「イッタってどこにですか?一人で?何をするんですか?」
20歳のアシスタント見習いの子が、コーヒーを飲みながら仕事をサボりガールズトークで盛り上がる25歳から36歳の女たちに衝撃的な疑問を投げかけた。
私達は一瞬固まったけど、「またー!」「そうゆうのは男の前だけでいいよ」「天然なの?」と笑い飛ばすと、身を乗り出して真剣に聞いてきた。
「あの、エッチな話なのはなんとなく分かるんですけど、どこに行くんですか?あと、一人でってエッチって二人じゃないと出来なくないですか?」
顔はマヂだった。
現代でも、20歳でこんな真っ白な子いるんだなーと遠い目で見てたら
32歳、singleのムッチリ美女が
「そんな訳ないでしょ?あんた今まで宇宙にでもいたわけ?てか、出版社で働いてて、自社の雑誌読んだことないの?そうゆうの正直、いらない。イラッとするし、私は信じない。」
コワッ…。でも、そう言われれば確かにそうかも。
イッタことない。1人エッチしたことない。はあっても、「知らない」っておかしな話だ。現代の情報社会で、20歳まで知らないで過ごすなんて監禁されてた以外、不可能な話。
なんとなく気まずくなって私はコーヒーを黙って飲んだ。(にがっ…。)
32歳の女の怒りを買ってしまったら、20歳の子に勝ち目はない。「すみません」っていってそそくさと立ち去るしかない。
その子も「すみません。もちろん雑誌は読んでます。でも、うちの雑誌はもう知ってる事を前提に載ってるので、意味がわからない記事があるんです。スローsexとか、感度を上げるとか、イメージさえ湧かないんです。」
そう言って、シュンとして、行ってしまった。
私達にきまずーい空気が流れ
「意地悪。」と36歳のチーフが32歳のムッチリ美女に言った。
「だって、絶対知らないなんてことないですよ!オーガズムを知らない私、マスターベーションを知らない私って純情で可愛くないですかー?って聞こえたんですもん!」珍しく声を大に怒る32歳、single、彼氏なし。
「なんか、あったんですか?本当に知らないのかもしれないし、彼女の言ったことは一理あるかも。私達は知ってる事を前提に応用編を書いてるから、わざわざイクとは何かなんて説明はしないし、本当に知らない人からしたらなんじゃそれ?って感じかも」
私がコーヒーに砂糖を入れながら言うと、彼女はヒートアップした。
「無知な女を崇めるバカな男がいて、それを知った上で無知な女を装う女がいるから、いつまでたっても自立してsexを男みたいに楽しむ女は淫乱とかバッシングされるんだよ!私はそれを撲滅したいの!知らないことは善じゃない。悪だよ!例え知らなかったとしても、特にうちで働くなら自分で調べて人に聞くことを恥だと思わないヤツは何も出来ない!」
息を切らしながら、いい終えると
「タバコ吸ってくる」と言って嵐のように去っていった。
残された私達は、しばらく茫然として、32歳を見送った。
36歳チーフがボソッと
「〇〇(32歳の元カレ)と別れた原因、22歳の天然女と浮気して捨てられたんでしょ?…滅茶苦茶私情入ってたね、あれは」
と独り言みたいに呟いた。
分かるよ…。32歳が言ってることはその通りかもしれないし、あの子は本当は知ってたのかもしれないし、知らない事を良いことと思ってたのかもしれない…
でも、本当に頭に来たのは、20歳のアシスタント見習いの子にじゃなくて、
自分の方がいい女なのに、若くて無知なアホな女に愛する男を捕られたから、悲しくて悔しくて、
そんな女に負けた自分が情けなくて
そんな女を選んだ男が憎くて
そんな男を愛した自分が嫌で嫌で…
分かるよ。そして、一服したら、きっと給湯室で泣いてる20歳の子に謝る事もね☆
分かるから、切ないな。
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