釈迦の『花祭り』と「天上天下唯我独尊」の意味。 a | barsoのブログ

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ほんとは明るい時事落語です。ほがらかな音楽付き。(笑)

 


クマ「ご隠居、この4月は散々ですね~」
隠「お、熊さん。よく来たな。なに? 3メートル離れて座る? うん、そこでい 

いよ。聞こえるから」 

クマ「え~、祇園の商店自粛の声。商売無情の嘆きあり。おごってくれるひと久し 

くおらず、ただ春の世の夢の如し。たけき和菓子もついには滅びぬ。うふふ」 

隠「なんだ、この桜餅の催促か。いただきものだが、さ、お食べなさい。そうそ 

う。例年だと4月は、入園式、入学式、入社式、桜見、灌仏会(かんぶつえ)、イー 

スターに、下旬はゴールデンウイークがあるな」 

クマ「ご隠居、『かんぶつえ』って、鰹節の何かですか」 

隠「おや、熊さんは『花祭り』を知らないかい」 

クマ「ああ、お釈迦さんに甘茶を掛ける・・・」 

隠「そう。日本人は、クリスマスでキリストの誕生を祝い、イースターで復活ま

で祝うのに、釈迦の誕生を祝う習慣がない。オーバーシュートとかロックダウン

とか、 まあ、西洋かぶれがひどいなあ」

 

      oslii.jpgもじゃさんによる 写真ACからの写真 

 

クマ「いつ頃から『花祭り』はあったんですか?」 

隠「仏教唯一の祭りでな、聖徳太子が活躍した奈良時代の606年4月8日から始 

まり、平安時代に一般化し、江戸時代に甘茶を掛けるようになり、明治時代にな 

って『花祭り』と言われるようになったそうだよ」 

クマ「なんで『花祭り』と言うんで?」 

隠「釈迦のお母さんが出産のために里帰りするとき、『ルンビニ園』という花園 

で生んだので、『花祭り』と言うようになった」 

クマ「お釈迦さんは、花の中で『天上天下唯我独尊』とか自慢したんだ、赤んぼの 

ときに」 

隠「うむ、その意味は、《我は世間で最高の者であり、これが最後の誕生であり、 

二度と生まれ変わることがなく、『悟り』を得る仏陀になるのだから尊い》と自 

覚して予言的に言った、と解釈することもできるな」 

クマ「はあ、そうなんだ」 

隠「他の解釈は、『我』とは釈迦自身のことではなく、この世に生まれた人間個 

人個人のことで、《すべての人間は尊い目的を果たすために生まれてきた。一人 

ひとりの人間が尊いのは『使命』があるからだ》と説明する人もいる」 

クマ「その『使命』って何ですか?」 

隠「うむ、『使命』とは悟りを得て幸せに生きることだよ。犬猫に悟りは無理だ。 

悟りを得ることができるのは人間だけだから、『我は尊い』というわけだな」

 

   11pe11.jpg Pixabay 

 

クマ「悟りなんぞに縁がない俺は尊くねえんだ」 

隠「大丈夫、安心しなさい。《どの人間も、天上天下に、ただ一人だけの存在だ。 

何一つ加える必要もなく、このままで人間は尊い》という解釈もある。お釈迦さ 

んは、すべての人は平等だと言っているのかもしれんな」 

クマ「ふーん、人はナンバーワンにならなくてもいい。元々特別なオンリーワンっ 

てことですかね。なんか当たり前のことを言ってるような」 

隠「うむ、今なら当たり前だが、2600年前のインドは カースト制度があり、僧 

侶や王族は尊い身分とされて偉そうに威張り散らし、一般市民は婚姻や交際も禁 

じられ、最下層の奴隷は直接それらの人たちと言葉も交わせないほど身分階級の 

差がひどかった」 

クマ「不可触民の子供は学校にも行けなかった」 

隠「そうそう、人間みな平等というのは、当時は大変過激な考えだったのだよ」 

クマ「そうかあ」 

隠「我々は人間であるだけで唯一無二の特別な存在だ。人間は人間であるだけで 

尊い。生きていることは、それだけで素晴らしい特権なんだよ。旧約聖書の創世 

記には『神は、神のかたちに人を創造した』とあるが、人間だけが神のイメージ 

に造られた。人間は動物の中でも特別な存在なんだな。しかし熊さんは、このと 

ころちょっと沈んでないかい?」 クマ「自粛で家にいるせいですかね」

 

   12pe21.jpg Pixabay 

 

隠「職人が自宅待機じゃあ、困るだろう。早く給付金が出ればいいな。それまで、 

気分転換できる曲でも聴こう。『花祭り』という曲だが、あたしは気持ちが明る 

くなるので好きな曲だよ」 

クマ「まさか、ギャーティギャーティって、だみ声のお経が流れてくるんじゃねえ 

でしょうね」 

隠「いや、アルゼンチンの作曲家がアンデス民謡をベースに作った曲で、歌詞は 

カーニバルの楽しさをテーマにしたものだ。これが後にフランスのシャンソンと 

なって世界に知られるようになった。あたしもシャンソンで知った曲でね。いろ 

んな歌手が歌っているよ」

 

 


     花祭り(El humahuaqueno/La fete des fleurs)              『コンドルは飛んでいく』を思わせるアンデスのフォルクローレです。

      甘いフェイスから甘い声。フランスの俳優・歌手のフランシスコ・グランディ。

        日本の代表的なシャンソン歌手・別府葉子さんの心に沁みる美しい声。

 作詞:R. カルロス、作曲:E. P. サルディバール、日本語詞:薩摩 忠

 1 ぬるんだ水に 春の陽は浮かび
   小川の水に 春の歌揺れる
   小舟は花束を 積んで走る
   鳥たちもさえずるよ 森のこかげ
   花環を組み合わせて 心と胸を飾ろう
   みずいろのそよ風は 頬をなでて
   ふりそそぐ花ふぶき 花の雨よ
   今宵は楽しい 春の花祭り
   歌って踊る 春の花祭り
    タン ララ ラン ラン
    タン ララ ラン ラン
    タン ララ ラン ラン ラー
    タン ララ ラン ラン
    タン ララ ラン ラン
    タン ララ ラン ラン ラー

 

 

クマ「ご隠居、なんだか気持ちが弾んでくるような曲ですね」 

隠「そう、この曲は元は『ウマウマカの人』という曲名だった。ウマウマカとい 

うのはアンデス山脈の東側にある小さな町で、町の東にはグランデ川という川が 

流れている。春は小川の水がのどかに流れ、鳥がさえずり、そよ風の中を花吹雪 

が舞い散っている。そんな楽しい春の祭りを、町の人たちが歌って踊って楽しん 

でいるのだよ」 

クマ「武漢ウイルスに無縁な町はいいなあ。『使命』なんか知らないでも、くたば 

らねえで幸福に生きられる人は羨ましいわ」 

隠「熊さん、新型コロナウイルスで死なないためには、『しめい』を終わらせれ 

ばいいのだよ」 

クマ「え? 『使命』を終わらせれば、人はくたばらねえんですか?」 

 

隠「そう、くたばってしめいは、おしめいにすればいいのだよ」