「(前略)わしは嫁さんもいなければ子もおらん。それでも生きていて面白いと思うぞ。わしは、惚れた女もおったし、苦悩とかいうものも味わった。わしはこの両手で働いてきた。穀物を植え、樹を植え、道路も造ってきた……。それでも生きていて面白くないといえるかね?――お前ら若い者の言葉で言えば、幸福と言うもんじゃ。そう、幸福だ。お前なんかには分かるまい。わしは自分が植えた樹の実を村の子らに分けてやる、なんとも……幸福なもんじゃ! お前も小さい頃随分たくさん食べたぞ、そうじゃろう。お前なんかには分かるまいが、わしは樹を一本植えると心に思うんじゃ。わしが死んでも、後の世代の連中がその樹の実を採って食べる。そしてこれは前の村のやもめ老人の徳順が植えた物と思い起こす、とな……」
『路遥(ろよう)作品集』 安本実(やすもと みのる):選訳 中国書店 2009年
「人生」 p. 461 ~ p. 462 より
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天から与えられたミッションを生きる女性リーダーのための直観コンサルタント