて、起訴猶予に も執行猶予にもならず にかえって不利になる 可能性もあり得ます。