まず、器物損壊罪(刑法261条)の「物」は「財物 」を意味し、「動物、 動産及び建造物以外の 不動産」を含みます。一方、建造物損壊罪(刑法260条)の「建造物」は「 家屋その他これに類似 する建造物であって、 屋根を有し、壁または 柱によって支持され、 土地に定着し、少なく ともその内部に人の出 入りしうる物」を意味 します。そこで、廃墟 は「建造物」には該当 せず、「器物」に当た ります。
次に、器物損 壊罪の「損壊」は「物 の本来の使用価値を減 少・滅失させるすべて の行為」と定義されま す。しかしながら、たとえ廃墟に落書しても一般社会常識上「廃墟の本来の価値を減少・滅失させた」とは考えられないことから、廃墟 に落書きする行為は「損壊 」には該当しません。 よって、廃墟に落書しても建造物損壊罪も器物 損壊罪も成立しません。