LARME 040号 連載シネマ31. アメリ | la petite chambre

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掲載誌のお知らせ。

イベントなどでバタバタして遅くなりましたが、先月から発売中の LARME 040号

のシネマページで、ジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」について描きました。

 

LARME 040号 cinema fashion room vol.31  アメリ / Le fabuleux destin d'Amelie Poulain

 

「アメリ」をリアルタイムに劇場で見たのは18年前。

当時アメリの世界観が大好きだったので、いつかシネマイラストで描きたい

と思っていたのですが、描くタイミングがなく月日が流れ…

誰もが知ってる名作を今更紹介するのはためらいましたが、LARME今号の

テーマが「女の子が好きなもの」だった為、この作品となりました。

 

10年前に語学留学でパリ滞在時、語学学校の初級クラスで、ヒアリングや

ボキャブラリー・ライティングの教材として使われた映画「アメリ」。

見たことがある作品だったけど、私には「アメリ」は難易度高かった!

他のクラスでは「ジュ・テーム、パリ」など親しみやすいようにパリが舞台の

人気映画が使われてたようです。

フランス語の勉強にと、当時現地でDVDを購入したまま未開封状態で。。

(他にも好きなフランス映画のDVDを買ったまま、見てないものが数枚あり)

 

今回シネマイラストを描く為に、買ったDVDをようやく活用し、久しぶりに

「アメリ」を鑑賞。

字幕なし、フランス語音声のみなので、会話細部はわからないけれど、

映像を見てストーリーを思い出し、久しぶりに見てやっぱり素敵な作品と

思いました。

アメリ演じるオドレイの不思議な声がキュートで、ニノ役のマチューの

優しいイケメンぶりに当時キュンとして、今見てもやっぱり素敵な二人。

 

アメリは人の為に親切をしてあげるけど、正義感とは言え、

気に入らない人には子供の頃から結構エゲつない制裁してたんだなー。

今見ても古さは感じないけど、携帯電話の代わりに公衆電話が出て来たり、

ビデオテープがモチーフで使われていたり。

アメリが着回ししてるリブカーデガンとワンピースの組み合わせや、

たくさんのヘアピンのまとめ髪など、少し懐かしさを感じました。

 

子供時代のアメリやアメリの目に映るものたちも可愛かった。

フランボワーズを指にはめてパクパク食べたり、さくらんぼの耳飾り、

うさぎの形の雲など。

アニエス・ヴァルダの「幸福」でも、女の子が大きなさくらんぼの耳飾り

をぶら下げてるのが可愛かった。

ママンの耳にも一生懸命さくらんぼをぶら下げようとしてるのがキュート。

さくらんぼを含め、赤でコーディネートされた女の子のファッション、

ママンの花柄ワンピースとカチューシャも可愛い♡

こんな微笑ましいシーンやのどかな田舎風景の美しさもあるけれど、

「幸福」は美しく哀しく怖さのある作品。

 

オドレイは「アメリ」以降の出演作もコンスタントに見て来たたけど、

マチューの出演作はその後あまり見てなくて、最近の活動を調べたら、

ハネケの「ハッピーエンド」に出てたとは、気付かなかった。

あの少女の父親がマチューだったようで、もしかしたら映画見た時は

気付いたけど忘れてたのかもしれないけど。

 

「アメリ」と同じパリが舞台でも、パリの貧しい移民の若者たちの暴動劇

を描いたラディカルな「憎しみ」の監督として (ヴァンサン・カッセルが

主演の一人で、マチューは出演はせず監督・脚本のみ) 知ったのが先だった

記憶があるので、人情味溢れるファンタジー・ラブコメディ「アメリ」で

とろけるような優しい笑顔のマチューを見て、真逆だなと感じました。

他の監督作もスリラー系など男っぽい作品が多いので、逆に「アメリ」

でのニノのキャラクターの方がレアだったのかも?

 

アメリとニノ以外にもたくさんのクセの強い登場人物が出て来てみんな

それぞれ個性豊かで、特に印象に残ったのは繊細な引きこもり老人の

レイモン。意気地のないアメリに背中を押してくれる優しさが染みる。

今もご存命なのか調べてみたら、今年の2月に亡くなったそう…

 

監督のジュネは当初、「奇跡の海」で開花したエミリー・ワトソンを

ヒロインとしてイメージした作品にしていたが、エミリーが降板した為、

オドレイ主演で「アメリ」に変更したというのは有名な話。
エミリー・ワトソンも素晴らしい個性派女優だけど、オドレイより

かなり年上なので、ストーリーは違ったものになっていただろうし、

キュートでコミカルなオドレイだから、あんなにポップで可愛くて、

あれほど幅広い層に受ける作品になったのだと思う。

 

日本の配給会社アルバトロスは、クセの強いカルトムービーばかり

買い付けする会社で、当初は「アメリ」もダーク・ファンタジーで

オタクなジャン=ピエール・ジュネ作品と思って買い付けしたら、

予想外の大ヒットで大化けしたというのも有名ですよね。

 

モンマルトルにも何度か行ったけど、アメリの勤務先の舞台となった

観光名所のカフェには、行ったことないです (半年パリにいたのに

何故か行ってみたいと思ったことがなかった…)。

カフェと言えば「彼が愛したケーキ職人」で舞台となったベルリンの

カフェ Kredenz cafe も実在するそうで、ベルリンを再訪する機会が

あれば行ってみたい!と思いました。

映画自体も、哀しみと余韻が残る秀作です。 

 

LARME 040号のカバーガールは、本誌卒業後1年ぶりに登場の

白石麻衣さん。

テレビやCMなどでのご活躍ぶりは拝見してますが、LARME誌面では

お久しぶりで変わらずの美しさ♡

 

次号は、7月17日発売予定です。

シネマイラストは、60年代のポップなファッション&主人公が

キュートな作品について描きました。どうぞお楽しみに♡