寒さの厳しかった冬を越え、春らしい陽気が感じられる季節になりました。  
しかしこの時期、腰痛や便秘に悩まされる方が増えています。  
その背景には、冬場の運動不足と体の水分バランスの乱れが関係しているかもしれません。

東洋医学では、冬は腎の働きが盛んになり、水分代謝と深く関わると考えます。  
腎の気が十分に巡らなかったり、腎の力が弱まると、春になって肝の気がうまく伸びやかに巡らず、体内の水分循環も滞ります。  
その結果、便が乾燥しやすくなり、便秘を招くことがあります。  
また冬の運動不足も木の巡りを停滞させ、気血の流れが悪くなるため、腰の重だるさや痛み、便秘が起こりやすくなります。

西洋医学では、冬の間に汗をかく機会が減り水分摂取量も減りがちですが、春は気温上昇とともに汗の量が増えます。  
冬と同じ感覚で過ごしていると水分不足になり、便が硬くなってしまいます。  
さらに運動不足で腸の動きが鈍り、季節の変わり目で交感神経が優位になりやすいことも、便秘や体の不調に拍車をかけます。

こうした春の不調には鍼灸治療が効果的です。  
特に、腎の働きを高め血流を促すために、腰部への鍼灸や、背中にある腎兪、命門といったツボへのアプローチが有効です。  
また便秘には、手足にある合谷や足三里、腹部にある天枢などを使って腸の働きを整えることもおすすめです。

セルフケアとしては軽いストレッチや散歩を取り入れ、こまめに水分を補給することが大切です。  
春の体を内側から整え、心地よい季節を快適に過ごしてくださいね!