俺はお前となあ、二人でコンビ組んで、ずっとね、漫才とかやれて、お笑い
芸人になって、やれたことが本当に幸せやった、ありがとう。もういつそっ
ちに往くか、もうわからんけども、俺がそっちに往ったら、またやろうや。
いいか、お前な、待っとけ」
(カンニング竹山さんの弔辞:相方・中島忠幸さんへ・2006年)
天国が実際にあれば、そんな素晴らしいことがあるだろうか。
死後の世界は、有るのか、無いのか―――――
この難問を金子みすゞさんの詩を軸にして合理思考で考えた。
●
部分と全体が自己相似形になっている図形を《フラクタクル》と言う。
この三次元世界には、あらゆる所にそのフラクタクル構造が現れており、
ミクロの量子の構造は、マクロの恒星群や星団の姿と相似であり、
人間は、サイズ的には、ミクロの量子とマクロの宇宙の中間に存在するそうだ。
「下なるものは上にある如く、上なるものは下にある如く」という古言がある。
フラクタクルの原理は、目に見えない形而上の世界にも当てはまるはずで、
この地球上の事象は、霊的な真理を表す《隠喩》であると見做すことができ、
自然界をよく観察すれば、死後の世界についても推察できるということだ。
ジュリアス・シーザーは「人は見たいと思うものしか見ない」と言った。
イエスは「見るには見るが、決して見えない」人がいることを述べた。
これは《心を開いて素直な目で見れば、見えないものも見える》ということだ。
二十六歳の若さで薄幸の人生に自ら終止符を打った金子みすゞさんは、
純粋な感性の目で、人は死んだら見えない世界の中に解き放たれることを見た。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
金子みすゞの『繭と墓』は、自ら命を閉じる前に書いた絶唱だ。
この詩は《起承転結》で構成され、修辞技法としては《比喩》が用いられている。
すなわち、
《起》蚕は、成虫になるまでは、狭苦しい繭(まゆ)の中に入るのが運命だ。
《承》しかし、蚕は繭を出たら蝶々(蛾)に変わり、大空を飛ぶようになる。
《転》(蚕から人間の話に転じ) 人間も死んだら、暗く淋しい墓に入るのが運命だ。
《結》(蚕の羽化は比喩であり) いい子も死んだら天使になって天空を飛べる・・・
と論じ、それゆえ人は死んだら天国に行く(と思っている)ことを示している。
みすゞさんは鋭敏な感性で身の周りを見て、その仕組みから論理的に学びを得た。
彼女は、蚕の完全変態は、人が生まれ変わることの隠喩であると見做したのだ。
私はモスラ系は苦手なんですが、この子はかわいい顔をしています。蛾天使です。(笑)
この《生まれ変わり》という考えは荒唐無稽で不条理なものだろうか。
聖書の詩編作者は「人の体は恐ろしいほど奇(くす)しく出来ている」と感嘆した。
DNA一つを見ても、21世紀の知力でも造れないほど極めて精妙に出来ている。
脳の1秒間の活動は、スーパーコンピュータでも40分ぐらいは掛かるそうだ(※)。
人間のパーツはとてつもなく超高性能なのに、その本体のほうは故障したり損傷
したりで、一定期間が経つと全機能が停止になるのは欠陥商品のようではないか。
進化論が正しいのならば、形状や機能は自然の知恵によって著しく進化したのに、
老化については自然の知恵が全く機能してないというのは甚だしく片手落ちだ。
宇宙が出来た大元の原因と考えられる《叡智≒神》が在って、人間が懸命に生き
ても死んだらそれで終わりという情けない生命を造ったのなら、頭が悪すぎる。
英知ある結果は、必ず叡智ある原因から生まれる。
であれば、その《叡智》たるものが人間をいたずらに生まれさせるはずもない、
と考えるほうが合理的ではないか。
そうなら、宇宙の《叡智》は、人間の現在にも死後にも公正に作用しているのだ。
つまり、人間は肉体は死んでも、《生命》は不滅であり、
人間の本質である《魂》は、目に見えない世界でずっと続いている・・・・。
●
補足―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(金子みすゞさんの命は極めて短かいものでしたが、魂は十分燃焼したはずです)
彼女は「人間は死んだら天使になる」とは言わず、「いい子は死んだら天使になる」と言っています。
これは彼女が、単に子供向けの書き方をしたせいか、あるいは善い人だけが天国に行くと思っていた
のか、もしくは自らの死を予感し、天国の存在を希望的かつ確信的に書いたのかもしれません。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※日本とドイツの研究チームが、人間の脳の神経回路シミュレーションとしては史上最大規模のもの
を、8万2944個のCPUと1.4ペタバイトのメモリー量を持つスーパーコンピュータ『京』で行ないま した。
17億3000万個の神経細胞が10兆4000億個のシナプスで結合された神経回路のシミュレーシ
ョンを行ない、生物学的には1秒間に相当することを『京』は40分かけて計算したようです。
この10兆4000億個のシナプスというのは、ちょうどヒトの脳の神経回路1%ほどの規模に相当し、
小型霊長類であるサルの全脳の規模に達しているとのことです。
https://gigazine.net/news/20130806-simulating-1-second-of-real-brain/
●画像はPixabayのフリー画像を借用しました。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――