2日(水)12時半、カンプ・ノウ内の施設、“パリの間”にて、新加入選手のダニエウ・アウベスの入団プレゼンテーションが行なわれた。4年契約、契約解除金9,000万ユーロ(約151億円)に設定された大型補強となったダニエウ・アウベスは、Barçaの新しいプロジェクトの一員になれたことに喜びを表すと共に、リーガとチャンピオンズリーグのタイトルを目指し、全力投球することを誓った。
Estic molt content d'estar aqui.
ここに来ることが出来て、とても満足しています
ダニエウ・アウベスが最初に放った言葉は、カタルーニャ語での挨拶だった。バルセロナにとってのBarça、カタルーニャにとってのBarçaを早くも理解しているということだろうか。
▼余談
実際に僕も新婚旅行でバルセロナへ行った時、つまらないことだけれど、決めていたことがあって、それを実践したら喜ばれて親切にされた思い出がある。
寒いローマのフィウミチーノ空港から温暖なバルセロナのプラット空港に降り立ち、着ているものをバッグにしまい、「さぁ、タクシーだ」とタクシー乗り場に行って乗った。若い20~25歳くらいの女性ドライバーに誘われるがまま、有名な黄色のタクシーに乗り込み、「Hotel,......Catalonia Berna, por fovor」と告げた。
バルセロナ市内に近づくにつれ、夕方の渋滞に巻き込まれ、タクシーはなかなか進まない。女の子のドライバーは「何て無口な日本人だか中国人の夫婦だこと」と言わんばかりにケータイでメールをしたり、電話まで始める始末。
渋滞に飽きながらもバルセロナの街にテンションの上がっている僕はついBarçaのイムノをハミングした。すると、前だけを見ていた女の子のドライバーが後ろを振り返り、「Barça, Barça, ¡.........!」と何やらやや興奮状態に。
お互いに言葉が通じ合わないまま、それでも気持ちだけはシンクロした(と思う)僕とドライバーは、Barçaの選手の名前だけを言い合って渋滞凌ぎをした。
それで、目的地のホテルに着いた時に「決めていたこと」を実行。
トランクからスーツケースを降ろしてもらって、「€33」を請求(バルセロナは空港乗入料が€3、スーツケースが€0.9個を含む)され、支払いを済ませた後で。
「¡Moltes Grásias!」とカタランでお礼を言ってみた。
するとドライバーの女の子は「¡Oooh! Catalá~」と感動してくれ、見ず知らずの日本人、しかも隣りにはキョトンとした新婚の嫁がいるというのにお構いなしに、Barçaが好きでカタルーニャの文化を少しだけでも知っている僕に、観光パンフレットやら、たぶん何かのディスカウントチケットらしきものをくれ、自分の名刺にケータイナンバーを書いてまた呼んでね的なことを言われ、チュッパチャップスを2本くれて嫁とどうぞ的なことを言われ、極めつけは熱いハグだ。10歳くらい年下のカタルーニャ娘にドキドキさせられたことが良い思い出だ。
そんなわけで、バルセロナではカタルーニャ人ではない人がバルセロナという街に愛情を持って接すると快く気持ちの良い対応をしてくれる。
▲余談終了
ダニエウ・アウベスのインタビューの続き
「クラブは2年前のBarçaを取り戻すために再出発を切る。そこに自分を一員として呼んでもらえたことにとても喜びを感じている。今日という日はこのクラブの一員に初めてなることが出来た日として、とても特別な日となるだろう」
前日のインタビューでも
「FCバルセロナという偉大なクラブでプレーすることが出来ることになって、とても幸せに感じている。Barçaでプレーすることは夢だった。自分だけでなく、多くの選手がここに来たいと思っている。これは、自分にとって選手としても、人生の中でも、とても重要な挑戦だ。僕を獲得したことが間違っていたと思われないよう、一刻も早くそれを表現するために、プレーしたい気持ちで一杯だ。
Barçaに入団出来るということは、僕にとっては一種のご褒美だと思っている。自分がこれまでやって来た良い仕事が、報われた結果だと思っている。セビージャというビッグクラブから、さらに同等以上のクラブへ移籍することが出来て、とても満足している。Barçaが新しいプロジェクトの一員として自分を選んでくれたことに感謝している」
その言葉通りに、とにかく頑張ってもらいましょう!
ダニエウ・アウベスのプレゼンテーションにて同席したラポルタ、チキ・ベギリスタインのコメント
チキ
「ダニエウ・アウベスは唯一Barçaへの入団を希望していた。彼を巡っては他のクラブが我々よりも(数字の上で)大きなオファーを出していたが、彼自身がそれを断った。セビージャも彼の意志を尊重し、今回の移籍が実現した。我々はダニエウ・アウベスが望んでくれたお陰で、他のクラブよりも少ない金額によって、同選手を獲得することが出来た」
ラポルタ
「最終的な合意額は2,900万ユーロ(約48億7千万円)に今後の成績次第でのオプションが600万ユーロ(約10億円)となりました。この数字は、世界最高の右ラテラルを獲得するに当たり、相場の数字と言えるでしょう」
んんん...。
エストレーモだから高額でもいい、9番だから幾ら費やしてもいい、ラテラルだから安く買わなければダメ、ということもないけれど、しかし高いなぁ。
セビージャでの6年間というリーガでの実績があるから、Barçaへの順応は意外と早いのだろう。
例えば同じラテラルで、ミランへ移籍したザンブロッタがカルチョからフットボルに順応しなければならなかったことに較べれば、アウベスの場合はフットボールの哲学は違ってもチームはリーガからリーガだから、その点で有利ではある。
あとは新チームでのポジションとコンビネーションだろう。それはプレシーズンのお楽しみということで。自らを「野心家」と言うほどの自信、そして何より本人の強い希望もあってクラブと相思相愛で、ブラウグラーナのユニフォームに袖を通したからには、精一杯の努力とプロフェッショナルとしての献身と、何より活躍に期待しよう。
ペップ・グアルディオラは、「彼の潜在能力をより効率的に発揮するためには、右エストレーモのポジションが良いかもしれない。とにかく、彼が一番やりやすいポジションを模索していく。しかし、実際には右サイドで、メッシとコンビを組むことになるだろう。2人共に右サイド屈指の選手たちだ。その2人が組むのだから、最高の右サイドを築くことが出来るはずだ。それがチームにとって大きな武器となるだろう」と語っている。
それに対して、ダニエウ・アウベスは「良い選手の特徴は、監督が求めることに、より良く適応する術を知っているということだ」と語り、ポジションにこだわりは無いようだ。
¡Animo! ¡Dani Alves!