えっ~と昨日は・・・
そうそう、プライスに見合ったなんとかかんとかって
話で終わったんだった。
ある程度高くても、プライスに見合った魅力ある商品
が作られて、その価値観が分かる人が買って大事に
着れば一件落着なんだろう、最終的には。
ところが昨日も言ったようにそれが立ち行かない現状が
ある訳で、先日ニュースにもなったけど、例のUアローズ
が店舗の縮小をするらしい。
で、この辺のセレクトショップの類は大まかに分けると
゛中価格帯゛に入って来るでしょ。
バックリと分ければ、ユニクロとかその辺のファストファッション、
低価格帯とポロなんかも大きくは中価格帯になると思うんだけど
それからセレブなハイエンドブランド、大きく3つだネ。
ここへ来て、ますます両極化しているファッション業界は
上か下かの需要の影響で真ん中がスッポリと抜けちゃってる
気がしてならない。
で、そんな中価格帯のブランドやセレクトショップは苦労
しているようで、定番商品の値上げの影響やマークダウンによる
利益率悪化、こんな感じで業績不振に陥っているらしいんだネ。
これが本当の原因だとしたら、採る対策としては
定番品の値下げとそれ以外の商品の商品の消化率アップって
事になるよネ、普通は・・・
で、定番商品はさて置いてシーズン物の消化を上げるって
いっても口で言うのはごく簡単だけどこれが凄く難しくて
大変な事。
特に横並びな傾向にある最近の商品傾向だから、
何処もそうそう変わらない、変わり映えのしない物ばかり。
そうするとどうなるか?言うまでも無く定番商品と同じように
少しでも安くせざるを得ない訳だ。
そうして、そんな事を続けて行くうちにドンドン値段が
下がって、原産国も変えて行って、何の事は無い、最終的に
ファストファッションブランドになっちゃうんじゃないかな?
アレッ?最初の信念はどこに行っちゃったの?って・・・
「クォリティの良い物を訂正価格で売って・・・」という
最初の志も気が付いたら価格競争に飲み込まれて
最終的に
「いくらで作れるんだ、いくらで売れるんだ」
「どれくらい売れるんだ、どれだけ残るんだ」って言う
単なる数字の世界になっちゃう。
で、他との差別化って事で、別注だの復刻だのコラボだの
って一過性の話題作りに走っちゃったりする。
消費者も、最初は飛びつくけど話題性もひと段落しちゃえば
見向きもしなくなって・・・
そしたらまた何か別の作戦を練って。
この繰り返しになっちゃうんだよネ。
こういう作戦でかろうじて単価を維持しているってのも
一方ではあるんだろうけど。
1つの物が消費者に届くまでって
まずは企画があって、物が作られて、店に並んで
そして誰かが買って完結するけど、その中でどこかが
゛変゛だったらなかなか売れないのは当然の事で
長年こんな仕事をしてきて感じるのは、ここ最近は
そのドコモが少なからず゛変゛だって事。
「何を売ろう」と言う企画が「何が売れる」に変わって
「良い物を作ろう」が「売れそうな物を作ろう」に変わって
「良い物を買おう」が「良いって言われている物を買おう」
ってこんな感じで今、流れていない?
おそらく、このどれもこれもが数字ありきなんだと思うよ。
大きな企業はもちろん数字大事だし、数字に基づいて
生産量とか売り上げの予算とか経て動いているのは
当然だけど、あまりにも数字数字になりすぎているんじゃ
無いかと思う。
「そんな事言ったってよ、じゃお前やってみろよ」って
言われるのは先刻承知しているけど、でも・・・
良くわからないけど、多くの企業って前年の実績に基づいて
じゃどうする?って流れでしょ。
例えば、前年100万の売上だったら今年の予算は103万とか
要するに前年割れの予算は組めない訳だ。
95%の予算なんか組んだら「やる気あるのかっ!」って
雷が落ちるのは、こりゃどこでも一緒だろう。
例えがチトなんだけど、東日本大震災なんかの影響は
避けられないし、凄く小さい所で言えば、6月の雨の日の
日数だって影響する訳だ、それから雪とかネ。
で、実際6月の売上が前年割れだったりして、雨ばっかりで・・・
何ていう言い訳はきかないんだと思う。
「そんなの理由にならねーぞ」って訳だ。
「気合だ気合だ気合だ」って言ったってどうしようも無いのに
こういうのって、日本の悪しき伝統だよネ。
で、具体的にどうなるかって言うと・・・
前年100万で、そして予算が103万。
前年は単価が高かったから100しか売れなかった実績を
踏まえて、今年は全体の単価を3%下げる。
と言う事は、チト計算が難しいけど、バックリ物の生産量
を7とか8パーセントくらい増やさないとならない。
そうしないと103%の予算はクリアできないからネ。
さて・・・シーズンスタートだ。
思ったほどの値下げ効果は無く、そりゃそうだよ。
3%下げた所で消費者からみたら何も変わっちゃいない。
物の量として前年ベースで売れたとしたって、どう?
目に見えてるよネ、そう前年よりも3%余計に残っちゃった
だけじゃないか・・・
で、毎度毎度のクリアランスだ。
実は3%単価を下げた分、原価率も上がっちゃってるから
セールをしても、前年よりも利益率は下がっちゃって
3%前年よりも売れたって何も変わらず、って言うか
商品量が多かった分、準備に時間もかかっちゃって
残業代もかさんじゃって、何の事は無い前年とトントンの
売上も、最終的に利益落ちちゃったよ、チャンチャン・・・
って、きちんと当てはまらないにしても
ここ最近の゛中間価格帯゛で展開しているアパレルの
不調の原因として、当たらずも遠からずだろう。
いやいや、もっと言ってしまえば、パートⅡで紹介した
゛ファストファッションと言う病気゛の根源でもありそうじゃないか。
で、昨日も言ったように最終的な結論に達していない
コレに自分なりの考えを言ってみようと思う。
とはいっても、この負のスパイラルはそう簡単に解けない。
全ての部分を変えて行かないとどうしようも無いと思う。
という訳で、次の3つに分けた。
①生産
②販売
③消費
この3つだ。
昨日言ったように消費者は出来るだけ安く買いたいと思う
のは当然で、そこには少なからず妥協がある。
当然の事で、そりゃ良い物、高い物が欲しいに越した事は
無いけれど、まぁ服にはこれ位の投資で良いだろうって
思い、そしてある意味、そのものに見合った物を買う訳だ。
で、同じ物、同じような物ならば値段の比較をして安い方を
選ぶ。
無地のTシャツであれば少しクォリティが落ちても
「こっちで良いや」って具合に。
そうなって来ると生産する方は、
「あっちがあの値段ならこっちはこの値段で」って事に
なり、価格競争が勃発する。
チト前のジーンズ¥790なんてのが良い例だ。
それがどんどんエスカレートして、゛病気゛になるんだけど
そんな憂鬱を微塵も気にしないで消費者もドンドン
エスカレートして、いつしか゛服゛が服で無くなって行く。
「買ってうれしい」から「買い物がうれしい」に変わっちゃって
る人も沢山いると思うんだ、身に覚えない?
1万のジーンズ、チト構えちゃうけど3900円なら気兼ねなく
買えるからネ。
で、1万のジーンズと3900円のジーンズって何が、何処が
違うかな?
1万のって3倍丈夫なの?、ポケットのステッチ?
染め具合?
んっ・・・
いやいや、そんなの気にしないよ。
3900円で買えたことが満足なんだもん。
で、どう?3900円で買ったらさ3900円の扱い
じゃないかな?
「ど~せ1年も履かないしネ」こんな感覚でしょ、多分。
だって来年はまた来年で違うの買えばいいから、3900円
かそれより安くネ。
実は、この軽いノリが病気の原因なんだよネ。
企業はこの軽いノリの人を1人でも多くつかもうとしている
とも言えるよネ、1番多くの人をつかんだ企業が勝ち。
だからまずは、それに気が付く事だと思う。
で、「そんなのカンケーネー」って言う鈍感な人は別として
自分がそういう現状に加担しているんだって気が付いた人は
こんな風に考えて欲しいと思うんだ。
「物を大事にしよう」って。
とはいっても3900円で買ったジーンズ、中々大事にしようと
思えないよネ、そりゃそうだよネ。
じゃ、どうすれば良い?
まずは大事に出来ない理由を考えてみて?
まずはって言ったけど一言で片付けちゃおうか。
「飽きちゃうんだよ」そうでしょ?
今時の3900円のジーンズったってそうそうすぐにダメに
ならないでしょ?
破けて履けなくなっちゃったから買い換えるんじゃ無くて
飽きちゃうんだよ。
何で飽きるかって言ったら、デザインなんかもあるんだろうけど
とにかく、とにかく、3900円だからなんだよ!
要するに値段が値段だから思い入れが無いんだネ。
気持ちが入らないんだよ、だから飽きちゃう。
借りに2万のジーンズを無理して買って見な。
そうそう乱暴に出来ないでしょ、大事にするでしょ?
もっと言ってみようか・・・
一時騒ぎになったエビだよ。
バナメイエビを芝エビだと思い込んで「うまっ」って
言って食べたら、実は・・・
まぁ騙すのは良くないけど人っの感覚ってそんな物
なんじゃないかな?
言ってる事、良くわからないって?
要するに払った金額分の価値観でしかないって事。
RRLのジーンズを表参道のポロショップで定価で買ったら
物凄い満足感でそれに伴って大事にするでしょ?
同じ物をアウトレットで70%引きで買ったらさ、
無意識にそれなりの価値観になっちゃうんだよ。
誰も否定できないと思うよ、こういう潜在意識って。
だから何も無理して高い物をかえって言ってる訳じゃ
無いけど、ヤッパリ満足感全然違うしそれ相応の
値段の物を買うってのは大事な事なんだよ。
ユニクロのフリース、2000円で5枚買えば5日間
違う色が楽しめるけど、たった1枚しか買えないけど
胸にパタゴニアってついていれば、1枚で得られる
満足感は別物なんじゃ無い。
人によって感じ方は違うにしても、少なくとも大事には
するよネ。
ねっ、チト考え方変わってこない?
少しは高い物買ってみようか!ってね。
もしくはこういう人もいると思う。
「そうはいっても良い物無いんだもん、どこ行ったって
同じような物ばっかりだし、だったら安いので良いやって」
そう、いままでは③の目線で言って来たけど、ここから
もう少し複雑に①や②も絡んでくるんだネ。
チト話が戻っちゃうけど、そう前比がど~の、予算が・・・
の話。
前年アップの予算を組まざるを得ないなら、そしてその分
多く作ってまた残っちゃう位なら、いっそ大幅値上げ
しちゃったらどうだ。
「出来る訳ね~だろっ」っておっしゃる通り!
って、でもそんな事言ってたら結局はさっき言ったような
事になっちゃう訳で、ここは経営者の大英断!が必要だネ。
どう言う事かと言うと、なるべく生産量を増やさないように
するって事だ、
予算が103%にさせられちゃったらこれは仕方ないけど
わざわざ残るのが分かってて前年以上作るのってどうなの?
いっそ単価を上げて、例えば120%単価上げちゃったとしたら
そうとう生産量も減るでしょ、手間も減るし販売にかかわる
経費も多少は抑えられる訳だ。
ただ単純に値上げしたってダメだし、同じような物を値上げ
したらすぐさまばれちゃうよネ。
値上げした分は、しっかりとクォリティを上げてデザインも
凝って、価値観を上げなくちゃいけないのは当然だ。
去年まで100双だったシャツを今年は120双にして格段に
着心地を良くするとか。
単純に言えば、それなりに高いけど、高いなりに良い物を
作るって事だ。
またまた言われるんだろうな
「そんな事100年前からやって来たんだよ、
それでも売れね~んだよ、ってか余計売れね~よ」ってか?
そう、まさに良い物を作っても売れない世の中・・・
はい、当方理解しております。
去年100双のややタイトなボタンダウン→¥9.800
今年120双のレギュラーフィットのボタンダウン→¥12.000
売れない・・・
だって1200円も値上げしちゃってるんだし、パット見同じだし。
そりゃそうだ。ってチト待てよ・・・
おそらく作った人は思考作為、渾身の商品だろう。
サイジングも練りに練ってようやく出来上がったベーシックな
ボタンダウン。
ところが・・・「売れないっすよ、高いっすもん」の店からの声。
何でそんなに良い物が売れないんだ?
って、販売員に良さが伝わってますか?
良さを伝えていますか?
って話だよ。
あまり、いろんな店に行かないけど販売員のレベルの低下
も物が売れない大きな原因になって無いだろうか?
誰が着てるとか私も色違いで3枚持ってるとか、ど~でも
いいよネ、限定何枚とかど~でも良くない?
大事なのは、満足感を与える事なんじゃ無い?
12000円もするけれど、こんな生地を使っていて
カッティングもジャストで、だから着心地が良くて、
流行に関係なく永く愛用できますよ」ってきちんと説明できる
販売力で2200円分のフォローが出来る様な販売力。
勿論12000円のシャツが売れるような身なりも。
で、チト無理して買っちゃった人も「良い物なんだ」って
言う満足感を味わうことが出来て、
「う~ん、次からはここで買おうかな?」って思うかも知れないし
セールストークがでまかせで無かったら、信頼も得られるし
良い事づくめな訳だ。
おまけに、根拠も無く沢山作らなかったからセールに出す量も
減って、セール待ち顧客を良い意味でガッカリさせられるし
次からはセール前に買おうって思わせる事も出来るかも?
ってこんなにうまい具合に事が運ぶ訳は無いにしても
少なくともこういう方向性は間違ってないと思う。
しかも、世の中少子高齢化じゃないか。
ターゲットの年齢層を上げる様な品揃えは多分単価アップ
の良い言い訳にもなるだろうし、それに伴って販売員の
レベルアップも必然的に出来るよ。
という訳で、延々と書いて来た訳だけど、まとめてみよう。
結果から言えば、①②③すべてにかかわる人の意識が
変わらないとどうしようも無いけど、
作り手は価格に見合う、長く着られる物を作り、販売員は
それをきちんと消費者に伝え、消費者ぱ対価を払う事の
満足感を味わえる経験をする。
そういう考えや意識を持てば、全うな価格の物が売れるように
なり、途上国で苦しむ人々も減り格差も無くなるんじゃ
無いだろうか?
たかが洋服、されど洋服・・・