月は昔望遠鏡でよく見てた ( ´艸`)
明るいからアイピースにムーングラスを取り付けて見ることが多かった。
学校を出て、文学修行といいつつ競馬に明け暮れていた頃、その合間に塾で国語を教えていた。
高校生相手だと、数学や物理の方が教えやすいんだが、文学修行(笑)中の身としては理系教科を教えることはしたくなかったのだ。
最終的には教えることになったけど。
古文にはよく月が出てくるから、月についての説明はけっこうした。
菜の花や月は東に日は西に
蕪村の名句だが、これはその導入によく使った。
浮舟の弟先生「この句に描かれている月の形、わかるよね? ○○さん」
可愛い女子高生A「わかりません」
十数年生きていれば経験的にわかりそうなものだが、案外わからないと答える生徒が多かった。
でもこの状況は小学校か中学校の理科でも教わるはずだ。
地球を間にはさみ東に月、西に太陽ということは、地球に向いている月面には太陽光が当たってるということなんだ、だから満月。
ということは裏を返せば、満月は日の入りの時刻に昇りはじめるということになる。
そして深夜、南の空高く輝くわけだ。
じゃあ、十五夜の次の夜、十六夜には月の出ははやくなりますか(日没前)? 遅くなりますか(日没後)?
月の公転方向を知っているか(つうか即座に口で言えなくても図を描けば一目瞭然だと思うが。)、ふつうに生きているかのどちらかであれば、わかりそうなものだが、ほとんどの高校生は自信をもってこの問いに答えられない。
遅くなるだろーがっ。
とは言えないので、丁寧に、遅くなるんですよ、と口にする。
浮舟の弟、偽善者じゃん(笑)。
でもこんな説明だと一晩寝れば月が早く出るか遅く出るかなんて忘れてしまう。
そこで印象づけとく。
浮舟の弟先生「陰暦十七日の夜の月の別名知ってる?」
知るわけないのだ、月の出が次第にはやくなるか遅くなるかだってわからないんだから。
「立待月といいます」
立って待っているうちに月が出てくるんだな。
浮舟の弟先生「じゃあ、十八日の夜の月の別名はなんだと思う?」
知識がなくても勘のいい子はわかる。
立って待っていても出てこないので疲れて座る、その頃出てくるという意味なんだけど、ただ生徒には「座る」に相当する古語がわからない。
「居る」が現代語の「座る」に相当します。
陰暦十八日の夜の月は居待月というのだ。
最後に、十九日の夜の月の別名を尋ねる。
ここまでくるとほとんどの生徒が、確信はもてないまでも、これなんじゃないかな、と思う答えをもつ。
はい、正解。
座って待ってても月が出ず、疲れて寝転がって待つから寝待月といいます。
こんだけ話を聞いたら、月の出が遅くなっていくこと、忘れないよね?
今日は中秋の名月。
マンションのベランダに出て、買ってきた十五夜饅頭を食べながらそんなことを思い出していました。
空をあおぎ、僕は月と神に感謝した。
僕は幸せなんだ、と心から思った。