「看板ドック」開発物語 ⑤価格と時間の壁 | LEDサインメーカーの域を超えろ!快適創造プロデューサー高倉博のブログ

「看板ドック」開発物語 ⑤価格と時間の壁

「看板ドック」に専用保険をつけて全国対応の態勢を整え、

いよいよ、ほんとうに完成したんだ、と喜びを噛みしめつつ、

まさに満を持してお客様方にお話に伺いました。

サステナブルサインのレガーロをご愛顧いただいているお客様方です。

「看板ドック」も気に入ってくださるに違いない、と意気揚々と出かけていきました。

 

 

 

ところが、お客様は僕の説明を一通り聞いてからこうおっしゃいます。

 

「高倉くん、『看板ドック』は非常に魅力的だけど、その値段では無理だよ」

 

当時の「看板ドック」の価格は30万円でした。

既存の看板の点検の費用は10万円。

「看板ドック」は三倍していたのです。

 

 

 

もちろん、その値段以上の価値を存分に盛り込んでいる自信が僕にはありました。

目と勘に頼った従来の点検では担保できない安全安心を、

「看板ドック」なら専用保険とともにお届けできるという自負もありました。

 

 

 

10万円の目視の点検のあとにもしもなにか起こったら

「看板ドック」との差額の20万円ではとても追いつかない負担が掛かるのは明らかです。

万が一にもまちがいがあってはいけない企業として、

「看板ドック」を選択するのは賢明なこと、僕が担当者なら当然そうする…

しかし、これはあくまでも僕の頭で考えた論理でした。

 

 

 

大企業のシステムを動かす力のうちでもっとも大きいもはコストです。

中小企業と違って、現場を見て動いている人と決裁する人との間に距離があります。

これまで10万円で済んでいた看板の点検に30万円払うことにするという決定は

めったなことではなされないのでした。

 

 

 

僕の話を直接聞いてくださったお客様は、

どの方も「看板ドック」がいいものだと認めてくださいました。

だから商品内容に不足があるわけではありません。

問題は既存の商品の三倍する価格なのです。

 

 

 

 

看板の検査方法から変えていままでどこにもなかったものを作ろう。

「数値で診断、カルテで報告」して専用保険もつけて安全安心を保証できるようにしよう。

全国どこの看板でも対応できるようにしよう。

情熱を燃やして突っ走ってきた僕とサステナブルサインのレガーロの

目の前に立ちはだかった価格という壁。

 

 

 

どうやったらこの壁を突き破れるのか。

また眠れない夜が続きました。

考えつづけて出てきた答えは「移動効率を上げる」というものでした。

 

 

 

「看板ドック」を受注してある現場までいきます。

検査を終えて帰ってきます。

往復の輸送費、交通費がかかりますね。

これを、ある現場Aまでいって検査したら、近隣の現場Bに回り、

そこでまた検査してから戻ってくるとしたらどうでしょう。

 

 

 

Aからの復路の分と、Bへの往路の分の輸送費、交通費がカットできます。

つまり、一つの現場に掛かっていた輸送費、交通費で二つの現場が賄える。

そこで稼いだ分を価格に反映できるわけです。

現場Cや現場Dも回れたらもっと安くできるでしょう。

 

 

 

お客様に対しても、近隣の会社様といっしょに購入してくださればコストダウンできます、

とお伝えしました。

いわゆる「面を取る」ことで、お客様も僕たちもともに助かることになります。

こうして移動効率を上げる作戦が功を奏し、お客様のご希望の価格まで下げることができました。

 

 

 

価格という分厚く見えた壁を突破し「看板ドック」に向かうところ敵なし、となったと思いきや。

もうこの連載のパターンになってきましたね。

一難去ってまた一難、一山越えてもう一山。

 

 

 

価格の壁をぶちやぶって出てきた僕たちをあざ笑うかのように、

もう一枚の壁が鼻の先に迫っていました。

耳を当てると、コチコチコチ、と時計の音が聞こえてきます。

それは時間の壁でした。

 

 

 

「看板ドック」の検査は丁寧なだけに時間が掛かります。

検査後のデータの解析と安全基準との照らし合わせにも時間が掛かります。

出てきた診断結果をカルテにまとめて報告するまでにまた時間が掛かります。

一店舗に1か月くらい掛かってしまうのでした。

 

 

 

価格を下げるのにヒイヒイいって、時間が掛かる固定費が掛かる、では僕たちの商売上がったりです。

第一、  納期というのはお客様にとってもっとも大切なものの一つ。

移動効率の次は作業効率をひたすら上げていきました。

その結果、時間の壁にも穴が空き、なんとか向こうが見えてきました。

 

 

 

今度こそ、ほんとうに「看板ドック」は完成したのでしょうか。

「看板ドック」開発物語、連載はまだ続きます。