鈴木邦男さんに会った。映画「愛国者に気をつけろ」で。 | 行き詰まった人生に気づきを得るためのブログ

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いろいろな出来事が起こり、行き詰まってしまう人生の曲がり角には考えることがたくさんあります。でもそれは飛躍の時かもしれません。明日への飛躍のために一緒に考えましょう。

 

ポレポレ東中野でドキュメント映画「愛国者に気をつけろ」を観ました。

上映のあと、鈴木邦男さんと松本麗華さん、監督の中村真夕監督の3人による

トークショーがありました。

 

鈴木邦男さんとは、昨年、田中美津さんのトークショーでお目にかかって以来2度目でした。

 

ずっと以前から鈴木邦男さんには注目していました。本も読みました。

 

右翼団体「一水会」の設立者。赤尾敏の薫陶を受け、三島由紀夫と一緒に自決した森田必勝の

大学時代の先輩。野村秋介に傾倒していたと言います。ある意味、戦後右翼運動の生き証人です。

 

でも、いつからか、その存在が際立って聞こえてきました。右翼・左翼や政治信条、思想の違いを

超えて非常に多彩な人間関係を持ち、既成の概念を超える「本当の右翼」として。書籍を読んでいても、

人間的な魅力を感じる人とは立場を超えて対話ができ、しかも相手の考えのすぐれたところは

どんどん自分に取り入れていきます。そして友人になっていきます。

 

結局、右翼・左翼に関係なく、人の話を聞かない、自分だけの正義にこだわって対話が成り立たない

人が多くいます。発展性も包摂性もない。しかし鈴木さんは違う。

 

そのことは、美津さんとのトークショーでも感じました。その時のトークショーではジャーナリストの

竹信三恵子さんと3人のトークショーでした。美津さんも竹信さんも、女性の立場から日本社会の生きづらさ

を訴えてきた人。片や鈴木さんは右翼という男性原理が強い活動家出身。話がどう展開するか心配して

いましたが、杞憂でした。

 

鈴木さんが偉いのは、自分が知らないことを聞いた時に、身を乗り出して「ほう〜! そうなのですか!」と

全身で聞くこと。知らないことを恥ずかしく思わないばかりか、知ったことを喜んでいました。そして、

自分の考えもどんどん変えていくわけです。すごく柔軟な人でした。ですから、相手の人柄を信頼し、その

相手が言うことに対しては自分も心を開いていくのです。

そしてそうした鈴木さんの姿勢に皆魅かれて、周りに支援者が集まってくるのです。

独身の独居老人の定番は「孤独でひとりぼっち」ですが、鈴木さんの周りにはいろんな人がいました。

 

活動家と呼ばれる人たち、主義主張を叫ぶ人たちの多くは真逆です。人の言うことを聞かない、聞いても

すぐに「でもね」と言って遮ります。そして自分の知識の中で戦おうとします。

鈴木さんの人間的力量が違います。

 

今回のトークショーの相手である松本麗華さんはオウムの松本死刑囚の娘さん。誰もが関わることを

嫌がるその人を、「自分の娘」のように思って鈴木さんは支援しているとのこと。世間が彼女を排除する

ことにすごく怒っていました。

 

「集団や国家が暴走するのは自分たちが絶対正しいと思うからだ」

「国家が政治思想を持つことには反対」

「意見が違う人、考えが違う人、色々な人たちと話したい」

 

印象深い言葉が続いた映画でした。しかし、初めて知ったけれども、その生活が質素なこと!

古いアパートの1室で質素に暮らしている鈴木さんの人生に驚きました。