10/10(木)

 

 

@下高井戸

下高井戸シネマ にて

 

 

 

 

イーダ

http://mermaidfilms.co.jp/ida/

 

 

 

2013年 | ポーランド・デンマーク | 80分

 

監督:パヴェウ・パヴリコフスキ

出演:アガタ・クレシャ、アガタ・チュシェブホフスカ 他

 

 

 

60年代初頭のポーランド。

孤児として修道院で育った少女アンナは、初めて会ったおばから

自分の本当の名前がイーダ・ベルシュタインであること、

そしてユダヤ人であることを明かされる。

両親はなぜ自分を捨てたのか、自身の出生の秘密を知るため、

イーダはおばとともに旅に出る。

 

( 映画.com より引用 )

 

 

 

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以下、ネタバレを含む可能性があります

苦手な方はご注意ください

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モノクロで、横幅の狭い画面サイズ

台詞や説明も少なく、寡黙で、詩的な映画でした

 

主人公であるイーダの表情があまり動かず、感情を露わにもしないので

観ている間、いまどう思っているのかな、こう思っているのかな

という心情の想像に、あまり確信が持てず

 

その彼女の表情の動きの少なさは

まだ外の世界を知らないという無垢さと同時に

彼女が自分自身のことをまだよく知らない

ということの表れでもあったのかな

 

それゆえに、感情移入が阻まれて

 

ホロコーストにからんだシーンも

感情的になったりすることなく

淡々と映しとられていき

 

 

 

時代や国、歴史的なことに明るくないので

なんとなくの感触だけれど

 

イーダといっしょに旅をする

昔は検察官をしていて、権威があったけれど

現在は落ちぶれて、酒と男に溺れ

過去と向きあった末に、絶望し、自殺してしまう叔母は

旧い時代を

 

対して、旅をすることで、自分の出自を知り、

叔母の自殺後に、修道服を脱ぎ、髪をほどき、

叔母のドレスを着て、ヒールの靴を履き、

タバコを吸い、酒を飲み、男と愛しあい

そうして、外の世界を知り、経験し、

叔母の人生(旧い時代)をも含んだうえで

自分の足で歩きだそうとするイーダは

新しい時代を

 

それぞれ象徴しているように感じられ

 

そこでふっと「田園の守り人たち」()を思い出し

 

 

 

おそらく、宗教や神、信仰についても

描かれていたと思うのですが

そちらもあまり明るくないので

私には、明快には感じる、解することができず

 

 

 

印象に残っているのは、

叔母の靴、慣れないヒールを脱ぎ、

彼と踊るシーン

 

床の上をたどたどしく踏みしめる

はだしの足

 

彼女のそれまでの人生のように、流されるままに、でもなく

かと言って、叔母の経験をなぞるわけでもなく

自分の足(意思)で、いま初めて歩きだしたようにも

また、自分の感触、輪郭(自分は何者なのか)を

ぎこちなく確かめているかのようにも見え

 

 

 

それから

ラストは、再び髪を覆い、修道服を着て

(その格好になったということは)おそらく

修道院へと向かって歩きだすのですが

 

そこで急に、いままで静かだったカメラが

彼女といっしょに歩いているかのように

上下しだし

 

私はそれが

彼女が自分の意思で歩きだしたからの「動き」なのかな

と思ったのですが

 

でもそれにより彼女の顔がブレて

見えなくなってもいて

 

彼女自身の迷いを表していたのかな、とも思えて

 

 

 

全体的に、台詞も説明も少ない寡黙な映画だったので

観る人によって(その人の知識によっても)

解釈や感想がいろいろと違いそう

 

歴史や国、時代、または、宗教や信仰に詳しい方の感想を

訊いてみたいな、と思いました